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「ふるさと自慢」で三句詠んでみます

俳句に関しては(俳句だけじゃないかもしれないけど)幼稚園に入園できないほどの赤子のワタクシ。
普段は遠くから指をくわえて見ているしかないのだけれど、今、俳句幼稚園では誰でも参加できる「ふるさと自慢」という企画をされているのだそう。

日本の生まれ故郷で二句、現在の棲息地で一句、詠んでみました。
ちなみにこの三句、「自慢」ではなく「思い出」の句みたいになってますが…
おっと、言い訳は後にするとして、まずは三句。


荒波のサーファー遠く砂遊び
(あらなみのさあふぁあとおくすなあそび)


夏の浜太古の貝を掘りあてる
(なつのはまたいこのかいをほりあてる)


古都の夏水浸しから二十年
(ことのなつみずびたしからにじゅうねん)


そして肝心な「どこを詠んだ句なのか」ですが。
私の生まれ故郷は愛知県の東側の半島、渥美半島の付け根にある市であります。市の名前を言っても全国レベルで知られている市ではないと思うので分かっていただけないかと思い、あえて書きません(これでも新幹線の駅はある!がヒント…ってクイズにしてどうする)

重要なのは「愛知=名古屋」ではないというところ。
そこをご理解いただければうちの市の名前なんて、ここではさして重要じゃありません。
「ご出身は?」
「愛知です」
「名古屋って言えばさ…」
この会話を何度繰り返してきたことでしょう。名古屋は東京よりは遊びに行ったことがありますが、よく知らない街だし、名古屋弁も分かりません。
ま、これって皆あるんだろうな、とは思うのですが。
今も日本人だって言うと東京出身だと思われるし、私も露西亜人に会えばモスクワ出身なんだろうと思ってしまう。露西亜の出身でも、モスクワに行ったことさえない人はたくさんいるだろうに。

おおっと、脱線しまくりました。
最初の二句ですが、我が家から車で20分で渥美半島の太平洋側に出られるんですね。そこを詠んだものです。
幼いころは波が怖くて怖くて、足を海水にさらすこともできなかった。
それで一句目、「荒波のサーファー遠く砂遊び」。
サーフィンは夏季語らしいですが、サーファーはどうなんでしょう。
波乗りは一年中いた気がしますけどね。

そしてその海岸には地層がむき出しになっているところがあって、貝の化石を発掘して古生物学者気分を味わえるんですね。
小学二年生の時に市が自然史博物館を開設し、恐竜にはまった私も掘りに行きましたよ。それを詠んだのが二句目の「夏の浜太古の貝を掘りあてる」です。

今は海外在住ではありますが、そんなに世界を闊歩してきたわけではなく、自分ではけっこう定住型だなあと思っています。
生まれてから高校卒業まで故郷、大学は京都で三年(三年?中退しているからです)それからチェコの首都プラハに住んで今度の九月で20年になります。

20年前、2002年の8月、中央ヨーロッパの都市が大洪水に見舞われました。
自然災害ってたいてい地方で起こるものですが、この時はヴルタヴァ(モルダウ)川、ラべ(エルベ)川、ドナウ川が氾濫し、プラハ、ワルシャワ、ウィーン、ドレスデンなど、まるで狙ったかのように大きな街に洪水が起こりました。
日本の新聞にもプラハの街中でボートを漕いでいる写真が載ったりして、9月から留学を控えていた私に皆が「おい、行けるのか」と言っていたのを覚えています。実際2002年9月にプラハに上陸したわけですが、地下鉄などまだ復活していないところがありましたね。水は引いていましたが。
解説が長くなりましたが、そこから三句目の「古都の夏水浸しから二十年」です。

チェコに来た当初から今まで頻繁に聞かれる質問が「日本の何がいちばん恋しい?」
こういう質問に答えるのはひたすら面倒くさいのですが、私はいつも「海」と答えることにしています。四方を他国に囲まれ海のない国チェコ。みんな納得してそれ以上「なんで?」とか聞いてきません。
実際、海を見るのに国境を超えないといけない、と考えると何だかビスケットだけ出されてお茶がもらえない気分になってきませんか?

そんな土地で起こった大水害から20年。当時を知る人はいろいろ思い出す今年の8月なのではないかと思います。


相変わらず日本語の文章を五七五にぶった切っただけの句しか詠めませんが、「ふるさと自慢」企画のおかげでいろいろ懐かしいことを思い出すことができました。ありがとうございました。

今日の一枚



先日投句した「鶴亀杯・みんなの俳句大会」、あんのじょう本大会では予選にも通りませんでしたが、なんと沙々良まど夏さん賞に選んでいただきましたよ!

実はこの記事が公開された日、嬉々としてお礼のコメントを残したのですが…なんか、変なコメントしてるんですよ私。日本語が間違ってるっていうか、一語ごっぞり抜けている。書いた本人は何が言いたいか分かっているけど、読んでくれる人にこれはちょっとどうかな、と思うような間違い。日本語で勝負する俳句大会に日本語できないやつが混じっている…。コメントも後から修正できるみたいですが、気がついたときにはそのコメントに三つもスキをいただいていて…今更なのでそのままに。
長く日本を離れていると、母語もこんな風になっちゃうのね、と温かい目で見守っていただければ。



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