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悩める中堅社員が希望を持てる本に。『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』編集者インタビュー

こんにちは!ディスカヴァー広報担当の宮田です。

12月23日発売の『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』は、若手でもベテランでもない中堅社員のための本です。経験を積んできたからこそぶつかる新しい悩みに対して、様々な組織で人材育成にかかわってこられた河野英太郎さんが、50のヒントをおくります。

今回は本書の担当編集である安永さんに、刊行の背景を伺いました。

安永姫菜 新卒入社8年目。書店営業部を経て、現在編集部に所属。

「社会人10年目の壁」にぶち当たっていた

——今日はよろしくお願いします!さっそくですが、本書の企画の背景を教えてください。

この書籍は、退職した先輩の企画を引き継いだものです。元の企画を初めて見た時、『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』というタイトルにとても共感したのを覚えています。
今私は社会人8年目なのですが、成長速度が鈍化している実感があり、「この先どうしていけばいいんだろう」、「このまま進んでいっていいのだろうか」と悩んでいたので、同じように悩む人々に向けたこの本を世に出したいと思いました。

——安永さんにとっても「10年目の壁」があったのですね。

そうですね。私は社会人6年目で営業から編集へと職種のチェンジがあり、今の職種だとまだまだ未熟で若手の気分もありつつ、もうすぐ社会人10年目になるということでなんとなく焦ってもいました。そのうえ、編集は「一人前」のハードルが高く、スキル不足を痛感することが多いので、自信を失うこともありました。まさに中堅の「壁」にぶち当たっていたと思います。

「生涯現役」で長期的にキャリアを考える

——その点は広報の私もとても共感します。「一人前」って難しいですよね。SNSなどを見るとすごい人たちがたくさんいますが、上を見るときりがないですし。

そうなんです。まさに本文にもありましたが、勝手につくりあげた偶像と比べないことが大事だと思います。
私も「こういう編集者になりたい!」と思って仕事をしていますが、全然そこに到達する気がしなくて。勝手に自分がつくりあげた理想の姿と比較して、焦ったり自信を失ったりすることがよくあります。でも10年、20年やっている先輩と比べても無駄ですよね。若くして活躍している人もいますけど、そんな人でも私と似たような悩みを持っているかもしれない。とにかく長期的に考える必要があるんだなと思います。

——本書の第2章8『豊かな老後に向けて、今何をするべきか』という項目の中でおっしゃっていた、

自分のキャリアには定年が存在せず「60歳や65歳でキャリアは途切れない」と考え方を変えるだけで、行動や学びの幅が広がるのを感じます。

『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』p.111

という部分とつながりますね。

定年が存在しないというのは、とてもタフな思考ですよね。字面だけみると正直嫌になってしまうんですけど、「自分がやりたいことを、いつからでもできる」と考え方を変えることで、肩の力も抜けるし、未来が少し楽しみになるなと思いました。
早期リタイアが話題になっているなかで逆行した考え方かもしれませんが、早期リタイアも仕事以外の面でやりがいを見出していると考えられるので、そういう意味では「生涯現役」になりたいというのは共通しているのかもしれません。

「私たちは希望を持ちたい」

——本づくりを通して、安永さんの「10年目の壁」はどうなりましたか?

「ほっとした」というのが一番です。まだまだここからスタートできる、自分を否定せずに頑張ろうという力が湧きました。
著者の河野さんは隣のお兄さんのような穏やかで優しいお人柄で、これまで書かれた本も決して「上から目線」ではなく、優しいアドバイスになっているところが魅力な方ですが、今回の企画を依頼さしあげるにあたり、河野さんには「いつも以上に読者に寄り添った書き方を意識してほしい」とリクエストしました。また同時に、「社会人10年目」の立場から、「私たちは希望を持ちたいと思っている」ともお伝えしました。
それに対して河野さんは、「自分が社会人10年目だった頃を振り返って書いてみます」とおっしゃって、ご自身の体験談からさまざまなアドバイスを書いてくださいました。河野さんらしく、前向きで、でもお説教っぽさは全然ない、悩める中堅社会人が希望を持てるメッセージにあふれた素晴らしい原稿をいただきました。

——たしかにお説教のような印象はなく、一気に読んでしまいました。

ありがとうございます! 河野さんからお預かりした原稿を編集するにあたって、バランスをとるのがとても難しかったです。「そのままでいい」というメッセージは耳当たりもいいですが、現実的にはそればかりでもいけないので、厳しく言っていただいているところも残しました。普段職場で厳しく言われることが少なくなっている世代だと思うので、そのようなメッセージも響くのではないでしょうか。

本書の魅力を存分に語っていただきました

読者とつくった「リアル」が詰まった本

——本書の制作にあたり、社内でのブレストや一般の中堅社員へのアンケートなどを行われたそうですね?

