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呼吸は生命の源

一般的に人間は酸素が無いと3~5分で絶命してしまいます。私達は無意識に呼吸し、生命を維持しています。(なかには20分くらい止められる超人もいますが)

読者の方は耳にタコだと思いますが、歌う為に必要不可欠な要素の一つに「腹式呼吸」が挙げられます。
正直はところ、ぼくは歌が歌えれば呼吸法はどんなやり方でも否定しない立場です。

それでは今回のテーマ「呼吸は生命の源」の紐解く為に歌う為の「腹式呼吸」の歴史を簡単に振り返ってみましょう。

約500年程前に遡ります。(諸説あり)オペラ全盛期です。その頃はもちろんアンプもマイクもありません、昔のオペラ歌手はマイクも無いのに歌っていたなんて信じられますか?恐ろしい時代です。今のポップスを歌ってる歌手がその時代に歌ったら蚊の鳴く音くらいの声量かもしれません。もしもぼくがそのステージに立って歌う事になったら、オーディエンスに声が届くか不安で倒れてしまうかもしれません。

そのオペラ全盛期にイタリアで『ベルカント唱法』が誕生しました、実はこの言葉は「美しい歌・歌唱」という名詞です。実はこの「ベルカント唱法」ぼくが産まれる前から日本でも広く用いられています。一般的に「イタリア式」と呼ばれています。この呼吸法は『息を吐く時にお腹を凹ましながら発声する』呼吸法です。つまり自然に吸って吐く、と言う事は、息を吐く時に横隔膜も上がっていきます。自然に美しい声を出すと言う点において素晴らしい呼吸法だとぼくは思います。それにこの呼吸法は、長年日本ではスタンダードな呼吸法です。

その後、ドイツ人の体格に合わせて生まれた、より強く他の楽器に負けない呼吸法が生まれます。
こちらは「ドイツ式」と呼ばれています。
この呼吸法は、横隔膜を下げる事を持続させることで声帯がある声門の閉鎖力を高めます。この横隔膜を支える呼吸法です、簡単に説明しますと、
『吸った息を横隔膜でキープしながら歌う』です。
力強い声が出しやすくなりますが、普段使わない筋肉を使うので慣れるまで相当な訓練が必要となります。

この異なる2つの呼吸法は、もちろんどちらも腹式呼吸です。その際、「呼吸筋」と呼ばれる筋肉を使って呼吸します。(詳しくは次回)

因みにぼくの場合ですが「ドイツ式」で歌っています。何故かと言いますと、ぼくが長年ボーカルを担当したバンド「camino」が馬鹿でかい音だったからです。(良い意味ですよ)その馬鹿でかい音の中でどうしたら抜ける声になるかを試行錯誤していたら自然と「ドイツ式」に辿り着きました。その方がマイクにしっかり声が乗り、結果、バンドの音に負けない声がつくられました。
「camino」の場合はぼくの経験を元に書いてますので、万人に当てはまるわけではありませんが、読者の方に少しでも参考になればなと思います。

余談になりますが、今の時代はマイクがあるのでそこまで声量がなくてもそこそこライブで歌えますが、バンドで歌ってる方は楽器に負けない声を是非作って欲しいと思います。

最後に、「イタリア式」「ドイツ式」どちらの呼吸法どちらが自分に合っているかは、実際に試してみて下さい。どちらの呼吸法が優れているとは言えませんし、ジャンルによっても呼吸法は多少ですが異なります。それぞれの良い所をミックスして使いこなし、自分自身が歌いやすい新しい呼吸法を編み出すのも一つの手です。(先駆者になれますよ)
そこで今回のテーマ「呼吸は生命の源」にした真意は何かと申しますと。

『呼吸は生命の源であり、歌の源』

であると考えます。生きる事も歌う事も呼吸ができないと始まりません。今回、読者の皆さんが歌にとって「呼吸」がいかに重要な事がお解りいただけたと思います。
是非、今回のテーマを参考に、歌う為に正しい呼吸法を身に付け良い発声に繋げていき、理想の声を追い求めてみては如何でしょうか?ぼくからの細やかな問題提起です。

次回は『腹式呼吸』を掘り下げようと思います。お楽しみに。

#コラム #歌 #腹式呼吸 #呼吸法

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