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自称"霊感がある女子"を対決させようとした話

僕はその日も気だるさを覚えながらアルバイトに行った。出勤すると先輩のA子がいたので挨拶をした。

「おはようございます!」

するとA子は青ざめた顔で挨拶をしてきた。
「おはよう、、、」
「どうしたんですか?」
「実は、今日、うーん。こんなこと言ったらDiceK君まで体調悪くなっちゃうかも。」


めんどくせぇなと思ったけど、じゃあいいですとは言えないので「どうしたんですか?僕は大丈夫ですよ。」と答えた。

待ってましたと言わんばかりにA子は神妙な顔つきをしながら言った。
「あそこの柱の右側に女の子の霊がいるの…」

出たよ。出た出た。と思った。
実はA子は自称"霊感がある女子"なのだ。
そんなわけあるかぁ!とは言えないので
「マジですか、、、それはやばいですね。」
と答えておいた。


霊感があるアピールをする女の人はたまにいる。確かに本当に見えているのかもしれない。だけど、僕は9割は嘘だと思っている。
「◯◯君みたいな人が彼氏だったらなぁ」くらい信用してはいけないのだ。

そして、僕は重要なことに気づいた。
今日はB子も出勤だということに。

そう。このB子も自称"霊感がある女子"なのだ。

僕はどうしてもこの2人を戦わせたくなった。
心の中でにやにやしていると、B子がやってきた。


僕は早速B子に告げ口をした。
「実はA子さんがあの柱の右側に幽霊がいるって言うんですよ。」

B子は言った。
「A子が霊感があるって言ってるのは嘘。」
よし、乗ってきた。

「私は本当に見えてるからわかるけど、柱の左側に女の子の霊がいるよ。」

ん?想定とは違う。もしかして幽霊移動した?と僕は思った。まさかの2人とも本当に霊感がある可能性が出てきた。


いや、待て待て。
よく考えたらB子は黒の可能性が高い。なぜなら"霊が移動するかもしれない"という概念を忘れるほどA子を否定したがっているのだ。

"私こそ霊感がある"のだと。


こうなったらA子にもう一度聞くしかないなと思った。
「A子さん、まださっきの霊いますか?」
「いるよ。」
「ちなみに右行ったり左行ったりしてます?」
「ううん。ずっと動いてないよ。」


僕は小さくガッツポーズをした。
これで完全にA子とB子の意見が食い違っている。
ただちょっと気になるのが、
"もしかして霊って動かない?"ということだ。
確かに思えば「あの辺に霊がウロウロしてるよ」と言っている人は見たことがない。
嘘の説明をするときに情報を増やしたくないんだろうなと思った。



一旦ここまでを整理する。
2人とも本当のことを言っている場合、こういうことになる。

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こんなことあるだろうか?
自分の立場になって考えて欲しい。
こんなに近くに他の幽霊がいてその場に
ただ立ち尽くすだろうか。ふつうは会話をするなり、自分は移動するなりするだろう。

しかも、A子もB子も両方は見えていないことに違和感を感じる。2人とも見えているという解はおそらく無い。

僕は、より女の子の特徴を説明できる方を勝ちにしようと決めた。「髪の長い〜〜」と定番のやつを言った瞬間負けにしようと。



ついに決戦の時が来た。


僕は柱の近くにA子とB子を呼びだし
「女の子の特徴を教えてください。」と言った。


A子は言った。
「もう女の子いないよ。だから言えない。」
そしてB子も言った。
「うん。いないね。説明できないよ。」


え?いない?

しまったー!!!!!!


僕は最悪のミスをした。
霊感の話にはこの逃げ方があったのだ。


おそらく2人とも僕が対決させようとしていることに気づいたのだ。そして口裏を合わせて霊を消したのだ。


なんで急に幽霊移動してんだよ。とは思ったけど、結局僕は2人を直接対決はさせることはできなかった。それ以上聞くのは野暮な気がしたし。


僕はその日2人が本当に霊感があるのかはわからなかったけど、2人とも女の勘がめちゃくちゃあることだけはわかった。





結論

「女の勘が1番怖い」






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