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2.5年の活動まとめ〜福島県磐梯町地 域おこし協力隊 卒業〜

生まれ故郷である福島県磐梯町…磐梯中学校卒業と共に磐梯町を旅立ってから約15年。
磐梯町にUターンして地域おこし協力隊の仕事をスタートし、2023年3月末で卒業となりました。

在任中は主にデジタル変革戦略室(DX=デジタルトランスフォーメーション)の業務、SHIBUYA QWS等を活用した官民共創プロジェクトの創出に携わってきました。
自分は特定の分野に特化したスキルがあるわけではありませんが、広い分野に興味を持ってスキルも身につけたいタイプなので、今の磐梯町にはそのスタイルがマッチしたのかなと思っています。

この記事が、地域おこし協力隊に興味がある方や、DXや官民共創に関わっている方々の参考になれば幸いです。

1|官民共創

磐梯町はSHIBUYA QWS(渋谷スクランブルスクエアにある官民共創施設)の会員になっており、そこで活動する企業・大学・個人、自治体の方々と多くのコラボレーションを実現してきました。

これまで民間企業や個人の立場で活動してきた自分が思ったのは「自治体に外からの考え方やテクノロジーが入ればもっとよくなるのにな〜」ということでした。
関係人口の創出や、官民共創プロジェクトの創出を目的として実現した事例を紹介します。

▶︎ 謎ロゲ(謎解きロゲイニング)
SHIBUYA QWSの会員だったゼロ高等学院の高校生(当時18歳)との出会いから謎ロゲがはじまりました。

その高校生が謎ロゲを実施できる自治体を探していたそうですが、コロナ禍真っ只中でどの自治体からもなかなか協力を得られなかったようで…
そんなときこそフットワークが軽い磐梯町!直接、高校生から町長に謎ロゲをプレゼンする機会をつくり、全国初の自治体後援による謎ロゲ実施に向けて動くことになりました。

謎ロゲを一言で説明すると、まち歩きゲームであり、ロゲイニングとなぞなぞ要素を掛け合わせることで、参加者はフィールドとなる地域の文化や歴史等のストーリーの世界観でゲームを楽しむことができます。
自治体側からすると、地域への理解を深めてもらうことができ、ただの観光よりも密度が濃い関係を築くことができます。
謎ロゲについては、過去のnoteにもまとめてあるので、ぜひご覧ください。

ゼロ校の主宰者である堀江貴文さんも推しの企画だったこともあり、堀江さんのオンラインサロンのメンバーやゼロ校のスタッフさんにも協力いただき、想像以上の反響がありました。
近隣の町や首都圏にいる知人からも「謎ロゲについて教えてほしい!」うちの地域でもやりたい!」と声をかけていただくこともあり、更なる発展の可能性も秘めています。

▶︎ PON酒女子×磐梯酒造オリジナル日本酒
20~30代の女性に向けて日本酒の楽しみ方を広めている「PON酒女子」と磐梯町で100年以上続く「磐梯酒造」をおつなぎし、オリジナル日本酒「@Party」が完成しました!

PON酒女子と@Party 磐梯酒造にて

PON酒女子、磐梯酒造、@Partyのプロモーションとして、ミュージックビデオをつくったりオンラインイベントを企画したり…
磐梯町の名水からつくられた日本酒をきっかけに、多くのファンをつくることができたと思います!

▶︎ PON酒女子×磐梯酒造×PULPSミュージックビデオ

映像の作成やアーティストのキャスティングは磐梯町とご縁があった音楽プロデューサーの小島さんが担当してくださいました。

▶︎ 磐梯天授ファーム×RIONミュージックビデオ

磐梯町のトマト農家さんい出演いただき、アーティストのファンとの交流でトマトを購入いただいたりも!

▶︎ 愛情こめこめオンライン帰省イベント
あと、思い出に残っているのは…首都圏在住で磐梯や会津と縁がある方にSHIBUYA QWSに集っていただき、バラエティ番組調にオンラインイベントを開催したこと。
イベント前日に福島で大きな地震があり1ヶ月延期になってしまったのですが、それでもキャンセル者が出ることほぼなく、みなさんそのまま参加してくださったのはすごくうれしかったです。
ユニークな取組みだったということで、いくつかのメディアから取材もしていただきました。

