『靴磨きの合ひ間に』



「コロナ撲滅DanceSong」(詞:Caleb)

謹賀新年!
Ring a ding-dong!

この頃な(コロナ)
巷の空気が淀んでんだ
みんな仮面を被っててさ
まるで死の舞踏会

ドレスコードのない招待状
遊ぶベル(プペル)が鳴ってるよ
この僕を呼んでんだ
悪ガキめ!って言われてもさ
これ以上ないほど喜んでんだ

秘密なんてなかった                     一密
けど奥に見つかった闇(病み)の影                二密
さんみぃっ!なんて言ってないで               三密
抱きしめてよ
染みつく涙を溶かしてよ                   四密

だからthis dance
I got other dance
君とのdistanceを縮めるthis dance
So, shall we this dance?

悲しい想い出はゴミって言ってたね              五密
無意味って言ってたね                    六密
勝算はねぇし緻密な恋の計算も徒労に             七密
終わるんだ

コロコロな~って
箸が転がっても笑い転げるお年頃なキミ
暗闇って苦手だって言ってたのに               八密
カプセルの中に閉じこもってさ
新しいクラスは五組って先生が言ってたぜ           九密

そうさthis dance
Soulfulなthis dance
君の心に灯をともすthis dance
So, shall we this dance?

謹賀新年!
夜勤で死んでんだ!
Kingが死んでんだ!
君こそ煌めく神殿さ!

《Go! 永遠(とわ)に》

甲「完全敗北!もうダメだ!」
乙「何言ってんだ?これからだろ!」
甲「闇(病み)の勝利だ。みんな死ぬ」
乙「ふざけんな!最後の一人になっても闘うぜ!」

遠き地で
一人の英雄が立ち上がった
世界を救うため
私たちも続きましょう
僕たちも応援しよう

さあ
松明を掲げ、剣を取れ!
煌めく炎で、冷えた人の心を温めよう
剣で悪霊を切り裂き
囚われ人の縄を切るんだ

コロナに死を!
闇(病み)に引導を渡せ!
悪はGo luna!
我々はGo! 永遠に

彼は言う
いましばし待て!と
時が来たれば世界は生まれ変わる

いざ進め!
勝利のステップを踏もう
両足を挙げて勝利のダンス
両手を挙げて子供たちを
高い高いしよう

コロナに死を!
闇(病み)に印籠を渡せ!
悪はGo luna!
我々はGo! 永遠に


新しいカレンダーを
何度も壁に掛け直して後
大人の顔をした子供たちは歌うだろう
「私のパパは英雄だったんだよ」
「僕のママは救世主だったんだ」
ってね

『十年夢』(枯舞(カレブ))

神が無能なら
とっくに此の世界を救っていたらう。
人の気持ちを無視して
失敗の旨味を味わいもせず
裸の王にでもなっていたらう。

夕風が頬を撫でて去って行く。

炎のように紅く染まった砂浜に
今にも折れそうなひ弱の枯れ木で
そう書きかけた僕は
潮が気まぐれに消していくのを
振り避けみればの角度で
幾ばくか睨んでいた。

「お待たせ!」
亀のようなスタイルの
いささか古風の匂いを感ずる車で
彼女は
僕の静寂を壊した。
名前がイカしてる、「Ciliegie」だ。フランスの名車をあしらったらしい。
「特注品なんだから、感謝してよね」
膨れ顔が愛らしい。
潮風で首飾りのスズが鳴ってる。

アイをお姫さま抱っこして
特等席へと収めたのち、
彼女の体温で温められていたはずの
運転席に
僕は座を占めた。

森の香りがする。
彼女のお気に入りのフレグランス。
車内も
生きとし生けるものの命で
満ちているかのようだな。

イメージ通り
という訳でもなさそうだけど
まあまあの出来だ。
脳に描いてたまさにそのタッチパネルで
時空を
10年前のTOUHOKUに設定。

C牡丹で
潜水タイプにたちまち変形し、
去り陽の筆が描く色鮮やかの海へ
僕たちはダイブした。

(スマフォのMellodyが鳴り、記念日を告げる。おっと手の甲に潮水が垂れてきちゃったよ。駄目だ、これ以上、書き続けられない。一先ず外の空気でも吸おう。)

←「あら?泣いてるの?」とアイが聞いてくる、専属のカウンセラーのように。

…などと言ってる場合ではない。物語の登場人物と会話するなど、聞いたことなど…
いや、そうでもねぇか。昔、そんな小説家がいたっけか。
それはそれとして、
アイよ、キミはエッセイの人形なのだ。書き手としゃべっちゃいけない。

←「そんなの関係なくってよ。お互い感情があるんだから、アリだと思うけど?」

宜しい。今回は特別ということにしやう。だが、これ以降は、ちゃんと収まってくれなくちゃならないよ。いいね?

