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パーチェスファネルは死んだのか? パーチェスファネルのステップからマーケティング課題を見つける方法

パーチェスファネルって知ってますか?「そりゃ知ってますよ」という声がやはり多数聞こえてきます。改めておさらいをしてみると,これです。

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パーチェスファネルとインフルエンスファネル

とてもそっけない図ですが,いわゆる上半分が,消費者が商品をどのように購入するのかまでの行動や感情の絞り込みを漏斗に倣って図式化したものでパーチェスファネルと言います。また,下半分が購入後にその消費者がその商品を気に入って人に紹介し,広まっていくことを図式化したものでインフルエンスファネルと言います。二つ合わせてダブルファネルということも多いです。

この図をなんとなく眺めていると「まぁそうだよね」という気にはなってくるのですが,時々これが「もう古い」とか「死んだ」とか「役に立たない」と時々言われています。じつのところどうなんだろうか?ということを考えてみます。

パーチェスファネルが死んだと言われる理由

「なぜパーチェスファネルは死んだのか」という主張にはいくつかありますが,基本的には「ネット時代になると,消費者の行動は複雑で直線的ではない」「プロセスを飛ばしてしまうケースも多々ある」「プロセスに影響を与えるものが多様になりすぎている」「購入後の行動が明らかではない」などがその理由に挙げられています。購入後の行動が明らかではない,という指摘に対しては,下半分のインフルエンスファネルを使って補足しており,ソーシャル時代の「シェア」行動や「エバンジェリスト」の存在を取り入れようとしていると言ってよいでしょう。ただし,上半分の「それほど直線的ではない」という指摘に対しては,補完する考え方は出てきていないようです。

面白いことに,別のnoteでも考察したパルス型消費」というのは,この上半分のパーチェスファネルを時間をかけるプロセスと考えるではなく「全てのことが同時に起こる」と考えるようになったと捉えることもできるでしょう。

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ただし,先にも考察しましたがパルス型消費とは「全てのものがコモデティ化しており,何を買ってもどれを選んでも品質的にも心理的満足も同じである」という前提の時には成立すると思われますが,その場合,次の購入継続が発生する可能性が低いと考えられ(なぜなら,どれを選択しても同じあるがゆえに,同じものを選択する必然もない),パーチェスファネルをパルス型にしてしまうと,インフルエンスファネルの存在が成立しなくなってしまう恐れがあります。インフルエンスファネルモデルの有効性・実効性についての議論はさておき,実際に購入継続や紹介,拡散といったその商品の熱烈なファンは存在しているのでインフルエンスファネルで示される現象は実在すると考えた方が良いでしょう。

パーチェスファネルは本当に死んだのか?

一方,別のnote「AIDMAは消費行動モデルではない?」で,AIDMAで考えられるほど人の消費行動は簡単ではないということを書きました。詳しくは,そちらを見ていただきたいのですが,結論としては「そもそも,消費行動はもともともっと複雑」であり「一定の順番で効果が現れる考え方は支持されていない」ということでした。つまり

もともと,直線的ではなかった。
もしパーチェスファネルが使えないとしても,全ての事が同時に起きるパルス型消費ばかりではない。

ということが言えるのではないでしょうか。

実はファネル(プロセス)ではなく単なる状態を表している

では,本当に全く使えないくらいにダサダサな考え方なのか?というと個人的には,そこまでではないと考えられると思います。なぜなら一定方向に進むプロセスではない,ということはわかっていますが,おそらく「単純にその時点(静的)の分析手法の一つにはなるのではないか」と考えられるからです。

これはテレビ広告の効果測定の時にも使われる考え方に近いのですが,縦軸を単純にマーケットサイズ・ターゲットクラスターのサイズととり,横軸も単純にファネルの項目を順番に並べているだけです。プロセスを意味しているわけではないのですが,認知をしているマーケットサイズ,興味を持っているマーケットサイズ,比較をしているターゲット層,購入者数などを打ち化してプロットしてみると,以下のようなグラフがかけます。

デジタルマーケティングをやっている人だと,例えば認知はサイトへのアクセス数,興味関心は特定商品ページへのアクセス数,比較はバスケットに入れた数,購入はコンバージョン数,などと読み替えてみると作れるでしょう。そうすると,マーケティングにおいてどこに問題があるのか,あるいはその商品はどのような購入意識決定をされる商品なのかがわかってきます。

商品が消費者に受け入れられている状態からマーケティング課題を見つける

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例えば,青い点線の場合には,認知はされていないけどWeb行動の中では知られてしまえば脱落することは少ない商品であると分析することができます。一方,赤い点線だと知られているし購入検討の俎上には乗るけど,買ってもらえないし一度買ったとしても継続には繋がらない商品であるということがわかります。緑だと,知られているけど買ってもらいにくいが一度買うと継続しやすい,ということがわかります。

まとめ-パーチェスファネルの新しい使い方

そうすると,何がその商品の課題なのか?が比較的わかりやすいのではないでしょうか。青い点線であれば,そもそも認知が低すぎるので,とにかくブランドネームの告知が必要ですし,赤い線であれば商品自体に何か問題があるのか,販売方法に課題がある可能性があります。緑の点線だと,競合他社に何らかの理由で負けてしまっている可能性があると言えるのです。

ファネルという考えに立ってしまうと,プロセス進めるイメージが強くなりますが,プロセスといった動的なアプローチではなく,静的なアプローチをしながら課題を見つけていくこともできるでしょう。

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