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「思い込みはどこからくるのか」

※月1〜2回、不定期でコラムを投稿しております。
※こちらのコラムは私の主観です。全医療者や医師の意見として受け取らないようにご注意願います。

こんにちは。
全女性にとっての心の拠り所を目指す産婦人科医。
どうも、さいこうです。

今日のテーマは「思い込み」についてです。
それではどうぞ。

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「思い込みをなくそう」だとか
「決めつけはやめよう」といった言葉が世の中には溢れている。

多くの人が、このように
思い込みや決めつけの善し悪しを論じているが、

果たして思い込みや決めつけとは何のことで
どこから生じているのかを考えている人はどれくらいいるだろうか。

物事の善悪を判断する前に、
そのもの自身の存在を考えてみる必要があるのではないか。

ここから先では、
思い込みや決めつけについて考えてみたい。

人は生きていくなかで、多くのことを経験をする。

これまでの経験の1つでも欠けた場合、
今のあなたは存在しない。

これまでの経験の1つでも違うものであったら、
あなたはまるで別人になっている。

人格とは思考であり、
思考には基板が必要である。

その基盤は全ての物事の前提となるため、
多くの人はその事実を疑わない。

疑われない事実は
その人にとっての常識となり

その常識が集まって偏見となり

“思い込み” や “決めつけ”

となっていくのではないか。

つまり、元をたどると
その人の人格や思考があり

その人自身の価値観を表しているとも考えられる。

そしてその価値観の背景には必ず経験や記憶など、
これまで過ごしてきた環境が存在する。

思考は、何もないところからは生まれないからである。

ここに気づくと、
“思い込み”や“決めつけ”に対してのとらえ方が変わる。

“なぜ”そう思い込んでいるんだろう
“なぜ”そう決めつけてしまうのだろう

その裏にある経験や環境、
さらにはその奥にある価値観そして思考、

これらに意識を向けると
自分を知る上でも相手を知る上でも大きなヒントとなる。

逆に、最初に述べた

「思い込みをなくそう」だとか
「決めつけはやめよう」という言葉は

「これまでの人生を生きてきた上で得た様々な経験や記憶を一旦横に置いて物事をフラットに見よう」
という意味になる。

1週間の記憶でできた思い込みであるならまだしも、
根付いた年月が長ければ長いほどそれらを横に置くことは難しい。

だからこそ、年齢を重ねれば重ねるほど
“頭が固い人”が増えるのであろう。

“頭が固い”とはよく言えば“芯が通っている”とも表現できる
そういった場合は、“なぜその人がそこまでこだわるのか”を考えてみるのも面白い。

思い込みとは一見悪そうな見た目をしているが、
実はその奥にその人の人生が眠っていることが多い。

この事を意識した上で人の話を聞くと、
これまで不快に思っていたことが相手との仲を深めるきっかけになるかもしれない。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

以下に過去の投稿が記載されているnoteのURLを添付いたしますので、気になる方はそちらからご覧ください。

「とある医者のさいこうな忘備録」

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