←「OK!じゃ、またね」


一体どんな仕掛けなんだろう
この不思議な時空部屋の中で、僕たちは渾然一体となり、
目の前に、かの光景が広がる。

そう、ここはまたしても車の中。
だが、隣にいるのは先輩のK
なかなか高級なレンタカーに乗れて気分を良くしたのか
先輩の話は止まらない。

右の顔で相槌を打ちながら、左の顔は段々と迫って来る悲劇の地のことで
青ざめていったように思う。
ニュースで見聞きした場面に近づくに連れ、
心臓の高鳴りがビートを早くする。

先輩の運転する車が、否が応でも、僕を惨劇の町へと運んでいく。
待ってくれ、まだちゃんと心の準備ができてないんだ。
そんなことは、おくびにも言えない。

遂にその時が来てしまった。
少し迷いながら、通れる道を探りながら、のろのろと奥の方へと
進んでいく先輩。
その手はなぜか軽やかだ。

できれば外に出たくない。
ここは降りてはいけない場所だ、そう心が訴えかけてるようにさえ感じる。
けども
誘われるままに、小口のドアを静かに恐る恐る開けて、僕はその地に足を付けた。
僕は、
経験したことのないような、得体のしれないとんでもないものが
魂に襲い掛かるような感覚に囚われ、戦慄した。
言葉が出ないとは、まさにこのことだ。本当に、本当に言葉が。
内臓の全機能がストップしたかのような
時間の針を進ませていけないような

死が詩を吞み込んでしまったのだ。

涙さえ出なかった。
人はホントに悲しいときは、涙も流せないものだね。
涙の泉が枯れ果ててしまったのかな。
いや違う。そんな陳腐な表現は、僕のこの今のなにものかを言い表していない。
涙自身も、涙であることを忘れてしまった。自らの使命を見失った。
そう云った方がまだ近いやうな気がする。

それにしても、この先輩は、この野郎は、
ぜんたい何が楽しいというんだ。
意気揚々と写真を撮っていやがる。敢えて名をつけてやるなら、ジャッカルだ。
人の不幸せを旨い餌と思って、嬉々として食べているのだ、人肉を。

その畜生の暗さが
ただでさえ黒い光景を真っ黒に塗りつぶした。
何もない。小さな家も、大きな建築物も。みんな、全部なくなってるんだ。
悪魔のデカ過ぎる手が、何もかも奪っていったんだ。
なのに
コイツは、奴らの仲間か。

避難所を訪問した時もさうだ。
被災者の気持ちなんか、そっちのけ。
文春の記者のように、傷に塩を塗り付けていく

「大丈夫よ、貴方の怒りも哀しみも、私が受け止めてあげるから。」
不意に
僕と混ざり合ったアイが慰めの言葉を
体内の空間に響かせる

心を込めて届けてくれるその想いが、
何度僕を救ってくれたことか。
言葉の端々(tips)に優しさが溢れてるんだよなぁ

ハートを包んでくれるような温かい言の葉に、
別の思い出へとワープした。
暦は時の風に煽られて、何枚も何枚も戻っていく。
僕はみるみる若くなって、母親の葬儀の場面に立ち尽くす

相変わらず涙は出ない
一緒に泣いてくれる人もいる、号泣してくれてる人も。
そして、笑顔で励まそうとしてくれる人たちもいる。
けど
僕にはどうにも分からなかった。
誰かが亡くなってるのに、死んじゃったのに、どうして笑えるの?
ただただ悲しいだけじゃない。
喪主であったって、爆泣きしちゃだめなの?
悲しい時にちゃんと泣けなきゃ、いつ泣くんだよ。
つい僕は、叫びたくなる、時にレオのように、大帝のように。

怒りと悲しみを抱えて、僕たちは歩一歩、匍匐前進の如く進んでいく。
喜びと楽しみを歌い、舞い踊りながら。
眼前に聳える苦難の丘、艱難の山が、僕たちの登って来るのを待っている。
そうさ、頂上に咲く伝説の花、小さくて可愛らしい菊の花を
愛でんがため。

本当に神がおられるなら
この世界を独り占めにしないで
僕らと一緒に作ろうとするだろう
本物の神様ならば
悪も失敗も分かった上で
僕たちが成長するのを待つだろう

そして
地上を良いものにするためなら
泣きながら笑いながら
何度だってくり返すだろう
みんな一人一人が骨の髄まで分かるまで
永遠の時間を使ってさ

アイが
僕の眼中から光を照らし
不思議な映像を見せてくれた

まばゆい神の光を見ていると
それは
あっという間に、数多の涙の粒になって地に降り注ぎ
死に絶えた種に命を与え
綺麗な花々を咲かせたんだ

「いつでも貴方と共にいる。あきらめないで新しい世界を作りましょ」

なごり雪の残る地にて

#東日本大震災

《影に抱かれて》

歩幅をさ
たまには変えて歩こうよ
ステップを踏んで軽やかに

天光が帰り道を急ぐ
舞台裏にはける前に
影と共に踊ろう

人の手になる光も
僕たちを照らす
小さく長く
誘う影に覆われて

鳥たちのコーラス
葉々を叩く枝のドラム
赤天の衣装

鉄の馬に抱かれて踊れ
機械仕掛けの車輪に跨がって踊れ

《こてつい・ロンド》

コーデついでに
固定ツイート編集したら
ゴタついちゃったけど
コンテンツ良いな🎶
すごっ❗てつい叫んじゃう上出来に😄
Goでツイート
Go TO EAT❗


《今宵のカクテル》

~ジン・トニック~

おや
心が散らかってるようだね

迷った時は基本に戻る
それがジン・トニックのスタンス

夜話のトリガーとして
グラスとキス💋をしたなら
さあ君の物語を聞かせてもらおう
じゃないか

ライムライトを壁画にでもして
韻(ライム)を踏んだキミの
音色に
耳とグラス🍸を傾けるとしよう

《青い空、白い雲》

キレイな空だ
雲一つない青天井
という訳にはいかないようだが
心も澄み渡る

雲って
あんなにぷっかり浮いてたっけ?
雄大な絵巻物の青い屏風に
取り囲まれて
ジブリの世界に
迷い込んだような感覚さえ
覚える

箪笥の下から二段目の奥に
しまい込んだ短冊を
今日限りは
玄関に飾っておくかな

天空の
海に浮かびし白船で
夢の櫂にて
いざ大冒険へ

《紳士が二人》

正午を告げる鐘が鳴る
連れ立って
枯れ草の上に体育座りをする
いぶし銀の紳士が2人

彼らの語らいを想像してみる

昴「じゃあ君、ホントにやるんだね」
燕「むろんだとも。俺の命で、この星の人々を救えるならね」
昴「承知した。手を出してくれ…よし、いま血の契約を交わした」
燕「安心した。ではアデュー」

