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【前編】顧客満足を最大化する最先端のコンタクトセンターを目指すスカパー・カスタマーリレーションズ

スカパー・カスタマーリレーションズは、有料多チャンネル放送「スカパー!」とその他各種業態15社のコンタクトセンター運営を担う企業です。初回となるインタビューでは、弊社もご一緒させて頂いた「次世代スマートコンタクトセンター」プロジェクトの取り組みについて、ビジョン、今後の展開など、スカパー・カスタマーリレーションズ 代表取締役社長 新巻 康彦氏にお話を伺いました。

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Q.御社の仕事内容について教えてください。

 我々、スカパー・カスタマーリレーションズ(以下、SPCC)は、有料多チャンネル放送「スカパー!」とその他各種業態15社のコンタクトセンター運営を担っています。具体的には、お客様からのお問合せ対応(インバウンドコール業務)と、それに付随する事務処理業務のほか、加入促進のための発信対応(アウトバウンドコール業務)を行っています。お問合せ窓口のオムニチャネル化を進め、電話だけではなくメールやチャット、LINEなどのノンボイスでの対応も受け付けています。お客様の生の声を、要望やニーズとして、改善提案も含めてスカパー!に届ける大事な役割を担っています。スカパー!は番組数が非常に多く、お客様は迷われることが多いので、あらゆるお問合せにお応えし、できるだけ楽しんでいただけるようなコンシェルジュ的な役割を目指しています。また、現在準備を進めているのが、スカパー!のウェブサイト運営です。SPCCが直接スカパー!のサイトにお客様の改善要望をスピーディーに反映させることで、スカパー!のサービスコミュニケーション全体をよくすることができると考えています。

Q.今、コンタクトセンター業界では何が起こっていて、御社にとっての課題はどのようなことでしょうか。

 課題は3つあります。1つ目は労働市場の厳しさ、2つ目はお客様のコミュニケーションツールの変化、3つ目はコンタクトセンターのデジタル化です。
 1つ目の労働市場の厳しさですが、これは慢性的な人手不足という問題です。特にSPCCがコンタクトセンターを配置している札幌や沖縄などの地方は、コンタクトセンターが集中している地域であり、オペレーターさんの時給が高騰しています。また、全国的にあらゆる業界で人手不足による人の取り合いが起きており、採用が追い付いていない状況です。さらに、採用後の離職を防ぐため、育成やフォローも急務となっています。そのような状況の中で、人手不足を補う業務の自動化や省略化は大きなテーマであると感じています。
 2つ目のお客様のコミュニケーションツールの変化とは、昨今のスマホ普及により、電話応対のみならず、ノンボイス系のメールやチャット、LINEなど、顧客接点が多様化していることであり、コンタクトセンターはその変化への対応が求められています。ただし、気を付けなければならないのは、各チャネルによって応対品質にばらつきが発生してしまうことです。どのようなチャネルからのお問い合わせでも、一貫性のある応対ができるよう、情報を一元管理する仕組みが重要となります。
 3つ目のコンタクトセンターのデジタル化ですが、最近はカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上と業務効率化の両立がこれまで以上に求められており、そのためには、コンタクトセンター業界でもデジタルシフトの必要に迫られています。デジタルシフトとは、システムを導入するだけではなく、徹底した現状の業務整理から始め、導入後どのように成果を生み出し、そしてその成果をどのように測り、運用していくかを見据えた取り組みが重要だと考えます。

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Q.スマートコンタクトセンターについて詳しく教えてください。

 これらコンタクトセンターが抱える3つの課題に対応すべく、2年前にスマートコンタクトセンターのプロジェクトを立ち上げました。また、今後を見据え、基幹システムの最小化を同時に進めていきました。具体的には、音声基盤(PBX)のクラウド化、LINEやチャットなどすべてのチャネルでの応対履歴を一元管理するオムニチャネル対応、さらにはAIによるオペレーターへの回答支援システムの導入を行いました。例えば、AIによるオペレーターへの回答支援システムは、やり取りをリアルタイムでテキスト化し、FAQや番組情報とマッチングさせ、オペレーターが知りたいことを瞬時に回答候補として表示できます。

Q. AIによるオペレーターへの回答支援システムの音声認識の精度はかなり高いと伺っておりますが、効果はどの程度出ていますか?また、現場の声としてはどうでしょうか?

 特に新人オペレーターからは好評です。スカパー!は番組数が膨大にあり、お客様が電話口でおっしゃる番組名や出演者、スポーツ選手名などから該当の番組をオペレーターが自力で探し当てるのは非常に難しいのが実情です。お客様の方が詳しいことも多く、オペレーターが会話を続けられないことを恐れてしまい、深く踏み込めないという課題もありました。回答支援システムは、お客様の声を自動認識し、候補となる番組情報がオペレーターのモニターに表示されることで、応対中でもお客様へスムーズにご案内できて非常に助かるという現場の声が届いています。この安心感が仕事のしやすさを生み、オペレーターのストレスを下げ、応対品質の向上や離職防止にもつながっています。

Q.スマートコンタクトセンター構築の際に、難しさを感じられた点について教えてください。

 まず、初めて自社内でプロジェクト全体を取りまとめることに難しさを感じました。これまで、これほどの大規模プロジェクトでは、とりまとめをすべてSIerに依頼していました。今回、自らとりまとめを行ったのは、今後、自社での利用にとどまらず、外部展開を見据えており、提供するシステムを自らが熟知していることが重要であると考えたからです。また、技術変化や業務変化に迅速に対応する必要があり、これまでのようにSIerを通して依頼するのでは、スピード感も柔軟性もだせないため、自分たちでやり切る決断をしました。
 特に苦労したのが、スマートコンタクトセンターの目指すべき姿を、現場のオペレーター含め、すべての関係部署に説明し、共感してもらう点でした。スマートコンタクトセンターを成功させるには、現場をプロジェクトに巻き込み、お互いの立場で何度も議論を重ねながら作り上げていくことが最も重要です。それぞれの意見をしっかりまとめ上げ仕切ることができる、リーダシップの重要さに気づかされました。このプロジェクトを通して、苦労したからこそ、社員全員が成長したことは、会社として大きな財産になったと感じています。

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(後編に続く)

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【後編】顧客満足を最大化する最先端のコンタクトセンターを目指すスカパー・カスタマーリレーションズ

株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ
代表取締役社長 新巻 康彦 氏

1987年森ビル(株)入社。その後、経営コンサルティング会社等を経て1996年よりジェイ・スカイ・ビー(株)(現スカパーJSAT(株))事業に参画し事業立ち上げ、経営企画業務等に従事。 その後、スカパーJSAT(株)にて有料多チャンネル事業部門事業戦略部長、プロモーション部長等を務め、各種新規事業/サービス開発やリブランディングプロジェクトを推進。 2014年(株)スカパー・カスタマーリレーションズ取締役に就任しコンタクトセンターの構造改革を指揮。 2017年SCC(スマートコンタクトセンター)プロジェクトの責任者を務め、2019年同社代表取締役社長に就任後はコンタクトセンターのBPO事業を推進している。

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URL:http://www.spcc-sp.com/

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