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ティール組織を考える(前編)


ティール組織という言葉を一度は聞いたことがあるという人は増えてきたと思います。

では、ティール組織とは一体どんな概念なのでしょうか?
少し解き明かしてみることにしましょう。

ティール組織とは、フレデリック・ラルー氏によって提唱された
次世代型組織モデルを表す言葉です。

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この表紙は、結構本屋で見かける方は多いかと思います。
そして、本の分厚さから買うのを躊躇されるのも予想されます。笑


早速本題に…といきたいところなのですが、実はティール組織を理解するためには
その前提として、「組織の成熟度における段階」を押さえておかなければいけません。


ラルー氏によると、組織は成熟度によって5つの段階に分けられるといいます。(下記参照)
そしてこれからは過去~現代にかけて時代を追うごとにステージアップしています。

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①衝動型組織(Red)

衝動型組織は、約一万年前に王国(首長)の誕生によって形成されるようになった組織です。

簡単に言えば、「圧倒的トップ(特定の個人)による支配型マネジメント」といえるでしょう。

衝動型組織には、強力な上下関係が存在し、その最上位には特定の個人の存在があります。
つまり、1人の長多くの使用人という役割の構図ができ、長は使用人に命令をし彼らを動かすことで、自分の利益獲得のための行動(労働や戦争)を可能にしました。

歴史的には、組織(それ以前は集団と呼ぶべきか)に「役割」や「立場関係」という概念が存在するようになったのは、この衝動型組織からと言われています。


②順応型組織(Amber)

順応型組織は、単純農法に依存していた部族社会から、農業、国家、文明など制度社会に変わるタイミングで形成されるようになった組織です。
先進国社会における今日の成人人口の大半が、この組織の中に属しているともいわれています。

「ピラミッド型の軍隊式マネジメント」というとイメージがつきやすいかもしれません。

上層部による計画を正しく遂行していくために、規律や明確な指示命令系統によって組織の末端メンバーまで情報が行き届き、指示通りに遂行していく。

このような組織によって、今までの「個人のエゴ(欲望)」による意思決定や計画から、
「組織の共通目標」による意思決定や計画を可能にし、より長期視点での組織運営を可能にしました。

一方で、組織に属しているメンバーに対する裁量権や自主性は厳しく制限されており個々人が自己裁量の中で動けるような組織ではありません。


③達成型組織(Orange)

順応型組織では、規律(ルール)というものが「絶対」であり、「不変」であるとされてきました。

しかし、産業革命によって経済そのものの仕組みが変わってきている中で、上記の組織を疑問視するような声が上がり、

第二次世界大戦後から西洋諸国では、順応型組織→達成型組織へのパラダイムシフトが起こるようになりました。


達成型組織とは、簡単に言えば「成果主義をベースとした自己裁量型マネジメント」といえます。

乱暴な言い方をすると「成果を出してくれていれば、何をしてくれてもいいよ」ということです。
しかし、これだけ聞くと収集のつかない「わがまま集団」になってしまうんじゃないかと思いますよね。

だからこそ、組織として機能するために達成型組織は3つの要素を重要視しています。
それが、 (1)イノベーション(2)説明責任(3)実力主義 です。

説明責任によって、自分の組織における成果責任を明らかにし
実力主義によって、客観的成果に基づいた評価を可能にし

そして、イノベーションによって個や組織にパフォーマンスをさらに高めていく。

この要素を押さえながら組織運営をされているのが、現代のグローバル企業であり、現在の組織モデルのスタンダードになりつつあります。


④多元型組織(Green)

達成型組織までは、みなさんもイメージがしやすかったかと思います。

しかし、近年「人間中心の経営」「パーパス経営」など、個人の感情共感を基点とした企業運営が求められている中で、「成果主義一辺倒」の達成型組織では限界が来ているのも事実なのです。

そこで、次は多元型組織というものが形成されるようになってきました。

多元型組織とは、「文化主義のボトムアップ型マネジメント」といえます。

理想としては、階層や立場というものは撤廃し、意思決定や指示命令系統が「上から下に」という縦の概念ではなく、立場関係なく意思決定やコミュニケーションがとれる横の概念で組織運営を考えているのが大きな特徴です。

そのための要素として

(1)権限の委譲 (2)価値観を重視する文化 (3)多方面でのステークホルダー視点

を重要視しています。


権限を平等に委譲することによって、組織の中で「承認」というプロセスを踏むことがなくなり、結果的にスピーディーな意思決定・行動を可能にします。

しかし、個人に権限を委譲しすぎると自身のエゴによる意思決定が増え、結果的に組織が崩壊する危険性も孕んでいます。
だからこそ、組織における存在目的を明確にし、「価値観への共感」でメンバーを繋ぎ止め、個々人の意思決定も、「自分の行動が価値観にあっているのか?」と問いを常に投げかけることで、良識に従った意思決定を促します。


また、今までは

・(恐怖政治の)トップに嫌われないため
・上司に気に入られるため
・会社や自分の利益のため

と限定されたステークホルダーを目的達成のために組織運営になっているケースが多かったのですが、

多元型組織ではステークホルダーを限定せず、多方面のステークホルダーを考慮に入れながら最適な組織運営をしていくことが求められています。


これも、ESGやSDGsなど、利益を上げること以外の社会的責任が企業によってキーファクターになりつつある、という外部環境が寄与しているのでしょう。


⑤進化型組織(Teal)

そして、多元型組織をさらに上位概念に引き上げたものが進化型組織(ティール組織)と呼ばれています。


ティール組織とは、「組織であって組織でない」という言い方が最も適切でしょうか
(おそらく、何を意味不明なことを言っているんだと思われそうですが。笑)

ラルー氏は、ティール組織のことは「1つの生命体」と比喩しております。


それぞれの自立した細胞(個人)の集合体が生命体(組織)であり、
この生命体(組織)は、時代変化によって様々なカタチに変化すべきである。

といったところでしょうか。汗
難しい概念ですね…


そして、ティール組織の3つの要素として


(1)自主経営(セルフマネジメント)

(2)全体性(ホールネス)

(3)存在目的(パーパス)

が重要だと述べられています。

さて、次回からはこのティール組織の要素について
少し深掘りしていくことにしましょう。


それでは、また。

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