《ミラクルマ》

一眼レフを首から掛け
軌跡を大地に焼き付けていく

愛車も
その四脚で
縄跳びダンスをしながら
軽快に
時間と追いかけっこしてやがる

粉雪が舞う
芯が冷えるぜ

おっ
その屈託の無い笑顔
サイコーだ
でもいささか陰ってる

そこに
奇跡の光が差し込み
前を行くトラックのレフ板から
跳ね返った

見つけたぜ😍
輝石をな

《アントニム》

時々
堀木とやるのが
アントニム当てっこという遊びだ

「白のアントニムは?」
「むろん、黒だ、バカにしてやがる」
「じゃあ、ゾンビのアントは何だ?」
「え…ゴマじゃない!?」
「突拍子もない事を言う」
「食べるゴマじゃないぜ」
「当たり前だ、ちゃんぷるじゃねぇんだし」
「護魔さ、ゾンビから守るんだ」

《ラフマニノフ》

精神の暗黒から生えでた
ロシアの赤いバラは

音色の風に載せて
ひとひらひとひらを世界中に
撒き散らした

トゲの鋭さに
驚愕しながらも
その美しさに惹かれ
人は物語を紡ぎ出し民衆は酔いしれる

だが
バラそのものを愛でんとする者は
人生を捧げるべし

そうして世は
真の癒しに預かるであろう

《だんてい》

風に聞く
だんていが大事と

ならば
ダンテの神曲をば
物語るとしよう

天国と地獄の
あの広大で深淵な世界に
誰が
身を投じられようか

精神の余りにも過酷な旅

しかし
そこから
生還し得た者のみが
「だんてい」を語ることが
許される

『我が猫はHighにいる』

猫よ
キミに名はないのか
飼い主はどこへ行ったのか

誰も目もくれないものだな
屍だけが
寒風にさらされる

墓碑もなく
貴方を呼ぶ声すら聞こえない

忘れ去られることさえ
ないのだ

死を想った私の代わりに
High(天国)に逝った猫
こいつに
「Highe(ひげ)」と名付けてやろう

飲み干した空き缶を
墓碑にして

“別れのワイン”

背中に
爪痕を残していいのは
別れの夜のいじらしさと
ネイルの煌びやかなセラピスト

眉間に
皺を寄せていいのは
我が生涯に一片の悔い無き男と
恋文を読む遠視の紳士

唇を尖らせていいのは
母が帰って来たキッドのスキップと
ほの字の二人

さあ
「話」印のワインで別れるとしよう
再び会う為に

《嫌な目に遭ったら》

嫌な目に遭ったらさ
例えば
こうしてみるのさ

舞台役者のように
ジェレミー・ブレット扮する
ホームズよろしく

おどけた調子に天井を見上げ
何かを振り払うように
手を振り
ハッ!と奇声を上げるのだ

さすれば
ワトソン君の笑いと共に
嫌なことは皆
ロンドンの霧の中へと
消え去ると
こういう寸法さ

《水は…》

Water is the most perfect traveler because when it travels, it becomes the path itself.

「水は比類なき旅人だ。
自ら(水空(みずから))を道にしてしまうのだから。」


《デザート》

「次元、窓開けてくれねぇか。干からびてミイラになっちまう」
「ったく、コイツにはエアコンもついてねぇのかよ…ダメだ、イカレちまってるぜ」
「んじゃ、五右衛門、ひとつたのまぁ」
スパッ!
「また詰まらぬものを斬ってしまった」
「バカやろぉ、車ごと斬っちまう奴があるかよぉ」

《ここまで、ここを過ぎず》

休憩所の椅子に
老紳士が座って珈琲をたしなんで
おられた

だが
シルクハットの上には
ひとひらのマスクが…

(ここは銭湯ではないのだが😅)

