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水彩

今日は朝からずっと涼しい。
遠回りして帰る道、音楽ひとつで様変わりする景色と気持ちと一緒に。
夏が終わってしまいそう。

幸せな時に聴いていた音楽よりも、
そうではなかった時に繰り返し聴いていた音楽の方が、随分と長い時間私を支えて形成してくれたように感じる。

誰かから頂く幸せは消耗品みたい。
寄り添う音楽は一瞬で変化する。
景色が美しかったとか、カフェラテが美味しかったとか、もらった気持ちが嬉しかったとか
そんな些細なことの積み重ねを自分の幸せと呼んでいたい。

薄水色とコーラルピンクがまざる水彩のような夕景。
優しい色に染まる眠たい町。
きっかり割れた半月の造形。
日に焼けて熱のあがった身体を残して、
すべての夏が消えていくみたい。
急にハッとして、色々なことに気がつくんだ。

夢から醒めてしまうみたいに。

どんな風に生きてもきっと後悔するから、
そのままにしておくことで
痛い程美しいまま、触れないままずっと残っていく痕になるのも良いかもしれない。

その痛みの後悔が、濁らず純水なままこれからを歩いていく自分のお守りになるような気がする。

夏の感傷はタチが悪いなぁ。
夏に自分が形成されるのは きっともうずっと
変わらないみたいだ。

#夏の片道切符 #エッセイ #言葉 #平成最後の夏 #心 #感傷 #8月

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