アフリカ長期出張の心得|ウガンダ生活
ここ2年ほど、日本とウガンダという国を行き来する出張生活を送っている。1ヶ月ウガンダにいたら、2ヶ月日本に戻り、またウガンダに来てという具合で、よく言えば刺激的、悪く言えば落ち着きがない。毎日バタバタである。
ウガンダは東アフリカの内陸国で、サファリやコーヒー、マウンテンゴリラなどが有名だ。人もよくて住みやすい国だけれど、出張生活が始まって最初のうちはやっぱり色々と苦労した。(今も唯一不満なのは海の魚が食べられないことで、今日は海鮮丼をグーグル検索してしまった。重症だ)
普段はホテル暮らしだから、水回りは清潔だしインターネットも届く。苦労したのはむしろ、朝起きたら知らない天井があり、ビッグサンダーマウンテンばりに道の悪い道路を移動する、環境の変化に適応することだった。
でも、出張を繰り返すうちに、アフリカ長期出張の心得があるのではと思うようになった。それはこの生活を「日常」だと思うこと。アフリカへ行くのも、日常から非日常への移動ではなくて、日常Aから日常Bへの移動だと思うことである。
今自分が置かれているのは特殊な状況だと認識するとからだは無理をする。そうなると非常用電源みたいなものが発動して、数日はやたらと元気になって、そのあと一気に疲れがくる。それはそれでいい経験だけど、ずっとは続けられない。
この仕事を始めるまで、旅慣れた人は荷物が少ないのだと思っていた。でも、むしろその逆で、旅慣れた人ほど荷物が多い。日本食や常備薬、いろんなものを持ち込んであの手この手で自分の生活リズムを作っているみたいだ。
僕も最近はもっぱらスーツケースに大量の日本食や紙の本を詰めたり、あえてお気に入りのTシャツを出張に持ってきたりするようになった。日本にいるときと重なる部分が多ければ、それだけ普段通りの生活ができるという目論見である。
でも、できる限り普段通りに過ごそうとすることは、ある意味アフリカと聞いて連想する冒険や非日常性とは正反対だ。日本にはないワクワクを求めて現地の生活に浸かりたいなら、荷物は少ないほうがいい。
結局は生活と旅行の違いなんだと思う。僕の荷物が多いのは、それだけアフリカで過ごす時間が長いからだ。旅行のテンションで長距離走を走るのは疲れる。だから息切れしないように、自分のスタイルを作ろうとしているわけだ。
そういう工夫する過程って手作りな感じで僕はけっこう好きだ。文章を作るのとは違うけど、生き方を作るというか。生活と旅行がごたまぜになって境界がだんだん曖昧になっていく。その真ん中に生きることがある気がする。カッコつけすぎかもしれないけど。でも、大事ですよね、生きるの。
(おわり)
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