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ウガンダのソウルフードはロレックス

7月下旬までウガンダにいます🇺🇬


2024.06.10 月
前回の出張で、お土産にボールペンを持ってきたら、ウガンダ人の同僚には青色が圧倒的人気で赤色が余ってしまったと日記に書いた。(ボールペンは基本的に何本あっても困らないし、日用品だし、日本で安く品質の良いモノが買えるのでお土産に重宝する。ウガンダでは通常の筆記は青や黒だ。赤ペンはマイナーなのでみんな欲しがらなかった)

残り物の赤ペンになってしまった同僚に前回申し訳なかったので、今回は同じ黒の同じペンを全員に買ってきた。10名の同僚に10本の黒ペン。これでフェアだと胸を張ったら「話はそう単純でもないのだ」と同僚Aが首を横に振った。「みんな同じものを持っていると、余計に取り合うよ」と気になることを言う。

「この間、僕のと同じペンをB(別の同僚)にもあげただろう。今Bが使っているのは僕から借りパクした僕のペンだ。でもBも同じペンを持っているから、自分のだと言い張られて証拠がない」
「人聞きが悪い」向かいの席にいたBがAを睨んだ。「これは私のペンだよ。それは絶対百パーセントそう」
「きみはいつも僕のものを勝手に使うから」とAがニヤニヤする。要は同じペンがみんなの間で混ざってしまったということらしい。今回はたぶんAの失くした言い訳だと僕はにらんでいるのだが、それこそ証拠がないので何も言えない。

言われてみれば、事務所では共用の文房具(例:ホッチキス、はさみ、USB)がよく行方不明になる。原因のひとつはみんな使ったものを元の場所に戻さないからだが(それはそれで問題なのだが)、原因は別のところにもある気がする。

ウガンダ北部アチョリの人たちには、上手く言えないが、ペンを選ぶことにはこだわっても借りたペンを独り占めにはしないというところがある。モノという意味でも共有する相手という意味でも、日本人に比べて共有する範囲がずっと広い。例えば結婚式には兄弟の職場の人間も呼ぶ。クッキーを一袋買ったら皆で分ける。僕だったら結婚式には弟の友人は呼ばないし、お腹が空いていたらクッキーも一人で食べてしまうだろう。でもアチョリの人たちはそれをする。

ただ、それはアチョリの人たちが自分のモノと相手のモノの区別をあまりしないと言うことではない。それよりも、区別の線はきっちり引いた上で分かち合うことに価値が置かれている気がする。感謝してほしいと思っているわけでもなく、その動作がとても自然だ。だから、頑張って手に入れたものをあっさり手放したり分け合ったりしているように見える時がある。僕なら、努力して得たものは自分のものにこっそりしてしまうと思う。その辺りの感覚が不思議で、僕はまだ上手く説明できないのだが、もう少し長くウガンダにいたり文化人類学の本を読んだりしたら分かるのかもしれない。ペンは大事にしてほしいけど✒️笑



2024.06.11 火
4〜6月はウガンダではマンゴー(muyeme)のシーズンである。この間も子供が石を投げて果実を木から落とそうとしているのを見かけた。でも、なかには果実がまったく見当たらない木もある。実が生っていないのではなく、生ったけれどもう食べ尽くされてしまったのだろう。手の届く木の下のほうから実がなくなっていくのが色んな木を見ていると分かるのが楽しい。




2024.06.12 水
お昼にロレックスを食べました。ロレックスは高級時計ではなく、チャパティにオムレツを包んで焼いたウガンダのストリートフード。塩・油・小麦粉でできた最強の粉物(と書いてソウルフードと読む)です。くるっとロールするのでこの名前になったとか。

まずはチャパティを焼いて
その上でオムレツを焼きます
くるっと巻いて出来上がり
これで1,000シリング(約40円)




2024.06.13 木
ファン・ガブリエル・バスケスの「コスタグアナ秘史」を再読。コロンビア内戦に巻き込まれたひとりの男の物語。難しいけど、すごく好きな作品です。特に下の文章がすごくよくて、長篇小説の数百ページは丸ごと助走で、すべてはこういう一文のためにあるよね、と思う時があります。

ぼくは、チャグレス川の底で、生き続けるだけの価値があるとシャルロットが決めた、あの午後に起きたことを思った。シャルロットはあの秘密を墓まで持って行った。いや、彼女がぼくに明かす前に、墓が彼女を見つけ出したと言うべきか。しかし、川底でのあの計り知れない決定にぼくが何がしか関わっていたことを思うと、ぼくはいつも幸せを(つかの間の、ひそかな幸せを)感じた。

ファン・ガブリエル・バスケス. コスタグアナ秘史. 水声社. 2016. p.290-291.




2024.06.14 金
今日は地方に行って、お昼をNwoya県Purongo郡の小さな食堂で食べた。何があるかと聞くと、聞き慣れた中にOtwoという知らないメニューがあった。燻製肉のことで、何の肉かと思ったら、なんとイボイノシシだとのこと。(!)

迷ったけど食べてみた。下の写真で見ると魚のよう。クセがなくベーコンを淡白にした感じ。肉質があっさりめで濃い味のピーナッツソースともよく合う。骨が細いぶん、実がたっぷりで美味しかった。5,000シリング(約200円)。

左側のカロはソルガムを練った食べ物です


ところで食事中、肉を少しテーブルに落としてしまった。それを見たウガンダ人の同僚が笑って言った。

Laremi amala, kec tye kaneko ne.(恋人のお腹が空いてるんだよ)

アチョリでは「食べ物を落としたら、恋人のお腹が空いている」という言い伝えがあるらしい。「日本にはそういうのないの?」と聞かれたので「落としたものは基本的に食べないが、3秒以内なら拾って食べてもいいのだ」と答えた。答えた後でちょっと違うかもと思った。まあ、いいか。




2024.06.15 土
埼玉の同居人と名古屋の母親から日本は蒸し暑くなってきたと聞いた。季節が移り変わっていきますね〜〜




2024.06.16 日
今日はおやすみ。コーヒーを淹れて蓮沼執太さんの曲を流しています。みなさんもどうぞよい一日を!




(おわり)

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