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【いい夫婦の日】夫婦円満のコツは「話し方」にあり! 家庭のイライラ・モヤモヤ・ギスギスが、ぜんぶ解決する「うまくいっている夫婦の話し方」を専門家に聞いてみた

11月22日は「いい夫婦の日」。

最近、「夫婦の会話」はありましたか?
話し方を変えれば夫婦は変わる。いい夫婦の日に「夫婦の会話」を見直してみませんか?

今回、シリーズ累計80万部突破の心理カウンセラー五百田達成さんの最新刊『不機嫌な妻 無関心な夫』の発売に際して「うまくいっている夫婦の話し方」をテーマにインタビュー(……というよりもはや相談!)を実施しました。


『不機嫌な妻 無関心な夫』が生まれたきっかけ

(編集部)
この本を書こうと思ったきっかけを教えてください!

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(五百田)
まず、僕には「夫婦って超難しい」という危機意識がありました。
そもそも前提として、恋愛が難しい。恋愛って二人が共通のゴールに向かうわけでもなく、ただ、あはは・うふふと仲良くしたり、プンプンしたり、すごく高度なコミュニケーションなんですよね。まるで納期の決まってない仕事というか、ふわふわしてよくわからないスポーツというか。

さらに夫婦というのは、この混然一体とした恋愛のようなものでもあり、子どもを産み育てて社会に送り出すというプロジェクトのようなものでもあり、一緒にいるのが自然な同居人のようなものでもあるんですよ。

夫婦ってちょっと組織体として高度に込み入り過ぎてませんか?
こんな難しいユニットの在り方ってないよね、ということに思い至りました。

そのわりに、夫婦の関係性についてはみんな、適当に考えているし、「長い付き合いじゃないか」とやり過ごしている。

だからいつのまにか夫婦関係がおかしくなってしまうという僕なりの勝手な課題意識があって、「みんな気をつけろ!!」と伝えたかったんです。それが本を書こうと思ったきっかけですね。

(編集部)
たしかに夫婦って、難しいですよね……。私もパートナーとは10年以上のつきあいですが、いまだに喧嘩します。

コミュニケーションの取り方をどこかで切り替えなきゃいけないですよね。

付き合っているときは、とりあえず関係を保っていればよかったのですが、家族になると、「子どもの教育」、「今後の住まい」、「家計の将来設計」など、さまざまなプロジェクトが急に立ち上がった感覚があります。

(五百田)
そう、仕事っぽくなりますよね。関係をすぐに切り替えられる人もあまりいないし、気合を入れて夫婦をする人が少ないんです。


コロナ禍で夫婦仲はどうなっているの?

(編集部)
コロナ禍以前から、五百田さんは夫婦に対する危機意識があったんですね。
そうはいってもやはり、自粛生活などの影響で関係性に変化が起こった夫婦が多いのではと思います。コロナ禍でうまくいっている夫婦、うまくいかない夫婦の違いやポイントはありますか?

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(五百田)
実は、コロナ禍で離婚件数は減ってるんですって。まあそうでしょうね。いろいろな経済活動が抑えられているこのご時世に、わざわざ役所に駆けつけてさあ離婚しよう!とはなりにくいですし。

別居するとか、子どもの親権の話とか、こんな時にすることじゃない、って言ってる夫婦はたくさんいると思います。というわけで数字上では減っている。

ただ雑誌からは立て続けに、「コロナ禍で夫が家にいてつらい」という悩みに関する取材を受けました。取材陣からリアルなエピソードを聞くと、みなさん不満が溜まっていましたし、家に自分の居場所がない、と涙目になられた方もいらっしゃいました。

ここで結論を言ってしまうと、「コロナ離婚をした人たちは、どうやらコロナ禍の前からもう駄目だった」んだと思います。コロナ禍をきっかけに離婚しただけであって、コロナ禍が理由ではない、ようです。

ただ! ……少なくともみんな「夫婦のこと」を考えたみたいですね。

離婚に至らないにしても、「私たち夫婦のルールは結構もろかったな」と。家にいる時間が長くなった瞬間にこんなに不協和音が生じてしまうのは、夫婦の「ビジネスモデル」がもろかったからだと気づいた。

そこからルールを変えてなんとかしている夫婦もあれば、どちらかが我慢することで生き残っている夫婦もあるようです。

(編集部)
ううむ。ルールや役割分担を見直す必要はどこの家庭にもありそうですね。


相手に口を出したくなっとときはどうすればいい?
⇒「なるべく見ない。些細なことは任せる」

(編集部)
役割分担でぜひアドバイスをいだたきたいのが、「相手のやり方に口を出したくなる」ことについて。私自身どうしても口を出したくなってしまうときがあって……例えば皿洗いです。

