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デビット・サックス『アナログの逆襲』インターシフト(2019)

昨年の末に購入して積んどいた本。

前半のレコード,紙,フィルム,ボードゲームに対しての「愛」はちょっとだらだらと長すぎかなと思いながらも,後半のリアル店舗,教育などのアナログ的な理解の仕方は面白かった。前半は単なる偏執的な趣味とも言えるだろうけど,後半は何をデジタル化し,何をしないのか?といった本質的な側面をきちんと語っている。

技術や製造工程の進化からいって,モノやモノの周辺におけるデジタル化は避けられない。一方,裏側というか商品やサービスのベースは全てデジタル化しているのだけど,使う人やモノと接する表面(インターフェース)は常にアナログでしかない。

でも「モノとしてのデジタル化」って,デジタルって別に目に見えるわけじゃないから「モノとしての」って形容詞をつけるのはおかしい。

ということは,つまりは「今まで手に取れる形のあるものがアナログであって,目に見えない情報がデジタルである(あるいはバーチャルである)」という漠然とした理解のし方をしていたけど,実は「形のあるモノがデジタルであって,実は情報の本質がアナログなのである」という理解をしたほうが都合が良いのではないだろうか。

ということを,私のFacebookの方に書いたら,友人から「ということは,UI(ユーザーインターフェイス)というのはデジタルとアナログの変換の事ではないか」とのコメントがついた。

まさに,言い得て妙だなと。

つまりは,人の操作や「〇〇したい」と言うアナログな願望をどのようにデジタル化するのがUIであって,そのUIの蓄積がUX(ユーザーエクスペリエンス)と言う顧客体験とかブランド体験になるのだ。

もちろん人のアナログな願望をどうやって伝えるのか(あるいは,引き出すのか)がアナ-デジ変換であるとすれば,そのアナ-デジ変換されたデータを加工するのがサービスの本質であり,さらにそれを人に戻すのがデジ-アナ変換となる。そして,それもまたUXとして蓄積されるUIになるのだ。


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