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R.I.P.

丁寧に折り重ねていく 日々失われる今という季節。

折り紙で作った風船
水溜りに浮かべた笹舟
縁側から見ていた雨の日の記憶

遠くにあるものはいつだって美しいけれど、
遠くに行ってしまう前にその多面性に気づけたら。

感情は生ものらしい。
後回しにすればするだけ、本当に見えていた色は掠れて消え失せてしまう。

全てをセピアで染め上げてしまうには、
まだ諦めきれないし納得もいっていない。


あなたの所作が綺麗だったことや
彼女の細長い指が引くパターンが美しかったこと
柔そうな髪の流線も
思い出すとどうしてか泣きたくなってしまう。

言葉や心を見つめ続けることをやめられない。
伝えたいことなんて本当はひとつもないくせに。

褪せてゆく全ての美しかった光景を私は忘れたくないからきっと書いている。
美しいと感じた瞬間の色や触感や温度を、
覚えていたいから記録している。

それはいつまで経っても誰かの為にはならないかもしれないけど。
文章で私に出来ることはなんだろうと日々考える。

美しかった瞬間を剥製に、感情の色や形を標本に。
今の中に眠っていた欠けらを掬い上げるようにして。

時間も細胞も死に続ける。
命は明日へ更新されて、それと同時にすり減っていく。
忘れてしまうなら、
忘れられない日々の形を記したい。

そこに君がいたらいいな。
そこに好きな色が溢れたらいいな。
音楽が、言葉が、景観が、安らぎが。

当たり前ではない毎日を夢見て、今日の天幕を降ろすのです。

#日記 #言葉 #記憶 #記録 #夏 #平成最後の夏

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