私は食器を洗うときは水を止めるのですが、、相手は水で流しながら食器を洗うんです。私たち夫婦は「任せたことに関しては口を出さない」とルールを決めていたんですが、ふと相手が皿洗いをしているところをみると(あ、水出しっぱなし……!)と気になってしまいます。

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(五百田)
皿洗いって流派や派閥が多すぎるんですかね、みんな皿の洗い方でもめてません? (笑)
我が家で言うと、結論は、「なるべく見ない」(笑)

なぜなら、アウトプットはそんなに変わらないから。12時間後に乾いたお皿を見たときに、「ほーら!水を出しっぱなしだからこうなっちゃったんだよ」ってならないですよね。

だから些細なことは任せちゃっていい。そして、任せたからには見て見ぬふりをしてどんな結果でも受け入れる。

とはいえ、これが例えば子育ての相談だとか、子どもの進路を考えるだとかっていうときは違います。「アウトプットは変わらないよ」というのは暴論かもしれないので、「どの学校に入れようかね」「思いやりのある子に育ってほしいね」とコミットしたほうがいいのかなと。「家のことはお前に任せているから」っていうのはあまりに横暴なので。


仕事の話は家でもしたほうがいい?
⇒面倒くさくてもしたほうがいい。わからなくても話してくれたという事実だけが残る

(編集部)
本で取り上げられたことの中でも、刺さるところがいっぱいありました。とくに「仕事の話を家でもしたほうがいい」という言葉です。私は仕事の話をパートナーにするのがすごく苦手で。説明するのが面倒だし、言ってもわかんないだろうし……。「仕事の話してよ」って言われるのですが、「打ち合わせしたよ」ぐらいにしか言えなくて。うまく仕事の話をするコツみたいなものはありますか?

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(五百田)
僕は、面倒くさくても仕事の話をしたほうがいいと思う派です。
それはもし内容がわかってなくても、「話してくれた」という事実だけは残るからです。

「この人は楽しそうにいろんな人に囲まれて仕事してるんだな」、ってわかるとどうやら安心できるようです。

テレワークがよかったのは、「ちゃんとアクティブに働いているんだ」、「どうやら同僚に尊敬されているっぽい」、「朝から晩まで本当に働いている」という実感がパートナーに湧いたこと。

ガラス張りになることは、いいことですよね。普段何をしているかはやっぱりわかったほうがいい。

もちろん逆もありますよね。物腰の柔らかかったうちの夫がZoomの画面越しにひどい上から目線の言い方をしていて、「こんな感じなのか……」と引いてしまった事例もあるみたいです。

結局、「仕事で見せる顔」と「家族に見せる顔」が交わざるを得ないと思うんです。同居していればなおさら。

(編集部)
たしかに、いままで接点がなかった「お互いの職場」のことが急速に近づいている感じがありますね。何より、うまく話そうとするよりも、コミュニケーションを取ること自体が大事なんだと気づきました。


指図されてイラっとしてしまう⇒自分は相手に丁寧にお願いできているだろうか?「言い方」についても話し合える夫婦が「いい夫婦」

(編集部)
家事をやるときに、命令形で言われるとイラっとしてしまいます(止まらない悩み相談)。

相手にそんなつもりがないことは頭ではわかるんですけど、どうしても指図されてるように思えて、イラっとしてしまうんです……自分の気持ちの切り替えってどうすればよいでしょうか?

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(五百田)
「言い方」について話し合えるといいですよね。

「私は家事をやるのは全然やぶさかではないです。けど、まるで店長がバイトに言うように、『これやってこれやってこれやって』と、当然のこととしてTODOリストをパンと渡されると、若干傷つきます。だから『やってくれる?』という言い方にしてもらえませんかか?」と言ってみる。

相手は相手でそれを受けて、
「よしわかった、言い方を変えるだけで済むのであればそうしましょう、でもこちらも余裕がありません。子どもがこれこれこうなので、これくらいはTODOリストで放り投げさせてもらえないだろうか」というふうになるかもしれない。

このように、「言い方」について冷静に話す機会を意識的につくる必要があります。

それが無いと、反射的に「何、その言い方?(怒)」って言ってしまうんですよね。

(編集部)
はっ……!(笑)(思い当たる節)

(五百田)
言ってることは一緒なんですけど、言い方が違いますよね。
理想論ですが、「言い方について、ちょっとご相談が……」と言えるようになるといいですよね。


話し合えるスタンスになってもらうには?
⇒勇気をもって正面から向き合う

(編集部)
自分は「話し合いをしよう」と思っても、相手が全然そういうスタンスじゃない場合、どうすれば「話し合い」をできるでしょうか。 

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(五百田)
そうですよね。こっちがサインを出しても相手が話してくれなかったら困りますよね。