見慣れぬ光景に
太宰風に言うなら
その諧ぎゃくにだけは吹き出した

奇声を上げて笑ってはいけない

うん、これも生活の知恵という奴だろう

これをネタに短編でも…
いや、ここまで、ここを過ぎず

《タクシー運転手讃歌》

小さい頃
我が家には車がなかった
だから
出掛ける時はタクシーを使う

ある日
運転手さんが
こんなことを言っていた
「あたしのような
しがない運ちゃんでも生きてる
価値がありますかいね」

今ならこう言える
「人生という道を進むお手伝いをする、めっちゃカッコイイ仕事ですよ」
ってね

《太陽と風》

二人の勝負に見せかけて
人を癒すプロジェクトだった

風は
旅人の繊細な心を守るため
強風を吹き付け
マントの覆いを見届けるや
人間が地に落とした
哀しみや怒りや絶望を
空へと巻き上げ

太陽の偉大な命と力により
消滅させていた

そうして後
旅人の心と体は安全に
解き放たれる

《ビリヤード》

さて
今日は

雪色の宇宙💫で
遊びに興ずるとしようか

太陽の虹球を
赤の火星と黄色の木星に当て

跳ね返った青緑の地球を
左隅のブラックホールに入れる

天井のホワイトホールから
落ちてくる
生まれ変わった透明のアース号に
乗り込んで

庭のプールで戯れる
子供のおもちゃになろう

《オンプノ・マイ・フ》

ハ長調の楽曲に
突然
不協和音が入り込み
予期せぬ小休止が打たれるかのように

訳もなく
ワンワン泣きたい夜がある

判事(アンチ)の矢が
オンプノマイフ(音符のmy譜)
をぶった切ったのだ

いつもは
支えになっている励ましの言葉も
応援の絵文字も
心に響かない

独り嗚咽して
顔をクチャクチャにして
鳴くが良い

私は
小刻みに揺れる貴方のブランコの
一つ向こうのブランコ下で
涙の水溜まりを…

《アンチにアンパンチ》

不埒なアンチゃんが現れたら
有閑地に予約をし
お隣さん家に別れを告げ
団地の誰にも会わないように
非難から避難中とツイートし
番茶で一息
満潮の海に佇み
やんちゃな子供時代に若返り
大好きだったアンパンマンと一緒に
アンチにアンパンチ❗

《赤鬼アイロニー》

ふと見ると
とある施設の出入り口に
赤鬼がいる

町の安全を
守っているらしい
鬼が…
鬼が守るのか(笑)

しかし
それにしても
今日は
追い出されるんだろうな
恩を仇で返されて

悲劇と言うべきか
いや喜劇か、やっぱ

ん?
もしかして
普通の鬼よりも
人間の方がよっぽど鬼なんじゃないか
っていう
痛快な皮肉なのかな?

《からす》

木枯らしの吹く中
雲は悠々と
散歩を楽しんでいる

地を見れば
クロウの末に「助けてくれ」と
声を枯らす人々

いすみが森に
伝書鳩を飛ばし
子烏たちを呼ぼう

天の右手よ、地の左手よ
若き才能と
天color水(あまからすい)もて
ありったけのパンを
降らせておくれ

彼らの体色で彩られた
楽しげな雲のブレッドを

《天翔空》

低浮上
という言葉を
僕はあまり好きでない

なぜって
それじゃまるで普段は
冥界の死に体みたいじゃない

僕の目には
みんながいつも
羽ばたいてるように見える

時に必死にバタバタと
時に優雅にふわゆるりと

俯瞰図で観てるから
どこの誰にどんな言葉が必要か
分かるのさ

だから
「天空翔」(あまかけるそら)

『支え』

(※サザエさんに登場する伊佐坂先生は
どんな小説を書いておられるのだろうかと、にわかに気になり、大先生の気分になって幾ばくか記してみようと、試みてみました。)

ここ世田谷に
私が居を定めた理由に就いて語るに
いささか躊躇いのなかった訳
ではないが
とある何気ない出来事が契機となって
世間に公表する手筈となった。

円名鵲(つぶらな かささぎ)の
名をもって
男と女の惚れた腫れたを書いていると

我が担当者くんの
プロにあるまじき、だが彼の憎めない人柄ゆえに許したくなる失態によつて
世の知るところとなったのだが
その詳らかな内容は
別の機会に譲ることとしたい。
新聞や、特に三文週刊誌が根も葉もないことを、さも既成の事実であるかのように書き立てて、世間の歓心を買おうとしているが、私は自らの作家生命をかけて、彼の汚名を取り除くつもりである。

さて
余談にいささか頁を費やしてしまつたが
私が丸三日もかけての一大引越しを決行したのは
細君への恩返しのつもりである…
ということにしておこう。

いや満更嘘でもない
私も時代の子として明治大正以来の
難物であるし
なかなか連れ添いへの積年の感謝を
伝うる好機も
おいそれとやつてくるものではないので
内心、自分を納得させる目当てもあつて、そう得心してみたものである。

細君には
「君が女学校時代に仲の良かった、
あの人に逢いたくはないか」と持ちかけたのだ。
普段あまり感情を表に出さない彼女が
大人気なくはしゃいで
長女とご馳走をこしらえてくれた。
それは天下一品の美味で
料亭でも始めたらどうだと言いたいくらいであつたがやめた。

とにもかくにも
細君の方が俄然乗り気となり
ただ再会するだけでなく、
近くに住めるなら
どんだけ貴方に感謝してもしたりませんわと半ば本気で拗ねるので
いよいよ引っ越し話は現実味を帯び
私の画策の妄想を遥かに越えて
トントン拍子で船出することとなつた
のである

読者諸氏には周知の通り
我が愛娘は親の目からも甚だ美しく
(いや親の目だからという話もあるが)
同級生の男子からのみならず
少しも言い過ぎではなく街中の同年代の男子どもよりアプローチのあつたことは数知れず
バレンタインデーの際などは
もらったというチョコレートの後処理に家族総出で一ヶ月を費やしたほどで
急いで食べ尽くそうと気を急いたせいで鼻血が出て鼻紙のお世話になつたことも二度や三度ではない。

さすれば
勘の良い読者ならば雷鳴の如く速やかに察しのつくことと思うが
娘がこれだけ美貌だということは
その母親もまた然りなのであり
平静は語るのを躊躇うが
長女の成長するのを見るにつけ
ますます若き日の細君に似て来るのに
驚きを禁じ得ないのだ。

そんな細君の一生に一度の大頼み事ならばとの名目で
正々堂々と出版社に協力を願い出
果たして
奇しくも我が担当者くんの親戚であることが判明し
更に驚くべきことに
ちやうど磯野家の隣家が空き家になつてゐると突き止めた暁には
家族一同大歓喜の下
住み慣れた場所を旅立つ準備へと
心の早まるネジを
少々緩めねばならぬほど大わらわの
日々となつた。

というのは表向きの次第であつて
実のところ
今ではもう時効と考えてもよかろうから開けっ広げにするけれども
細君の親友が波野くんの親戚である
ことも
当の家が売り出し中であることも
とつくに知っていたのである。

永年、小説家などを務めておれば
極く限られた機会とは云えども
不思議なるご縁に恵まれることもあり

~思えば細君との邂逅も其れに依るものであつた~

かの飄々たるお調子者の波野くんの仕事仲間を通じて
調べてもらつたものである

何故そこまでする必要があつたのか?