はい。社内でのブレストは企画が成立する前のカジュアルなヒアリングの場として行ったのですが、みんな似たようなことに悩んでいて、「わかるわかる!」と共感の嵐でした。そのため、私たちのような中堅社員はみんな同じような悩みを持ちながら、気軽に相談できずに困っているのはないかと考え、企画の成立につながりました。
その後、河野さんにご執筆をお引き受けいただいてからは、弊社のメルマガやSNSで中堅社員に向けたアンケートを実施しました。50人以上の方にご回答いただき、キャリアや働き方、転職などに関するリアルな悩みが集まりました。これらはそのまま書籍づくりに活かしています。本書はQ&Aの構成なのですが、Qの部分にアンケートであげられた悩みを反映しました。そのおかげで、よりリアルが詰まった本になったと思います。

——私もQにとても共感しました。Qのリアルさに加えてAの意外性も良かったです。目次に共感した人は一読の価値があります!ぜひ目次だけでも見てほしいです。

河野さんだからこそ伝えられること

——最初著者は決まっていなかったということですが、なぜ河野さんにご依頼されたのでしょうか?

河野さんは、弊社から「99%シリーズ」という大ヒットシリーズを刊行されています。なかでも『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』は50万部を突破したベストセラーです。ビジネスパーソンの悩みに対して明快な解決策を提示してくださるし、当たり前だけどできていないことを言語化するのがお上手なので、10年目の鬱屈とした悩みにもそんなアドバイスをいただきたいと思い、ご執筆をお願いしました。
また、河野さんは、日系大手企業や外資系コンサル企業、スタートアップ企業などいろいろな会社をご経験されています。さらに、コンサルをおこなうなかでさまざまな企業に駐在されていたので、本当に多様な働き方をご存知です。人材育成のスペシャリストでもあるので、偏りがなく、バランスのいいアドバイスをいただけました。

――その点は本書を読んでいくなかで、私も強く感じました。『20代のジョブホッパー経験』はもちろん、『30代はIBM一社で過ごすと強く決意』されていたことや起業のご経験など、本当に豊富なキャリアをお持ちで、説得力がありました。

「お客様基準」で思考をシンプルに

――本書の中で一番印象に残っている項目はどれですか?

今の時代に求められている内容だと感じたのが、第4章の6『多様性の時代ってなんでもあり? 価値観の違うメンバーに困惑する』です。
働き方改革が進み、多様性がキーワードになっていますが、例えば「オンオフをはっきりさせたいので絶対に週末は仕事をしない」とか「電話は相手の時間をとるので対応はメールのみ」とか、基本は尊重すべき価値観かもしれないけれど、トラブルが起きたときなどはどうしたらいいか迷いますよね。もっと軽微な価値観のズレで悩む方も増えているのではないでしょうか。

――たしかに、「多様性」をいいように使っているだけの場合もありそうです。

そうですよね。
そこでこの項目ではこのようなアドバイスをいただいています。

組織をマネジメントする上で、多様性の尊重と職務の遂行の間で迷ったら、組織の存在意義であるミッションの遂行や、守るべき共通価値観に立ち返ることで、尊重すべき価値観と単なる詭弁を切り分けることできるのです。

『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』p.187

リモートワークなど働き方が議論になる場面も増えていますが、共通の目的意識を持つことで議論がスムーズに進むのだろうと腹落ちした部分です。

――本書の中で何度もでてきた「お客様基準」に通ずる部分ですね。会社の悩みってつい内向きになりがちですが、最終的に評価をするのはお客様なのだと、私も視点が変わりました。

ありがとうございます。つい目の前の数字に夢中になってしまうけれど、お客様に価値を感じてもらうことが最重要ですよね。そしてこれはバックオフィスの方にも当てはまることなので、全員に対して有用な考え方だと思います。
それに、社会人10年目ほどの中堅社員は悩む範囲が広いので、「お客様基準」と軸をひとつに絞ってもらうことで思考がすっきりするのではないでしょうか。ノイズが減るという意味でもぜひ読んでいただきたい本です。

『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』

——最後に、安永さんと同じ「社会人10年目」のみなさんにメッセージをお願いします!

この本を気になってくださったみなさんは、きっと同じように悩んでいる方ばかりだと思います。社会人10年目は働き盛りですし、まだまだ成長の幅もあります。周りを気にせず、一緒に頑張りましょう!

――安永さん、今日はありがとうございました!



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