たとえば、「ちょっと話聞いてよ」ではなく、ビジネスプラン的な話し方をする。

「今後にあたってルールを決めたいのですが」ってやったら引いちゃう可能性もありますが、引かない相手はめっけもんであることは間違いないです(笑)

『ベイビーステップ』というテニス漫画があって、主人公の設定がガリ勉の秀才なんですよ。テニスを始めたら意外と楽しくてとりつかれて、「プロになりたい」と親に言うんですね。

そのとき、親はもうびっくり。「テニスを始めたのはいいことだな」くらいに思っていたら「プロになりたい? え? 勉強は? 大学は?」となるわけです。

そのとき、主人公のえーちゃんは「プレゼン資料」をつくるんです。

「僕という人間のライフプランについて。今テニスのプロはこれくらいいます。これくらいの人が食べていけています。僕の日本ランキングはいまこれくらいで、三年以内にここまでいったら、たぶんここまで行けます。というわけで、大学に入るのが遅れるかもしれないけど、一年だけ挑戦させてほしい。もしだめだったら大学に入ります」と。

これって、いわば家族じゃなくて他人の関係なんですよ。
「なんで家族なのに僕のやりたいこと応援してくれないんだよ」ではなく、きっちりプレゼンをして、了承をもらうという。

結婚生活もそういうふうにできないもんですかねえ……なかなかできないよなあ(笑)

あとは、カフェなどを利用して話す場所を変える、話すコンディションを整える、話すことを予告しておく、というのもいいと思います。

理想論かもしれませんが、やっぱり話し合える人がいいですよね。

(編集部)
正面から向き合う区切りみたいなものは必要ですよね。


いい夫婦とは
⇒気合を入れて夫婦関係を築く、お互いに向き合っている夫婦

(編集部)
最後に、五百田さんの思う「いい夫婦」について教えてください。

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(五百田)
「夫婦って大事だよね」とお互い思える夫婦はいいと思います。社会インフラのように、あるのが当たり前だと思っていない夫婦。

僕はやっぱり、「夫婦仲が良いのはいいことに決まっている、それが生活の基本になる」という強い信念があったんですよ。編集者の大竹さんが僕のその思いをピックアップして、「夫婦さえうまくいけば人生はうまくいく」というコピーにまとめてくれました。本当か?と思いつつ(笑)、けっこう本気でそれを信じてる。気合をいれて夫婦をやってる人がいいなあと思います。

まとめると、きちんと向き合っている夫婦が好きです。もう好みの話になっちゃいましたが(笑)


『不機嫌な妻 無関心な夫』に詰まった想い

この本をつくるとき、最初はとても難航しました。というのも、筋金入りの「夫婦の在り方オタク」の気持ちが暴走してしまったから。

リベラルな新しい夫婦の形として、海外では「プリマリタルカウンセリング」というものがあって、家族を企業として捉えようという視点があり……と、「夫婦とはどうあるべきか」の五百田流夫婦論になりかけたんです。

ラッキーだったのは、編集者の大竹さん、構成で入っていただいた山田さんが、率直に「それ、ムズイ」「わかんない」「ハードル高そう」と言ってくださったんですね。

多分、僕の中にもいろいろコンプレックスがあるんだと思います。僕なりの家族の理想はあるけど、いったんそれは脇に置いて、「コミュニケーション」の話にしようじゃないかと。そこでようやく方向性が見えてきました。

突然、僕が「夫婦」の本を出したら「なんで五百田が?」となるけれど、「夫婦の話し方」について本を出すことは、僕の話し方シリーズの本※ともつながる。

※編集注:五百田さん著作の『察しない男 説明しない女』『話し方で損する人得する人』『超雑談力』などシリーズ80万部突破のコミュニケーション本シリーズ

夫婦論について熱く語りたいという自分の中のモンスターを飼いならし、膨大な熱量をすべて「コミュニケーション」に昇華させて出来上がりました。

この熱量は、『察しない男 説明しない女』以来だと思います(笑)

ぜひ、「夫婦の会話」について、この本から取り入れてもらえることがあれば幸いです。

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著者紹介

五百田達成 (いおた・たつなり)

作家・心理カウンセラー。 米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。 東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。 専門分野は「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」「SNSと人づきあい」「ことばと伝え方」。 「スッキリ!!」(日本テレビ)、「この差って何ですか?」(TBS)ほか、テレビ・雑誌などのメディア出演も多数。 著書『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』『話し方で損する人 得する人』『雑談力』(以上、ディスカヴァー)はシリーズ80万部を超えている。


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