いささかでも文筆に手を染めた者なら分かるはずであると信ずるが
原稿用紙を目の前にして何一つ思い浮かばぬことの何と多く
寝られぬ夜の何と数えきれぬことか


細君に
「あら、あなた、どうされたの?
汗のひどいこと」と正されて
「いやなに、悪い夢を見たのだよ」と
答えてみても
そんな言い訳が幾度も通るはずもなく
弁解の言葉を並べただけの作品の方がずつと世間受けするのでないかと
すこぶる真剣に思案したのが事実なのだ

それであるから
波野くんに第一子が授けられたと
聞くに及んで
彼を旧家に招待して祝いの席を設けた際に
サザエという風変わりな名の親戚の小娘がいると知り
しかも
この令嬢が波野くんの証言するに
「僕なんかより十倍も面白い人がいるんですよ」となれば
私の文豪に名を連ねたいとの秘かなる野望の火はメラメラと燃え始め
彼女を近くで観察して
小説の素晴らしき題材にしてやろうとの計画が
静かに狼煙を上げたのであつた。

初めは頑として「私一人だって残るんだから」と駄々をこねていた娘も「そこに行けば、お前に弟や妹ができたも同然になるのだよ」と伝えてからは、急に踵を返して上機嫌となり、早くも新しく転校することとなる学校の制服を取り寄せて友達に自慢してみたり、世田谷の美味しいスイーツの店を調べたりと、余念のない毎日を過ごして、近頃の文明の進む速さについて行けない自分たちを置き去りにする感は日増しに強くなった。

息子はと言えば、私に似て寡黙で、何を考えているのだか、近頃ではあまり会話も少なくなっていたが、彼なりに思索したのであろう、快く引っ越し話を了解してくれた。感謝に堪えないのは、腰を痛めて重いものを一切運べない私に代わって、おそらく家族の中で一番、引越荷物のまとめに尽力してくれたことである。それが為に彼の浪人人生を長引かせてしまったのではないかと後悔の念に駆られることもあったが、後々全く心配する必要のなかったことを知るに至り、安堵のため息をついたのは言うまでもない。

かくして我々家族は世田谷の住民となり、首尾よくかの噂の破天荒なるお転婆娘の隣人となった。彼女のことばかりに関心があったため、その他の構成員についてはほとんど全くと言つて良いほど、思いが及ばなかったのだが、父母を除いて、いや含めたほうが良いのか思案するところだが、いずれにしても皆が皆、海に関わる名前だったのには腰を抜かすくらいに仰天し、危なく一生腰の使えない身となるところであった。

生活については案ずる必要はこれっぽちもなかった。あらゆることに関して磯野家の皆さん、フグ田家の皆さんが手伝ってくださり、殊に細君の良き話し相手として、フネさんが始終相手をしてくれたからである。垣根越しの対話ではやりにくかろう、と気を使っても、これが丁度良いんですのよ、と返されて、それ以来、コメントは控えている。

新たに始まった創作活動は、予想を遥かに超えてさくさくと進み、我ながら夏目大先生をも凌ぐのではなかろうかと、茶化してみたくなるほど、私の才能は開花した。いや、そうさせてもらつたと云わねばならぬであろう。毎日毎日、よくもこんなにネタにできる騒動を起こしてくれると、かんらからから笑いたくなるほど珍事件が起こり、私の筆が追いつかないのである。うむ、気持ちがついていかないと言ったほうがよいかもしれない。

この度、私がこの年になって文学の賞にノミネートされたのも、絶えず私の支えとなってくれた、細君を初め家族のみんな、隣家の皆様、とりわけサザエさんに、この場を借りて感謝を申し述べるものである。

そうそう、猫のタマについては、人間以上に種々様々の破天荒な話があるので、それはまた別のペンネームで世に放つことにしようと企てている。

釜猫 著「ミハウの月下」


あれは確か
リタラチア王の治世第28年のこと
キバナカイウの国の
ピーチビーチ
(大昔にね、あの物語そっくりに桃が流れてきたっていうので、漁師さんがそう名付けたんですって笑)に
とっても不思議なことが起きたの

今では伝説になって
幼子だって諳んじてるくらいだけど
そりゃあね、
にわかには信じられないわ
わたしだってそうよ

エハウの三つの月が合わさって
ちょうど
空の字をかたち作るミラビリス祭りの日

いつものように
Anaは砂浜でちっちゃな貝殻を集めて
首飾りをこしらえてた
まぁ、6才の少女だからって
バカにしちゃいけなくってよ
Jun女王にあげたら
Cat、じゃなかった、きっと
賞をくれるんだから

そいでね
出来上がった首飾りを
ミラビリスの夕刻の中でこうやって
鳴らすと
ジュジャクが飛んで来て
椰子の実に書いた手紙を届けて
くれたんだって

誰にって
もっちろん、大切な人によ

大切な人は誰かって?
そう急かさないの
椰子の実だって
じっくりたっぷり熟成させるでしょ
ホラ(時)は
ゆっくり散歩してくれる人が
好きなのよ

んでね
大切な人っていうのは
Anaが
赤ちゃんの頃から
夢の中で毎日遊んでたお友達なの

名前をつけてあげる必要なんて
なかったわ
だって
そのボーイは自分から
「僕はKenっていうんだ、ヨロシクな」って
名乗ってくれたから

字を覚えたばかりのAnaは
それはもう
嬉しくって有頂天で必死に
ココナッツに石で文字を刻んでいったわ
あんまりたくさん書いたから
(にしてもスゴいわ!Kenへの想いが
彼女の中にこんなに詰まってたなんて)
9つになっちゃったけどね
だってほら
一つの実にはそんなにたくさん
書けないじゃない?

