著作物であっても著作物になりきれないのが広告なのかも
私も広告業界で働いてきたので,その難しさというものはよくわかる。
確かに広告クリエイティブというものはとても扱い方が難しく,その理由の一つに「委託制作である」とう事情がどうしても絡んでくるのよね。
つまり,アーティストが自己の表現として作品を発表しているのであれば,あるいは商品パッケージデザインのように企業自らの製品を世に出し販売しているのであれば,制作に関わる過程や経緯,自らの信念に基づきその権利に対して主張することが自らの責で行うことができる。
ところが,広告クリエイティブや販売促進に関わる制作物の場合,それは委託されての制作である。委託者もその広告クリエイティブや制作物を世に出すために委託しているのではなく,他の目的のために手段として委託しているに過ぎない。もちろん,委託された広告の制作者は自らの信念に基づき制作をしているのだけど,その信念と委託者の目的とする信念は別なところにあると言っていい。
ものすごく,ざっくりと三つくらいに分類すると以下の様になる気がするのだが,そのクリエイティブ制作のためのエネルギーや信念についての優劣には差がないだろう。
・アーティストの様な自己表現としてのクリエイティブ
・メーカーの製品としてのクリエイティブ
・委託物としてのクエイティブ
さらに,ビジネスとして世に出す際のチェックポイント(この文中における,類似物を事前に探し確認をすると言った行為)についても,どれもがきちんと経ていると言っていいだろう。
ところが,そこになんらかの疑義が生じた場合,委託物としてのクリエイティブのみが自らの判断と責だけで進められなくなってしまうという状況に陥ってしまう。なぜなら「委託物」だから。
その構造そのものが,ビジネスとしての広告クリエイティブの著作権というものを難しくしているんだろうなぁと改めて思う。
避けては通れないし,解決する事は多分ないけど,知っておかなければいけない広告ビジネスの現実なのだと。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?