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シネマ飛龍革命『シン・仮面ライダー』


唐突だが、皆さん日々人類の自由と平和の為に戦っているだろうか?
職場、学校、家庭とかで。
かくいう俺もショッカー(職場)に絶賛改造された結果、涙を隠し労働しているのだが、そんな社会の改造人間必見の映画が公開された!
それが『シン・仮面ライダー』だ!

どんな映画なのよ!?と問われたら、庵野秀明がサイクロン号に乗って向こうから爆走してきた!
時速400kmで!

と答えたくなる映画である。

こんな感じで


おかげさまで無灯火、一時停止、信号といった

映画の交通法規をガン無視!

ここに相乗り出来るか否かで本作の評価が別れる所であろう。

初期のイメージではコートを着用し傷ついた肩を抑え、何処かへ歩き出している1号ライダーがお披露目!
まるで社会人という名の仮面をつけて毎日出勤している俺のようだ…と勝手にシンパシーを感じてしまった。

朝方の新宿とかでたまに見かける図


本郷猛を演じるは、現代的な繊細さとムサ苦しさのある池松壮亮。
猛と言ったら藤岡弘、!という下馬評を良い意味で覆してくれている。
思えば藤岡弘、も現代の侍だが、池松壮亮も『ラストサムライ』に出演していたのを考えると奇妙な縁だ。
本作での演技を観れば、これはこれで一種のサムライ!と思わせてくれるだろう。

油分少なめの本郷


ライダー第2号=一文字隼人を演じるは江本佑。
オリジナル同様のナイスガイっぷりにツンデレ要素をプラス!
2号と言えど、1号に勝るとも劣らない相棒っぷりだ。
父の柄本明も『ゴジラVSスペースゴジラ』でナイスガイを演じていたので、特撮を通じて親子の縁を勝手に感じてしまう。

劇中きってのナイスガイ、一文字



彼らを過酷な運命に導く緑川ルリ子を演じるは浜辺美波。
透明感が持ち味の彼女だが、本作では何かと訳知り顔の典型的な庵野感のあるキャラに仕上がっている。
「私はいつも用意周到なの」が口グセだが、年末年始の飲み会の予約をお願いしたら良い幹事っぷりを発揮してくれそうだ。
俺も見習いたい。
また一文字同様、ツンデレポジションなわけだが「こういうキャラ設定好きだなあ!庵野!」と身内でもないのに監督の肩を叩いて馴れ馴れしく言いたくなるだろう。

オタクを殺す目を持つルリ子



飲み会、そしてディストピアもそうだが、メンバーが5人以上になると荒れる確率が高い
だが本作は多くても1号、2号、ルリ子の最大3人で話を回していく。
シン・ゴジラもシン・ウルトラマンも登場人物のエリート意識が正直鼻についたのだが、本作では民間レベルで主に活動しているので絶賛底辺を爆走している俺にも響いた。
そして作品は違えど『仮面ライダーBLACK SUN』で頻発していた修羅場ライダー遅刻が少なめ。
確かに戦いに苦悩するものの、必要とあらば『一旦置いときますね』の精神でバイクで突撃!
武器を使わず基本的に拳と蹴りで戦い抜いていく。

社員教育が行き届いたショッカーの皆さん


対する本作のショッカーは勝手に人類の救済を掲げているのだが、大きなお世話こそ悪!を地で行く組織だ。
本人たちは自らが悪いと思っていない辺り、余計にタチが悪い。
おかげさまでショッカーに所属する怪人メンバーもブッ飛んだ面々が揃っている。

藤波辰爾の『オマエ平田だろ!』ばりに『おまえロボット刑事Kだろ!』と言いたくなる松坂桃李ボイスのケイ。
身体能力は抜群なものの、移動は普通車の殺戮紳士、蜘蛛オーグ。
無数(!?)の浜辺美波を人質にウィルス問答を仕掛ける蝙蝠オーグ。
MAXの『#SELFIE~nowONNAnow~』のPVをオマージュするサソリオーグ。
死の握手会でパワーを得るショッカー坂46の蜂オーグ。
死神グループ製のわがままスペックなニコイチ狂乱怪人、カマキリカメレオンオーグ。
かつて世界の中心で愛を叫んだものの、気が付けば人類補完計画ガチ勢になってしまった森山未來。
…と、アグレッシブなメンバーが大集合!

擦り過ぎ感のあるエヴァ要素、唐突に挟まれるルー大柴語、秘密結社の割に来るもの拒まずスンナリ入れるショッカー基地、やたらカットを割る生身アクション、パチンコ演出みたいなCGバトルと正直粗削りな部分もあるが、それはそれとして表情が見えないからこそのライダーが持つ悲劇性、孤独が際立っている。

あ!手が荒れてる‼︎

意図しているかどうかはわからんがライダー同様、異形の映画である。
何なら俺も熱心な庵野信者ではない。
だが、例え映画とはいえだ。

夕陽を見ながら泣く男を君は笑えるだろうか?

俺は笑わん‼︎

何より想いを受け継ぎ、傷だらけになっても戦う姿勢は、将来に暗さしかない俺の変身ベルトが回してくれた。
そして昭和、平成、令和と今も続く仮面ライダーだが、改めて魂の継承も魅力の一つと再認識させてくれるだろう。

ズッ友だぜ!


観終わってみると当時のテーマ曲『ロンリー仮面ライダー』『かえってくる仮面ライダー』の歌詞の世界観をバカ真面目に映像化しているなあ!と感心させる本作。
鑑賞後、職場の自由と平和を守ろう…明日から!とボンヤリ思わせてくれた。
とりあえず職場で無茶な計画が上がったら俺もブチ壊そう。

ライダー頭突きで。

生きていると失望することも多い世の中だが、そんな時こそ自分の腰に付けた変身ベルトを回してほしい。
本作のダブルライダーのように。

昭和の『仮面ライダー対ショッカー』も観よう!ついでに!

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