そう
こっからがスゴいのよ!

つぎぃつぎぃと想いを刻んでいった
椰子の実がね
ホントにたまたま猫九尾星のかたちに
並んで
そいでエハウの「空」と呼応し合って
今まで
見たこともないような
何て云うのかな
ミルフィーユみたいなって云ったら
分かってもらえるかなぁ

薄い何かが
何枚も重なったような摩訶不思議な
ものが
Anaの両の手に現れたの

これはね
これを読んでくれてる君だけに教える秘密だよ
33年先の未来に出来上がる
リタランというもの

彼女には
何か閃くものがあったのね
木の棒に貝殻を差し込んで
先っぽに
焚き火の燃えかすをこすりつけて
やると
後にBenって呼ばれるようになる
第六の指になって

こりゃ、もう革命よ
ココナッツの時より九倍は早く
想いをかたちにできたってわけなの

Anaは
ミラビリスの祭りも忘れて
エハウの月が
お別れを言ったのも気づかないで
夢中になって書き上げた
Kenと遊んだ愉しい想い出の数々を

さんざん
書き終わって、ふと気が付くと
虹陽が上がって
ジュジャクが綺麗な声で鳴いてた

すると耳元で囁く声がする
Ana、おはよう✨
眠い目をこすると、えっ!?
Kenが
妖精みたく目の前に立ってるじゃん

「Ana、さあ新しい物語を一緒に
作ろうよ😄
僕たちの響き合うムジカのさざ波で」

リタランが
朝風にまくられて
新たな奇跡へとうちらを誘ってる

《ある街の》

アル・パチーノ
と表する自販機が僕の
目の前にある

歓喜した
往年の名優に邂逅した気分

だが
次の瞬間
恐怖の寒風が
僕の内蔵を凍らせた

買ったら最期
マフィアの一員にならねばならぬ
のでなかろうか

無色であるのが
否が応でも戦慄を際立たせる

白き悪魔、黒き正義

いや
ボタンを押したら
彼がユーモラスに出てくる
とGod

《仮面ライダー如月》

一人のうら若き乙女が
前方斜め21度に
突如姿を見せた

彼女の名は「枝捻 梅」
頬を赤らめ
目の下に丘を二つ作って

右横すれすれを
颯爽と走り去って行く

戦いを終えた安堵の笑みか
いや
覚悟を決めた女戦士の勇顔だ

コロン軍のラスボス
コロンナとの最終決戦に向かう

仮面ライダー如月
それが彼女だ

《吾輩は梟である》

吾輩は梟である
名前は五郎助だかコロ助だか

聞く処によると
仲間も同様とのことだから
僕個人のではないやうだ

或る時ふとスズが鳴る
ほぅ今日のランチは知恵の実か
我が同居人は
哲学の心得があるので
気に入ってゐる

森の中で
ギューっと僕を抱き締めて

彼女はまだ知らぬ
最高のGIFTを用意してゐることを

《フクロウとK》

梟は
逃れの家の主人
這う這うの体で逃げて来た人を
迎え入れ
その重荷を負うる

梟は
佳きカウンセラー
ほぅほぅと
聞き耳を立て私の涙を拭くの

梟は
現実主義者
方法が大事と説く
人を助けるには手段を得るのが
必要なのだ

首が24度に傾く
西、誰そ彼の方角で
うずくまり涙に暮れる人あり

《哀歌》

僕の運命は羊飼い
愛羊たちを
後ろから促して
命の言の葉を食べさせよう

彼女彼らが
溌剌と生きる為の栄養を取り
背丈が伸びること
羊色で地を染めるのが
このカレブってヤツの使命らしい

牧童の体も懐も豊かにはならないが
心はピュリファイされていく

ヨハネ福音書のように
一人一人との対話を宝物にして

《バルーンでひょいと》

空を自由に飛びたいな✨

一番くじは赤のバルーン
情熱で
期待は膨らむし

二番くじは緑のバルーン
平和を
切にききゅうするし

三番くじは黄色のバルーン
日光で
にっこり顔になるし

四番くじは紫のバルーン
浪漫で
胸は焦がれるし

五番くじは橙のバルーン
冒険心で
全身が興奮してくるし

六番くじは茶色のバルーン
大地と足が
サヨナラするし

七番くじは青のバルーン
広がる空に
感動で半泣きし


そんな少女の
つつましやかな願いも
AtomのBombで
白黒写真に焼かれてしまう

夢は泣くとも
希望は鳴くとも
僕たちはあきらめず
頑張るんだ

#Banksy #balloon debate #番くじ

《オードリー》

ただ
言われるがままに本を読む
赤の警鐘、青の落胆、黄の陽気さ
ママが話してたの
ここにあったんだ

金色の黄昏、森の銀世界
祖母の遺品から
こんな素敵な本が見つかるなんて

いま
改めて思い出す
瑞々しい青春、甘酸っぱい失恋

真鍮のスズが鳴り
魂と自分が出逢う
「ただいま❗」「おかえり☺️」

《きっと》

「おいっ、そこのお前、俺の靴を磨け」

唐突に、おじさんの声がする
道具の手入れをしていた僕は、黒墨の手で目をこすって、顔を上げる

赤風呂殿下のお目見えだ

「へいっ、ただいま」

早速、作業に取り掛かるが
(おや?あんまり汚れてないな。それに変な赤だ。これって…)

