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025. 走るのではなく、歩いてみる。

 ウォーキング、歩くことについてです。

 前回述べた通り、自衛隊にいたときは、運動をすると言えば① 腕立て伏せ・② 腹筋・③ ランニング、が基本トレーニングでした。体力を付けたい、体を引き締めよう、というときは “外を走る”でした。

 自衛隊には、「3歩以上は駆け足」という言葉もあるくらいですから。

 でも、多くの健康的な運動として推奨されるのは、ウォーキングを中心とした有酸素運動です。そうはわかっていても、若い時の私はついつい全力で走ってしまい、とても有酸素運動とは言えない運動を繰り返してきました。とはいえ、これも前回の筋トレと同様、しばらく毎日走った後、「今日は疲れているから」とか、「小雨が降っている」とか理由を付けて走るのをやめて、結局毎日走るのをやめてしまう。しばらくして 何かの刺激があって、走るのを再開しても、同様にやめてしまって、なかなか長続きするものではありません。

 しかし、多くの患者さんを診ていて、健康的に生活している高齢の方が良く歩いている方だということに気づかされます。

ある患者さんが教えてくれたこと

 とても印象的だった患者さんがいます。過去に2回も心筋梗塞になって、心機能が低下してしまい、慢性心不全という状態になった70代の方。日常生活をしているだけで、心不全が悪くなって入院が必要になってしまうので、一時は特殊なペースメーカー(心臓再同期療法)も検討されていました。なんとかそういった機械をいれずにすみましたが、あるころから急に状態が安定してきて、「最近調子がいいんです」と言うのです。

 「何か生活を変えましたか?」と聞くと、「実は、これ始めて毎日歩くようになったのです。」と言って見せてくれたのは、スマホの画面に映るポケモンGo! この患者さんは、その後5年間全く調子を崩すことなく過ごされています。

 ポケモンGoに飽きて歩くのをやめてしまわないか心配ですが、「全然飽きません」と言ってくれていて、まだまだ大丈夫そうだなぁと思っています。

 この患者さんは特別1時間も2時間も歩いているわけではなく、「毎日30分くらいですよ」とのことですので、これくらいでも健康にはいいのでしょう。

僕は走るのをやめて歩くことにした

 この患者さんがとても印象的で、私もある日とうとう走るのではなく、歩いてみることにしました。

 するとどうでしょうか。歩くことは走るよりも関節への負担が小さいことは明らかです。そして、どれだけ仕事で疲れている日でも、歩きに出かけることができることに気づきました。

 ランニングしていたころは、「さぁこれから走るぞ」と気合を入れて、ランニング専用の格好に着替えて家を出ていましたが、歩くのはどんな格好でもできます。仕事の帰りに、ひとつ前の駅で電車を降りてそのまま家まで歩いて帰っても構いません。

 仕事の空き時間に、そのままの格好で20-30分でも散歩しに行っても、それだけでも2,000から3,000歩ほど歩けます。

 もちろんこれも、「自分は走るのが大好きなんだ」とか、「自分なりの走り方があるんだ」という意見があっても構いません。より多くの人が長い期間続けるためのヒントとして、歩いてみることも選択肢としてくれればと思っています。

 実際私がしているのは、夜仕事から帰ってきて、スマホの記録をみて十分な歩数に至っていなければ、ウォーキングに出かけます。近所の公園に出かけて園内を2周して歩くだけで、30分で4,000から5,000歩歩けます。ただそれだけを続けているのです。

 もちろん、陽が当たる時間帯にできればそれに越したことはありませんが、なかなか時間を取れないので夜、ウォーキングをしています。休日に日中のウォーキングができるときは、陽の光を浴びられる時間にウォーキングをして、一万歩を越えることを一つの目標としています。

 最後に、ウォーキング、歩くことのメリットをもう一度書きます。

① 関節の負担が小さい。
② 疲れている日でも、歩くのは容易。
③ どんな格好でも、そのまま歩きに行ける。
④ 
仕事の隙間時間でも、陽の光を浴びて歩くと気持ちがいい。

 少し時間ができたとき、スマホを見るのではなく歩いてみるのはいかがでしょうか?

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