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「リスク回避」戦略の弊害は、中国以外にも波及するだろう。

IMF(International Monetary Fund/国際通貨基金)が定期的に公開している「IMF Blog」のディエゴ・セルデイロ(Diego Cerdeiro)、シッダース・コタリ(Siddharth Kothari)、ダーク・ミュア(Dirk Muir)は2023年10月17日に、世界経済における中国の重要性はここ数十年で劇的に増大しており、特にアジアにおける貿易統合の重要な推進力となっている。

中国の中期的な成長見通しは、他国と同様、先進国の所得水準や人口動態への収束などの主要な要因によって部分的に決まるだろうと予測している。

しかし、国内改革の勢いなどの主要な構造政策の推進力や、地経学的断片化などの外部要因も、この道筋に大きく影響を及ぼす可能性がある。

このような異なる成長経路は、アジアとそれ以遠にどのような潜在的影響を及ぼすのだろうか?

IMFによる最新のアジア太平洋地域経済見通し(Regional Economic Outlook for Asia and the Pacific)では、中国とOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development経済協力開発機構)経済の「リスク回避」による下振れシナリオの潜在的影響を評価している。

今週のチャートが示すように、中国、米国、その他のOECD諸国によるいわゆるリスク回避戦略は、生産を国内に回帰させたり、相互に離れた友好国に回帰させたりすることを目的としており、第三国、特にアジアとの新たな貿易制限がないと仮定しても、結果として世界中の成長を大きく阻害する可能性があるという。

世界、アジア、中国におけるフレンド・ショアリング(friend-shore)およびリショアリング・シナリオ(reshoring scenarios)による損失をGDPのパーセント偏差として示すグラフ。

リショアリングは誰にとっても特に苦痛となるでだろうが、貿易転換による利益が、中国とOECD両国の経済縮小の影響で相殺されるから、フレンドショアリングが長期的には第三国に純利益をもたらさないことは注目に値する。

この地域に関して、この結果は、第三国がフレンド・ショアリング政策から受動的に利益を得ることを期待すべきではなく、むしろ、世界のサプライチェーンへのさらなる統合に役立つ改革を積極的に追求すべきであることを示唆している。

世界中の体系的経済にとって、根底にある緊張の原因を解決し、コストのかかる断片化の結果に抵抗するための建設的な対話が緊急に必要とされている。

中国では、断片化が中期的な成長にもたらすリスクは、国有企業と民間企業の間の生産性格差を解消し、さらなる開放を図るなど、所得水準を先進国とより迅速に一致させるのに役立つ包括的な構造改革の必要性を浮き彫りにしている。

競争へのセクター。 IMFの調査では、これを達成すれば、アジアの他の経済にも大きなプラスの波及効果がもたらされることが示されている。

―この地域の最新の経済見通しを概説したアジア太平洋省の最近のブログを参照してください:「アジアは世界の成長を加速し続けているが、経済の勢いは鈍化している。」

https://www.imf.org/en/Blogs/Articles/2023/10/17/harm-from-de-risking-strategies-would-reverberate-beyond-china
https://www.imf.org/en/Blogs/chart-of-the-week
https://www.imf.org/en/Blogs/Articles/2023/10/13/asia-continues-to-fuel-global-growth-but-economic-momentum-is-slowing

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