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食文化はちょっとミステリー|ウガンダ生活

僕のウガンダでの職場である事務所に、お掃除のおばさんがいる。毎日午前は掃除をして、お昼を作って食べて、午後2時くらいに帰っていく。最近、昼休みにこの地域の言語を教わったりしていたら、今日はランチを分けてくれた。

都会のポショ。

おかずはアフリカナスという野菜をトマトや玉ねぎと煮込んで、ロイコーという調味料で味をつけたもの。白いのはポショだ。ウガンダの主食のなかでもポピュラーな、トウモロコシ粉をお湯で練り上げた食べ物である。

ポショはシンプルだけど奥が深い。穀物を練り上げた似たような食べ物はアフリカのあちこちにあって、例えばケニアではウガリと呼ばれている。挽く前にトウモロコシの殻をきちんと剥くと、写真のような真っ白のポショができる。

ところが、なかにはトウモロコシの殻をむかずに挽く人がいて、そうなるとざらざらした黒っぽい粒が混じったポショになる。真っ白なポショは贅沢な都会の、粒が混じったのは田舎のポショなんだとか。(好みは人それぞれです)

左がカロー、右はデンゴーという豆のスープ。

主食でいえば、僕のいる北部では、ポショと同じくらい、ソルガム(モロコシ、コーリャン)を練り上げた紫色のカロー(上の写真)がよく食べられる。でもここで不思議なことがひとつある。

ポショはウガンダの北部と南部両方にあるのに、
カローは北部にしかないのだ。
なんでだろう?

理由のひとつはソルガムが乾燥に強く、雨があまり降らない地域でも栽培できるからだ。ウガンダの南部は雨が多く、北部も降雨はあるが南部に比べると少ない。だから、より乾燥した北部でソルガムが栽培され、カローが食べられる

でも、こうも考えられる。南部でもソルガムを作ったらいいのでは? 僕はポショよりもカローが好きだし、多少雨が降っても、強靭なソルガムは全滅したりしないはずだ。それなのに、南部でソルガムを育てる人はなぜ少ないんだろう?

ソルガム。葉や茎はトウモロコシに似ていますが・・・

ひとつの答えは栽培期間。一般的なソルガムは栽培に5-6ヶ月かかる。2期作ができるトウモロコシ(栽培期間は4ヶ月弱)と違って1年に1回しか作れないので、雨の心配のない農家にとってはトウモロコシを育てたほうが土地を2倍有効に使えることになる。

食文化はちょっとミステリーみたいなもので、思わぬ理由があったり、その背後に地域の生活がひそんでいたりするのを知るのがとっても楽しい。

ソルガムは収穫間近になると赤くなります。

(おわり)

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