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AIDMAを信用してはいけない?

AIDMA(アイドマ)って知ってますか?
「そりゃ,知ってますよ」という声もたくさん聞こえてきますが,さっとおさらいをすると,AIDMA(アイドマ)とは消費行動のモデルと言われており,A→Attention,I→Interest,D→Desire,M→Memory,A→Actionの頭文字をとって,ある商品についてまず注意を惹かれ,興味を持ち,欲しくなり,それを記憶にとどめ,購入という行動を起こすという一連のプロセスのことを表していると言われています。

AIDMAとAISAS

割と頻繁にいろいろなところで使われていますし,ソーシャルメディア時代のバリエーションとしてのAISAS(アイサス),A→Attention,I→Interest,S→Search,A→Action,S→Share,つまりある商品について注意を惹かれて,興味を持ち,検索をして,購入という行動を起こし,シェアをするという消費モデルもご存知の方も多いかと思います。

AIDMAを使ったプロモーション施策立案

シンプルでわかりやすいために,広告プランニングやマーケティングの世界ではよく使われています。つまり,消費行動が「ある商品についてまず注意を惹かれ,興味を持ち,欲しくなり,それを記憶にとどめ,購入という行動を起こす」のですからそれに合わせていけば,以下のようなマーケティング企画を作って実行して行くのはとても考えやすいですね。

1)まずは,消費者の注意を惹いて興味を持ってもらう必要があります!
  →AttentionとInterest
  →そのために,発売されたことを知ってもらうために,目立つような広告を出しましょう。目立つように広告を出せば興味を抱いてもらえるでしょう。

2)次に,欲しいと思ってもらう必要があります!
  →DesireとMemory

  →広告やイベント,お試し商品の提供などをしながら商品の機能や良さを体験して知ってもらうようにしましょう。一度使っていいなと思い欲しいと思ってくれたら,商品のことも名前も覚えてもらえるでしょう。

3)あとは買ってもらいましょう!
  →Action

  →店頭でたくさん並べて,陳列をしましょう。一時的に安くしてもいいですし,店頭でもキャンペーンをやって,買ってくれた人にオマケをプレゼントもしちゃいましょう。

これで,具体的に内容を検討すれば,広告・マーケティング施策が出来上がります。実にわかりやすいですよね。

こんな風にAIDMAが消費行動モデルとしてよく使われているのは,消費者に対してのマーケティングアプローチを考えていく際に非常にわかりやすく都合がいいからなんです。

実は科学的に検証されていないAIDMA

ところが,岸・田中・嶋村『現代広告論<第三版>』有斐閣(2017)385-286頁,によれば,このAIDMAモデルは日本だけで使われており,もともと深く議論されておらず,さらには科学的にみて一定の順番で広告の効果が現れる考え方は支持されていないとまで書かれているんです。

確かに,言われてみるとその通りで,買い物はAIDMAという順番に常に沿って起こるわけではない事は,自分自身の買い物体験を振り返ってみるとわかるかと思います。

例えば「最初に名前を知ってから,なんだいそれは?M→I」ということもあると思いますし,「騙されたと思って買ってみたら気に入ったので,次もまた買いたいA→D」ということもあるでしょう。「商品名やブランドはわからないけれど,こういうものがあれば絶対に欲しい,と思っている中で偶然あるときその商品のことを目にしたD→A」ということもあるでしょう。

なので,実際の消費行動というのはAIDMAで示されるように一方通行ではないのです。改めて自分の行動を振り返ってみるとわかるように,もっと複雑なので,これからマーケティングプランを考えていこうという時には,その対象となる商品がリアルにはどのような購買意思決定のされ方をするのかについては改めて考察をしなくてはいけないと言えるでしょう。

まとめーAIDMAはプロモーションプランを作るのに便利だったから使っていただけ。実は人の消費行動はAIDMAよりも複雑。

プロモーションのアプローチを考える時に,AIDMAモデルを消費行動プロセスとして捉えるとわかりやすいのですが,人の実際の消費行動はもっと複雑なのです。ではどういう風に考えていけば良いのかは,色々とこのnoteで書いていくことにします。

※今回の参考書です。AIDMAのことについてはコラム的に書かれているだけですが,3版から新たに書き加えられました。


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