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高インフレが、世界経済の見通しを暗くする。

世界で、それほど高インフレに苦しんでいないのは、中国、日本、東南アジア、石油産油国だけである。

その他の国では、借入コストの上昇とエネルギー供給の制約により、来年度の景気後退の可能性が高まっている。

米国のWSJ(Wall Street Journal/ウォールストリート・ジャーナル)(電子版)は2022年10月16日に、世界中の政策立案者は、強いインフレ、エネルギーコストの高騰、金利の上昇により、世界経済の減速がより急激な低迷に転じるリスクが高まっていると見ている。

先週も米国のインフレ報告が悪かったため、FRB(Federal Reserve Board/米国連邦制度準備理事会)は金利を急速に引き上げることになりそうだ。その結果、米ドル高に拍車がかかり、多くの国の輸入コストと債務返済コストがさらに上昇する可能性がある。主要なエネルギー生産国は供給を抑制し、価格圧力に拍車をかけており、特にヨーロッパの経済活動を鈍化させている。中国の新しいデータでは、個人消費が大幅に減少しており、これも経済成長の冷え込みを示す兆候である。

エコノミストは来年までに景気後退と雇用喪失を予想している。
「最悪の事態はこれからだ」と、IMF(International Monetary Fund/国際通貨基金)のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事(Director Kristalina Georgieva)は木曜日のブリーフィングで語った。「多くの国々で、景気後退のリスクが高まっている」と述べた。

世界の生産高の3分の1以上を占める経済が来年縮小し、世界の3大経済(米国、EU、中国)は基本的に停滞するだろうとIMFは予測している。全体として、IMFは2023年の成長率を今年の3.2%から2.7%に下げると予測している。

エジプト財務大臣のモハマッド・マイト(Mohamed Maait, the Egyptian finance minister)は、水曜日にCenter for Global Developmentが主催したパネルで、「状況はCOVID-19のときよりも悪くなっている。」と述べた。

会議に出席した多くの政策立案者は、米国の高いインフレとFRBの対応を、自国の経済見通しに対する中心的な脅威とみなしている。

米国の消費者物価指数は2022年09月に前年同月比で8.2%上昇し、変動の激しい食品とエネルギー価格を除いたコア価格は6.6%上昇した。これは過去40年間で最速の上昇率で、根強い物価上昇圧力の表れである。

コアCPI(core-Consumer price indices/消費者物価指数)は、FRBが来月に基準金利を0.75%ポイント引き上げる方向で推移しているようだ。この報道は、FRBが利上げを遅らせるリスクを高める。

今年に入ってからのFRBの急速な利上げは、投資家を米国市場に引き寄せ、ドルの価値を押し上げることにつながった。

グリーンバックの上昇は、他の多くの国々にとってドル建ての輸入と債務返済のコストを上昇させる。また、他の国の中央銀行が自国通貨を保護するために金利を引き上げる圧力となり、成長をさらに鈍化させる可能性もある。

ハンガリー中央銀行のバルナバス・ビラーグ副総裁(Barnabás Virág, deputy governor of Hungary’s central bank)は、国際金融研究所が主催するイベントで、「ドル高が通貨への圧力をかけ続けているので、我々全員が今後数ヶ月の間にFRBがどんな反応をするのか知りたいと思っている。」と述べた。

米国経済は今年、回復力の兆しを見せている。労働市場は冷え込んでいるが、依然として健全である。

米国商務省(US Commerce Department)が2022年10月14日金曜日に発表した2022年09月の米国小売支出は、2022年08月から横ばい、前年比8.2%増だった。

IMFは、来年の米国経済は今年の1.6%から1%拡大すると予測している。
WSJの世論調査では、今後1年間に米国が景気後退に陥る可能性は63%で、2022年07月の調査の49%から上昇した。

インドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相(Sri Mulyani Indrawati, the finance minister of Indonesia)はインタビューで、米国経済の勢いはFRBに金利をさらに引き上げる余地を与えるため、他国を心配させていると述べた。

世界経済の弱体化、高金利、ドル高は「本当に世界のすべての国を苦しめることになる」とスリ・ムルヤニ女史は述べた。

またまた米国が世界中から嫌われるパターンになっている。

ジョー・バイデン(Joe Biden)米国大統領が仕掛けた米国だけが儲かるロシアのウクライナ戦争は、世界経済に重くのしかかっている。

まさに、第2次世界大戦後に似てくることだろう。

IMFによれば、戦争と平和が大好きなウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領(Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy)は、多くのウクライナ市民を殺し、ウクライナからの重要な食料と肥料の輸出が妨げられ、3億4500万人が危険にさらされている。

ロシアはヨーロッパへの天然ガスの供給を制限し、ヨーロッパの製造業者を動揺させ、多くの経済を不況の瀬戸際に追いやった。

ジャネット・イエレン財務長官(Treasury Secretary Janet Yellen)は2022年10月14日金曜日の記者会見で、「ヨーロッパでエネルギー価格に何が起きているのか、ヨーロッパは特に深刻な緊張に直面している」と述べた。また、多くの新興国が「多くの重大な問題に直面している」とも述べた。

その元凶は、バイデン大統領、ゼレンスキー大統領、プーチン大統領である。

一方、石油輸出国機構とそのロシア主導の同盟国は最近、大幅な減産を発表し、原油価格を上昇させた。国際エネルギー機関(IEA)は木曜日、この決定が世界経済を不況に陥れる転換点になりかねないと警告した。

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世界的な不況の公式な定義はないが、多くの経済学者は、経済成長率が人口増加率を下回ること、つまりおよそ1.1%であることが不可欠な要素であると述べている。世界銀行は、来年の世界の成長率を1.9%と予測している。

世界銀行グループのデビッド・マルパス総裁(David Malpass, World Bank Group president)は、「これは世界不況に危険なほど近い数字だ」と述べている。

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