2|住民向けDX施策

磐梯町は町の指針となる総合計画の中で、デジタル技術の活用による町の変革を掲げています。
磐梯町もいわゆる少子高齢化が進んでいる田舎町…人が少ない中で行政サービスを維持していくには、デジタル技術の活用が必須だと思い取り組んできました。自分たちのようなミレニアル世代〜Z世代にとってはデジタルで情報が取れない町は不便ですしね…
デジタル技術やソリューションが注目されがちですが、DX室の全職員が「デジタルはあくまで手段であり目的ではない」という考え方で施策に関わってきました。

▶︎ デジタルなんでも相談室
全町民が気軽にデジタルに関する相談ができる窓口を町のスーパー内に設置しました。
直接町民の方々と話す機会は少なめの仕事スタイルなのですが、たくさんの方々にスマホやアプリの使い方、マイナンバーカードの活用方法などをレクチャーしお役に立てたかと思います。
町民の方とのコミュニケーションの中で、地域特有の人付き合いや歴史を学ぶことができたのも勉強になりました。
地域を知ることは地元の人と会話することが1番だな〜と実感。

「シニアはスマホを持っている人は少ない」という仮説がありましたが、データを取ってみると決してそんなことはなく、多くの方がスマホをもっていてインターネットに接続できる環境にあることがわかりました。
また、LINEの年齢別シェアでは50代以上が最も多いことも新たな発見でした。このような統計をデータ化できたのもよかった点ですね。

この取組みは総務省の事例集にも掲載されました

▶︎ ばんだいコイン
福島県内では初の地域デジタル通貨をリリースしました。
ざっくり説明すると、磐梯町版PayPayのようなイメージで、磐梯町のお店や施設でお得に使うことができます。

これに関しての、デザイン、クリエイティブ、プロモーション動画などなどを制作しました。チラシも何パターンもサンプルつくりましたね〜
町民に共通のアプリが浸透することで、着々とデジタルインフラが整ってきています。アプリを起点としたコミュニケーションや利便性UPなど、これからも磐梯町のデジタル施策に期待です!

3|広報DX

「町からのお知らせは紙が多すぎ!」「知りたい情報まで辿り着けない…」という課題を解決すべく、広報のDXに関わってきました。
デジタル情報インフラを整えると共に職員さんへの研修も実施しました。

▶︎ 情報インフラの整理
「アカウントをつくったが放置…」「ID&PASSがわからない」「どの媒体で発信したらいいのやら…」そんな課題は自治体でも企業でもあるあるではないでしょうか?
そんな課題を解決すべく、HPやSNS等のアカウントの運用方針をつくり、それぞれのターゲット設定や発信内容の整理などを行いました。
アカウント情報の一元管理ができるようになったのは、地味ですがセキュリティ面においても重要な点かと思います。

情報インフラ・情報発信アカウントを整理

▶︎ 広報研修の実施
磐梯町は広報課のような組織がなく、各課が広報をすることになっています。そこで、全職員向けに広報の重要性を説明し、知識のボトムアップを図る研修を年に数回実施しました。

また、各課の広報担当者向けには「磐梯町版 広報の教科書」を作成し個別に研修を行いました。やはり、全体研修を行うよりも個別の方が顕著にスキルアップし、効果的だったなと実感しています。
「磐梯町版 広報の教科書」の作成にあたっては、自治体広報関連で数々の受賞歴もある、佐久間智之さんの著書を大いに参考にさせていただきました。
自治体関係者はぜひチェックしてみてください!

広報の教科書ページ例

チラシ作成や写真撮影が頻繁に発生する課に対しては、Adobe CCアプリ(Illustrator、Lightroom、Photoshop)のレクチャーも行いました。
人口3,000人規模でこのスキルを取得している職員がいるというのは、希少なのではないでしょうか?
意欲的に学んでくださる職員さんがいて、ぼく自身も楽しくディスカッションができました。

デジタル戦士デジタンも生み出して、ふくしまCM大賞に応募しましたね笑
磐梯町CDOの菅原さんが全国各地の自治体でDX講演するとき、冒頭でこれを見てもらってるそうな…

4|お礼と今後

あっという間の2年半でしたが、磐梯町に帰ってきてすごくよかったと思っています。
このような機会をくださった磐梯町、関わってくださった職員さんや町民の方々、各種プロジェクトでご一緒した方々に改めて感謝申し上げます。

今後は株式会社ペグを立ち上げて、地域に関わる仕事をしていくので、引き続きよろしくお願いします!
これからも磐梯町を楽しんでくださる方が増えてくださるとうれしいです!

磐梯町地域おこし協力隊 卒業隊員|五十嵐大輝

福島県磐梯町

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