見出し画像

雪闇にて

雪闇の朝を ひた走る
どこか遠い場所へと急ぐように
僕たちは手を繋いで ひたすら
走り続けてる

かすかな希望 そして
残された時間の果てに向かって

遠い星から届く 誰かの声は
訃報を告げるみたいに 震えてる

すべてがまるでこの 枯れた森の風景に似て…

乱れた音声の欠片を拾い集め
繋ぎ合わせ 浮かび上がる文字のないメールを
 無言で読み続け 解読するふたりは
 世界で最後の生存者のように 項垂れる


かなしい一刻ほど 時は速度を落とす

永遠の一秒を響かせるような
木肌を滑り落ちる雪々が 静かに
この冬を謳う

すべてがこの世の遺影のようだと
僕らは 透明な目と目を合わせ
古い祈りの文言をつぶやきながら
この偉大な光景に 黙禱を捧ぐ


画像1


だけど今 目の前に溢れ出る光はまさに
希望に満ち溢れていた
すべての呪縛をリセットする力を
空の上から振るいながら
しんしんと降り注ぐ

信じてみようよ、と 君が思うと
同時にそれが僕へと届く
そして再び 二人は祈りを捧ぐ


遠くから届く声の主は
計り知れない時間を知っている
計り知れない結末を 知っている
 だけどそんな彼らでさえ
 全知全能ではないことの無力さを
 この光の中で嘆いていた

僕たちはその力には及ばぬ 小さな存在だけど
彼らの威厳を一心に受け入れながら
どこかへと引き込まれるように
走って行こうとしている

雪闇の 朝
雪闇の 永遠…

※おそらくこれから生まれて来る予定のディディエ・メラの新しいトラックの残響からの、インスピレーションで綴った即興詩です。



記事を気に入って下さった暁には是非、サポートで応援して下さい。 皆様からのエネルギーは全て、創作活動の為に使わせて頂きます💑