短気 is マジ損気
最近、自身の日頃の行いを省みた上で改めて「良くないなぁ」と思うことがある。それは自身の性格についてなのだが……早い話が、私は恐ろしい程に短気である。
あまりに気が短すぎる為、母親からは「あんたは瞬間湯沸かし器」と言われている。確かにそれは言い得て妙で、イラッとすることがあると一気に頭に血が上り爆発的に怒ってしまう。しかもその湯沸かし器には保温機能があり、一度何かに対して怒るとなかなか忘れたり許したりすることができない。そして何より一番厄介なのが、私は短気である事に加えて物凄く口が悪い。心がお怒りモードになると酷く口汚い事をついつい口走ってしまう。
例えばこれは数日前の話。私は部屋の窓を開けて昼寝をしていたのだが、ふと何かの拍子に目覚めた。私は特に昼寝から覚めた直後に猛烈に機嫌が悪いことが多く、その時もこれといって何かがあった訳でもないのにイライラしていた。すると突然、窓の外からブンブンブン!というけたたましい騒音が聞こえてきた。恐らくは妙ちくりんに改造されたバイクに乗ったヤンキーが近所の交差点で信号待ちをしていたのだろうが、その騒音は寝起きで苛ついていた私の逆鱗に触れ、次の瞬間私は
「ブンブンうるせえんだよ馬鹿!!しばき倒すぞ!!」
と窓の外に向かって叫んでいた。
……まあ、恐らくはアパートのそれなりに高めの階に住んでいる私の怒号はエンジン音を響かせるヤンキー本人には届いていなかったであろう。しかしながらその日は蒸し暑い日であった為、私の上下左右の部屋の住人も窓を開けていた可能性がある。そうなるとご近所の方々には私の暴言が聞こえていた事になる。何とまあ宜しくない事か……まあ、流石に大声で叫ぶことは中途半端な昼寝から目覚めた直後の頗る機嫌が悪い時くらいしかしないのだが。
なお私は手癖も悪い。また別のエピソードになるが、数か月前、やや幅の狭い道路を歩いていたら後ろからやって来た(これまた柄の悪い輩が乗るような)車に「邪魔だ」と言わんばかりに思い切りクラクションを鳴らされた。とはいえその時私は道路の端を歩いていたし、いくら道幅が狭いとはいえ車一台なら難なく通過できる余裕は十分にあった。それなのにクラクションを鳴らすなんぞ横暴じゃねえか……と、一瞬で頭に血が上りきった私は過ぎ行く車に思い切り舌打ちをし、バックミラーに向かって中指を突き立てた。
とまあ、己の短気エピソードを述べると枚挙に暇がないのだが、矢鱈と怒りを露わにしては暴言を吐いたり中指を立てたりするのはやめなければならないと近頃切実に思う。というのも、詳しい場所は個人情報に関わるので書き記せないが、私が暮らす地域は如何せん治安が劣悪なのである。先述の通り柄の良くない蛮族がうようよ生息しているし、何なら我々カタギの民とは一線を画すアウトローなパラレルワールドに暮らす方々も大勢いらっしゃる。アパートの部屋から怒号を飛ばした件はまだ良いとして(良くないけれど)、バックミラーに中指を立てた件については万が一相手がそのような輩であった場合、逆上されて袋叩きにされていた可能性も否めない。そう考えると途端に背筋が凍る。もし齢三十そこそこにしてそんな野暮な理由で命を落とそうものなら口惜し過ぎて死んでも死に切れないこと請け合いである。
怒りという感情自体は多かれ少なかれ全ての人間に備わるものであり、それを絶対悪とする必要まではないと思うのだが、己の身や家財などを守る為にもある程度のアンガーマネジメントは必要なのかも知れない。ちなみに「家財」というのは学生時代に何かに怒った拍子に実家の本棚の側面を蹴り飛ばして木板に穴を空けた経験を思い出して書いている。我ながら暴虐すぎる。まあ、兎にも角にも瞬間的に湧き上がった怒りを如何に抑えるかというのが今後の課題になりそうである。
ちなみに今回私がこの記事を書こうと思ったのにはきっかけがある。というのも先日、仕事中に後輩に対してブチ切れて舌打ちをしてしまったのだ。これは本当に良くなかったと物凄く反省している。詳しく書き記すと長くなる上、その子の尊厳を損ねる可能性がある為何があったのかは伏せておくが、べらぼうに忙しい時に「もうそこそこ長く働いているのだからそれ位の事は覚えろ」という案件でもたついていた後輩に対して怒って舌打ちをしたのだ。しかし後になって冷静に考えた時、その子は相当傷付いたのではないかと思った。もし自身が逆の立場だったとして、いくら超絶多忙で従業員がみな殺気立っていたとしても、明確な叱責の理由を聞かされることもなく唐突に舌打ちをされたら相当凹むであろう(なおその子にはきちんと後で謝罪してその時何故怒ったのかも冷静に伝え直した)。「己の欲せざる所人に施すこと勿れ」とはよく言ったもので、自身がされて嫌なことは他者にもしないよう配慮をしなければならないと痛感した。
ということでこれからは突発的な怒りをどうにかやり込める術を身に着けなければならない。この記事を読んでくださった紳士淑女の中で良きアンガーマネジメントの方法をご存じの方がいらっしゃれば、どうかその極意を伝授して頂けると是幸いである。
なお私は今現在、居住地から遠く遠く離れた場所を走る電車の中でこの記事を書いている。とあるイベントの為に東京都内へ向かっているのだが、朝っぱらから出発地の空港でお土産ショップの店員と一悶着ありブチ切れてしまったのでいきなり幸先が悪すぎる。駄目だこりゃ……そして次回は本日これから参加するイベントについて書き記そうと思う。次は明るく楽しい話題になる予定なので、どうか短気な私を見捨てないで……ね。
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