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地図で読むサバンナと熱帯|ウガンダ生活

今の仕事を始めて、地図に触れる機会が増えた。仕事では、アフリカのウガンダという国で、関東一帯くらいの広さをよく移動している。そのときには「この村からこの村まで車で何時間かかる」「それだと日帰りは無理だからここで泊まる」などと作戦を立てる。その作戦を立てるときに地図が必要になります。

地図は楽しい。じっと見ていると、いろんな情報が浮かんでくる。風景を地図に重ね合わせると、世界が奥行きを持ち始める。
目の前にある風景が、大きなパズルのピースのひとつのように見えてくる。

ケッペンの気候区分という有名な分類がある。難しく聞こえるけれど、要は地球上の土地を降水量や気温、植生で分類したものです。これを地図に落としたものが気候区分図。ウガンダの場合は以下のとおり。

ウガンダの気候区分図

首都のカンパラは上図でいう赤いAf、熱帯雨林気候になる。熱帯雨林気候は一年中雨が降っていて、気温がほぼ変わらない。雨が多いと、植物が元気だ。カンパラの周辺は下の写真のように木々が色濃く茂っている。

赤道直下のカンパラは一年じゅう太陽が当たる。すると、日光によって空気が暖められ、上昇気流が生じ、水分が空に運ばれます。水分は凝結して雲になり、やがて雨になって地表に落ちてくる。これがカンパラで雨が降るメカニズム。

カンパラ周辺部の植生

僕が普段いるのは、北部のグルという街で、カンパラの約330km北にある。グルの気候区分は水色のAw、同じ熱帯でも、サバナ気候と呼ばれている。背の低い草原(サバンナ)が広がっている地域(下の写真)。カンパラとは全然違う。

グル周辺の国立公園のサバンナ

なぜ、グル周辺にはカンパラ周辺ほど木が生えないのか。その理由はサバナ気候の降雨パターンにあります。カンパラと違って、グルは雨の降らない時期(乾季)がある。乾季には、木が水を十分入手できず、葉っぱが落ちてしまう。

そのため、サバナ気候では背の高い木々は生き残ることができず、草丈の低いサバンナが優勢になる。サバンナにも木は生えるが、水を効率的に吸い取れる、アカシアなど根が浅く薄く広がる樹形のものが中心だ。

地球の気候はよくできていて、雨の降り方や風の吹き方にも理由がある。気候は地域の植生を、植生は人の生活を左右する。僕は、地図を見ると、その場所に行ってみたくなります。その地域の自然や、人々の暮らしが気になるのです。

(おわり)

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