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マーケティングを学んで今の仕事に活かす事と、マーケティングの仕事をする事のちがい。

採用の面接をしていると、「あるきっかけでマーケティングに興味を持ちました。是非マーケティングの仕事をしたいと思い応募しました」という方によく会います。

マーケティングの仕事を志していただくのは非常に嬉しいのですが、
①マーケティングを学ぶ
②マーケティングの考え方を今の仕事に活かす
③マーケティングの仕事をする

は、それぞれ全く次元が異なります。

一番ハードルが低いのが「マーケティングを学ぶ」です。本を読んだり、セミナーに通ったり、マーケティングの専門用語をしらべて見るという事から始めることです。 あるいは、大学や大学院で学んでみる(単科履修でも良いと思いますよ)等があります。
まずはそもそもマーケティングってなによ、どういうことをやるの?ということを知る上ではこのあたりからスタートするのが良いと思います。

次にちょっとだけハードルが高いのが、マーケティングを学んで今の仕事に活かしていくということがあります。
例えば、自分の会社を題材にPEST分析をしてみたり、自分の会社で取り扱っている(自分自身が販売をしている)商品やサービスのSWOT分析やクロスSWOT分析をしたりと。経営戦略や営業推進などの部署にいないとなかなか自分ではしないと思いますが、あえて「頼まれもしないのにやってみる」のは良いかなとおもいます。
あるいは、自分の取り扱っている商品やサービをより多くの人に知ってもらい使ってもらう為に、カスタマージャーニーを作ってみたり、ペルソナを作ってみたり、競合商品をリストアップしてポジショニングマップを作ってみたりするのも良いですよね。はたまた、4Pの視点で、もし価格を変更するとしたら販売高にどのくらいの影響があるか?とか、販売ルートを変えてみたらどんな影響があるのか?をシミュレーションしてみたり、何かキャンペーンを実施するのであればどんなことが考えられるのか?それをテレビやネットで告知しようとするならばどんなやり方があるのか?それはどのくらいの費用がかかるのかを調べてみるなんて言う方法もあります。

まぁ、そこまでしなくても3C分析的に自社を取り巻く現在の社会環境を整理して言語化してみるとか、競合会社がどんな商品開発をしていてそれはどんな特徴があるのか?を資料にしてみるだけでもいいですよね。
そういうことを実際にやってみると、マーケティングというのはどんな考え方なのかがだんだんとわかってくるかと思います。

そして、一番ハードルが高いのが、様々な調査や分析を元に企業課題を発見し、マーケティング戦略や各種の施策案を作り、それを企業に提案してお金をいただく(あるいはお給料をいただく)というマーケティングの仕事に就くことになります。

ところが、「マーケティングに興味を持ちました」というだけで、①も②もふっとばして「③仕事にしたいです」という方がたくさんいらっしゃいます。

正直申し上げて、マーケティングの仕事が自分に向いているのかどうか、転職をしてまで本気でやりたいのかを考える前に、興味があるだけで転職をしようとする方達が多すぎるんじゃないかなと思っています。

興味があるからと云うだけで転職しようとすることは、「サッカーに興味があるんですよね」と、それだけでプロサッカー選手になろうとするようなものです。いや、それ普通考えて無理でしょ、って思うのですが(普通しませんよね)、結構後を絶ちません。

もちろん、マーケティング業務が未経験であっても入社されている方はいらっしゃいます。
それは前職の仕事内容や学んできたことなどをいろいろと伺わせていただいて、「その業務内容でその水準・理解度で仕事が出来ているのであれば、多少苦労するだろうけど将来きっとできるようになるだろうな」と判断をしたときだけになります。

サッカーでいうならサッカー選手としてプロで活躍はしていないが、45分間フィールドをかなりのスピードで走りきる運動能力がある(100m走XX秒以内、42.195kmはX時間以内)、監督からの指示を理解して現場で判断することができる、チームプレイができる、精神的なプレッシャーに強い、相手が怒っていても冷静でいられる、他競技での優勝入賞・表彰実績がある等といった実績をベースにポテンシャルを判断してるわけですね。

まぁ、かなり狭き門です。

とはいえ、「マーケティングとは経営そのものである」とも言われるくらいですから、ビジネスの世界ではマーケティングに興味を持ち学んでいくことはとても有意義です。であれば、興味を持ったならいきなり③を目指して転職応募からの玉砕となるのではなく、①から始めて②へとすすみ、サッカーで言うなら基礎的身体能力、つまりビジネス力を高めて欲しいなと強く思います。

特にマーケティングというのは学べば学ぶほど自分自身のビジネス力を高めていける領域ですし、将来経営戦略や事業開発にもとても役に立ちます。わたしはすべてのビジネスマンはマーケティングを学んでおくべきと思っているくらいですから、まずはそこから取り組んでいくことをお勧めします。

せっかくマーケティングに興味を持ったのに、いきなり転職しようとして玉砕したんじゃもったいないですから。

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