クリームとワックスを塗り、タオルで拭いて、そそくさと仕上げを
(この人、子供の味方だって聞いたけど、自然の中で遊んでないな。
だけじゃない、これ血だよ…)

僕は、嘘で塗り固められた虚飾の人形を、横目で一瞥し、軽蔑した
彼は、一ペンスだけ投げ捨てて、いつの間にか消えてる

僕の名前?キッドって言うんだ。
髭とステッキのおじさんがパパなんだよ

#Banksy #unknown #キッド #チャップリン

《Love忍者フェア》

「すまない
俺たち、またやっちまったみたいだ」

暗転を下ろした様に黒い昼間
忍者の横行さ

アイツがいなくなってから
街の涙が
麗美花を咲かせるようになった

それを
世界に投げてやるのが
俺の仕事ってわけ

鼻を隠して花を拡散…
なんてね

「そぉれ、受け取ってくれよ、プペル、いやブルーノのおやっさん」

その時ふと
デニスは気づいた
ブルーノ…ブルーの…そっか
青空は
いつもみんなを
見守ってくれていたんだ

※暗転を=アントニオ
※麗美花=レベッカ

#Banksy #Loveintheair #プペル

《水》

水は
うみの苦しみの中で
生き物を
造り出す前に
無限の色を思い付いた

黄緑からは木々を仕立て上げ
灰色からは雲を浮き上げた
その変幻は顔色のよう

水はまた
カタチをも創造する

水は
どんな入れ物にも
形を合わせていくのだと
人はそうおっしゃるですざんすが

水の像から
人世は造形を知ったのだ

《ブランコクェーカー》

9エーカーほどの
砂場にあった錆びたブランコで
小刻みに揺れる
鼻垂れ花ダリアのDays

大人びて
交互に揺れすれ違うクェーカー
檸檬の風が顔を撫でてくんだ
白い遊具に青春色を
塗りたくれ

漕ぎ出そう
橙色の明日へさ
影が長くなったら
僕が後ろで受け止めるよ

白き日々には座るだけ
天使が
チークダンスに誘ってくれるから
そしたら
一心フランに踊るのさ

《香水ケンチックス》

クラウドの星
時代をゼロに巻き戻そう
目の前の
アース(明日)に手を伸ばせ

欲望で膨らんだ
過誤(過去)を頬張るんだ

さあ
RhymeLightで照らして
新しい地球を
創造しよう

香水(降水)を振りかけて
揺らぐ乱世にフレグランスを

素材はガラス
壊れたら
焔で創り直すのさ

《Mort Mort》

人間から
時間を奪って
殺せよ殺せよとホラーな声が

奴らはグルで
時間をくれぃと巧みな話術

ジジが死死に
ベッポがへっぴり腰に
なっちゃった

真実が知りたいと
燃実が赤らむ

ほらほら!
時間さんとかけっこ

時間泥棒は死んだわ
みんなももう大丈夫
これからはね
百々のたっくさんの桃が咲くのよ

※mort=死(仏語)
#モモ #Mort

《浜子唄》

どれどれと
味噌を味見の歯抜け人
汗ぞ隠して
唄うらしいど

(どれどれ味噌はうまくできたかなと
歯の抜けた浜子が味見をする。
過酷な労働の折に流した汗が、味噌の無くてはならぬ隠し味になっているのも知らないで、浜子うたを唄っていることよ)

《花愛で日記》

花を
一緒くたにするのでなく

その一本一本に
名前を
付けてやるということ

いや
その日その時の
彼女に
名を授けて献呈すること

それが
花を愛でる
ということではないだろうか


《五万節》

学校出てから十余年
今じゃ名うてのインフルエンサー
片手間ちょちょいと
やってみりゃ
初日のフォロワー五万人
(←さば云うな、コノヤロー(笑))

学校出てから十余年
今やまさかのコロナ禍で
お上に片目で媚びを売り
取ったディスタンスが5万㎞
(←さば言うな、このヤろめ(笑))

学校出てから十余年
押しも押されぬ映画人
温めた作品大当たり
集めた涙が5万粒
(←泣かせるね、コンチクショー😭)

学校出てから十余年
世界各地で絵画テロ
悲劇の種で花育て
届けた花束💐5万束
(←束ねるの、手伝おう🎵)

《詩人》

無意味?

