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なぜ毎日洗濯しても洗濯物はなくならないのか?(結構ガチなWeb3のお話ですw)

洗濯機が壊れました

先日、家の洗濯機が壊れました。2ヶ月くらい前から回すとキュルキュル言い出して、ひと月くらい前から脱水でエラーになり出して、毎回手で絞ってました。何とかなるかと軽く考えていましたが、仕事しながら毎度手絞りは時間もかかるし疲れるし、、で修理することにしました。エンジニアさんが2人がかりでドラムまるごと交換して、51,040円かかりました

洗濯は(なんとなく)私の分担

何で私が手絞りまでしてたかと言うと、力仕事だから、とか言う理由ではなくて、昔から何となく洗濯が私の家事分担なのでした。子供が何ヶ月に一度給食用のかっぽうぎ(今は白衣と言うらしいですが💧)を持って来るとご丁寧にアイロンがけまでやっています(好きでやってるんではない)。たまに、タオルケットとかが洗濯機の前に無造作にどーんと置かれてたりするとさすがにカチンと来ます。……愚痴を言うコーナーではないですので、この辺で止めますw

で、当たり前の話ですが、洗濯物は毎日出ます。洗濯機回さないと洗濯物は溜まります。溜まると洗濯する気力がなくなり、先延ばしして、更に溜まり、、ここでクエスチョン。では、何で洗濯物は洗濯しても洗濯しても一向になくならないのでしょうか?

A. 生活してるから

そりゃ、私たちが毎日生活してるから服が汚れる訳で、一日活動して汗をかいたりするので洗濯して、キレイになって乾いたらまた着るのは当たり前すぎです。洗濯を怠ると洗濯物が溜まる原因は、毎日生活しているからです。"生活"というサイクルが日々ちゃんと回っているからなのです。

こういう類の例はたくさんあって、例えば私たちの身体も毎日毎日食べ、そしてう○こが出ていきます。食べなかったらどうなるでしょうか?また、会社という組織もそうです。お金の出入りが止まってしまったら会社の目的が経済活動である以上、その組織は成り立ちません。

身体にせよ、企業にせよ、およそ組織というものは常に何かが出たり入ったりすることで”生きている”のです。組織は常に入れ代わり立ち代わり揺れ動いているのです

出典:Wikipedia

平衡状態

"つり合いがとれている状態"のことを平衡(へいこう)状態と言います。何も難しいことはなく、冷たい飲み物を暖かい部屋に置いておくとそのうち部屋の温度と同じになってしまい、一度そうなるとそれ以上自発的に熱くなったり、また冷たくなったりはしません。(見かけ上)”釣り合った状態”になり、それ以上変化が起こらない(ように見える)状態がこれです。ここで”見かけ上”とあえて書いたのは、ミクロの世界では押し問答が繰り返されているからです。マクロ的には何の変化もこれ以上見られないため、平衡状態のことを"死"と表現することもあります

洗濯機の例にせよ、身体や企業の例にせよ、出たり入ったりを無視すれば日々の活動や身体や企業もマクロ的には毎日ほぼ変化はありません。ですが、"生きています"。これは出たり入ったりするものがあるからです。

動的平衡

身体に対する食事と排泄、企業に対する資本の出入りなど、ある系(システム)に対して出たり入ったりすることでマクロ的な平衡状態を保つことができる状態を、青山学院大学の福岡伸一教授は"動的平衡"と呼びました

出典:木楽舎

一見その独立したシステム自体は動きはないのですが、実はそのシステムは何かが常に出たり入ったりすることで成り立っているという意味です。

例えば私たちの住むリアル社会はどうでしょうか?Oxyzenではもう何年もリアル社会の人々の動きを追ってきましたが、街ごとに毎日、毎時間ほぼ同じような人の動きが観察できます。実際にもいろいろな街を歩き回っていますが、今日と明日とで同じ人が同じ目的で同じ場所にいるわけではありません。日々人も入れ替わり立ち替わりしているのに結果としてその街の人の動きは同じ(一定)なのです

Digital東京で調べたある場所の人流。ほぼ、毎日同じ!

これはよくよく考えてみるととても不思議です。毎日同じ人が同じ時刻に同じ目的でもって行動していれば簡単に分かるのですが、実際はそんなことは逆に稀です。

散逸構造

動的平衡は、実は散逸構造(あるいは"非平衡開放系")という科学的なアプローチによって説明がなされています

お風呂の栓を抜くと、ぐるぐると”渦”が現れます。ここで、"渦だけを取り出してください"と言われても、、渦自体は水が常に入って出ている"流れ"ですので取り出すことは不可能です。でも、”渦”は確かにそこにあります。熱い味噌汁の表面に現れる雲のようなかたまりも同じです

正確には、”ベナール対流"と言います。出典:Youtube

"一定の入力のあるときにだけその構造が維持され続けるようなもの"を散逸構造と言い、この構造の発見で、イリヤ・プリゴジン1977年にノーベル化学賞を受賞しています(味噌汁の表面にノーベル賞級の未知なる世界が存在していたとは本当に驚きです)。

Web3と散逸構造

Web3とはどう言った概念だったでしょうか?ブロックチェーン、非中央集権(分散処理)、インターネットの民主化などなど人によって解釈の揺れもあったりもしますが、重要な概念のひとつがまさに"散逸構造である"ということです。

散逸構造には"司令塔"がいません。渦潮にはそのかたちを作るための指示者はいません。いやいや企業には社長がいるし、身体には脳があるよ!それはそうなのですが…….実際に社長や部長、また脳も細胞の一つひとつを管理している訳ではないですし、社長も(部長も課長も……)実際には社員が行う業務の全てを把握していちいち指示している訳ではありません。実際に有機的な組織は概して最低限のルールの元で、自由に動いていて、そのほうがむしろ効率が良かったりします(一部のブラック企業は違うかも知れませんが……)。

出典:Youtube

Web3のネットワークでは基本的に全ての参加者やコンピューター(ノードとも言う)が平等でフラットです。特別な権力者や管理者はいません。そのネットワークは常に参加するノードがあり、また一方で離脱するノードがあり、揺れ動いていますが、ひとつのサービスなどを自律的に維持し続けるのです(これを"自己組織化"と言います)。また、ノードが離脱する一方で新たに参加するノードが枯渇する場合、そのWeb3サービスはいずれ"死"に至ります。そう、溜まる一方の洗濯物に途方に暮れて、生活が、破綻するように……

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