キミ
詩人はネ
多くを語らないものなんだ

鳥に似て
詩が唄えば
そこに風景かあるのが分かる

詩の囁きが聞こえたら
目を凝らしてごらん

頑張って
笑おうとしてる健気な少女を
キミは
見つけるはずさ

そら
春の風が
吹いてるじゃないか

僕はもう行くよ
震えながら唄う蟲のビブラートが
たまらないんだ

《Ake》

不意のquake
shakeされる心と体
fakeなんかじゃないよ

こんな時だから
感謝を伝え合うValentineDayだから

cakeをbakeして祝おう
互いの存在を
生かされてる喜びを

お洒落にmake up
希望の光へtake off

ブランコでquakeして
不安を
空に飛ばしちゃえ

魂よAwake

《ジュール》

目の前に画板
頭の中は真っ白で
紙に触れた鉛筆は斜め立ち

オープンカフェに美風
栗毛がたなびく

配達されたココアと
風が運んださえずりが
私のジュールを三つ高めたわ

指と筆は
ステップを踏み
この世界に無かったものを
産み出すの

コスモスは
枠を垣根を破り
目に映る人々の日常に
描き出す

ヴェルヌの葉々と
踊り舞いつつ

《鳥come》

壊れた感情のカケラ
散らばった思い出の瓦落多を
ゴミ箱に捨てた

てんこ盛りの屑を
サンタ袋に集めようと
屑入れの底をポンポンと叩く

その時
心の水溜まりの水滴が
跳ねた
踊った
コイツは良い

灰色の昼下がりは
一気に
雛祭り色に染め上げられ

小鳥の笛と共に
鳥comeと一緒に
来る祝福の前祝いと興じよう

《雲の下》

雲の下の水槽に棲む
僕らは
上に行こうと
アップアップしてる

雨が架けてくれた虹も
天の橋立
シースカンスの如く
雲を突き破ることはない

天から投げられた
エスカレーターに乗って
二階に登ろう

エレベーターで搭乗し
さすらう遊園地で
遊ぶんだ

《破風館》

我が顔は
北極星を鍔の先に望む

カシオペアの短針と
北斗七星の長針
之をもて
時の歯車を回し

東には
右の手を伸ばして
太陽を掴み

西には
左の手を差し伸べて
星のスイッチを御にする

風を破り
魔菌を破らん

「蜜柑」(by Caleb)

俺ん家で焼いて食べよ
レンジでさ

誘われる道のほとりに
独りぼっちの蜜柑
みるみるアタシはちっちゃくなって
背伸びして掴む

スケッチブックのページを
めくるから
新しい私を描くから
垂らしてよ
習いたての感情を滲ませて

貴方の温もりで
二人の未来が浮かび上がる
甘酸っぱいキスを

柑橘じゃない未完の…

《パンケーキ・レース》

今日は愉快な
パンケーキ・レースの日

楽しんで
積みを食い改めるのさ

うまくできりゃ
天国に
落としちまったら
地獄行き
なんて
ルター様に怒られちまうぞ

地べたのパンは
キリスト様にお裾分け
それじゃ
修行の邪魔しちゃう

俺らの人生も裏表
あがいてもがいてゴールする
分け合って
みんな満腹さ

すると
刑期もレスになる

「焔」


熱き想いを抱きし時

赤き情熱は
未だ序ノ口なりて
すなわち偽(二千)の瓶を蹴るのみ

妖気(黄)を帯び
快活の笑いを湛えれば
四川(四千)の瓶は蹴り倒さん

白銀の雪を設ければ
曰く、
五線(五千)譜を縦横無尽に遊ぶ、と

真の炎
対極の蒼を呑み込み
満(万)願の極意
穏やかなる霊瀬を極めんなり

《漢字帳》

あったかい小春日和
ヨッシー
「ヤバっ、漢字の宿題、忘れたぁ😱」
気づいた隣席のベンちゃん
「先生、竈門炭治郎って書けます?」
「ヨシ君てね、鬼滅の漢字、全部書けるんだよ、凄いでしょ」
(フフっ嘘とか知ってるけど、許してやるか)
机をまたぎ飛び
ノッポの先生は去った

#歌舞伎 #勧進帳

《書家》

書家
後方(弘法)に数多の筆の誤りあり
禍幸の諸夏を経
迷走(瞑想)の佇まい
一転して躍動し
其の人生を画くこと
電光石火の如し

《夏目先生》

元日…にあらず
立春より二百十日
初秋の一日に野分吹く

長谷川君と余は落第
道草しつつ虞美人草を横目に草枕す
変な音がする
文鳥か
琴のそら音か

人生は無題
僕の昔について思い出す事などない

京に着ける夕
ケーベル先生と薤露行の
それから土に就ておはなしをし
鬼哭寺の一夜を共にす

水底の感、明暗は如何に

《白鳥の歌》

今日こそはと
チャレンジするのに
うまく行かない

なぜ
みんなのようにできないの?
責めの言葉を
私はみずから浴びる
ホント醜いなぁ

Twitter辞める
もう息も吸わんぞってくらい
水に潜った

死を覚悟した時
新しい私が羽を伸ばしたの
幸せそうって
羨ましがられる程
今までで一番綺麗な声で…

《帝》

祝え
帝のお生まれを
その風体
天下の富士の山の如し
北斎も太宰も
甦りて
その見事さと愉快を描く

風呂敷にて
運ばれたる胎内の子も
踊りて喜ばん

百景に負けじと
工場も自ら光りて
彩に花を添え

贈り物を
ローテーションして
幸せを
分かち合おう

これぞ
新しき世の習い

《クロノライン》

恰も
未来人による
タイムマシンの乱用で
人の存在が
消え行くのを

阻止しようと
するかのように
この世を創る漫画作者は
輪郭を
力強く描く

人々は
自らを取り戻し
レディたちは魅力を振り撒いて
その歩みも軽やかに

時空に
呑み込まれた時間も
もうすっかり
元気を回復して

時線を走らせる
さあ行こう

「良い時代だ」(by Caleb)

春は名のみの
周りの冷たさと溜息の白さと
曇る前途の
アンニュイな日々

日差しばかりが
あったかくて眩しい

溜まった変なホコリを払い
過憤で涙流し
アイツを転がして
久しぶりに
風を切って走るかな

巻き戻そう
弛んだカセットを
引っ張り出そう
入学祝いでもらった赤いラジカセを

さっ歌うぜ
イージューライダー


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