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「メイクの真理」を網羅した本と衝撃の出会い!“宮崎の田舎の女子学生”がさまよった7年を返して

こんにちは! この春に出版社のダイヤモンド社に入社したての新入社員の秋岡です。新人研修の一環として、「自社の話題書を新人が読むとどう感じるのか?」をnoteに綴ることになりました。同期4人で担当しているこの連載も、7月に入りとうとう2巡目に突入です! 意外と好評みたいで嬉しく思っています。さて、そんな第9回ではメイクに悩めるすべての人に捧げたい『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』を取り上げています。自分のメイクに悩む人も、これからメイクを学んでいきたい人も必見の一冊です!

メイクはスーパーカーに似ている⁉

 私の夢は、スーパーカーを買うことです。

 なるべくでっかい車がいい。左ハンドルで、たまにみんなの前で「維持費が高い」と嘆いてみたい。瞬きよりも速くアクセルを踏んで、夜の首都高をかっ飛ばしたい。田舎の畦道を走るじじばばのプリウス(私の地元である宮崎県の田舎の原風景)もいいけれど、私はやっぱりスーパーカーに憧れます。

 でも、どうして車に魅入られる人が多いのでしょうか。

 高くてカッコいい車に乗っている自分のことは、永遠に見ることができないのに。私だってスーパーカーに乗りたいけど、運転する自分の姿を見られないなら、なんだか虚しい気がしてしまいます。

 私にとってメイクは、そんな感覚と似ているんです。

 自分の顔をずっと見ることはできないのに、メイクに魅了される人は多い。そんなことばかり考えていたら、いつの間にか社会人になっていました。

 かつてコスメという言葉さえ知らず、「メイク道具を買うとすぐお金がなくなる」なんてあるあるも理解できなかった高校時代の私は、本気でこう思っていたのです。「メイクとかする意味ある?」と。

 しかし、そんな長い思春期を拗らせる前の自分に読ませたい本にようやく出会いました! それが『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』です。ちなみに続編『続メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』も出ています。

 シリーズを通して、コスメカウンターが怖いマンガ家の吉川景都(よしかわ・けいと)さんが、メイクに関するあれこれを30年来の友人である現役美容部員・BAパンダさんにとにかく聞きまくるという内容になっています。コミックエッセイなところも、めんどくさがりでマンガばっかり読んでいた高校生の私なら飛びついたと思います……。

怠惰っぷりが現れているデスク。先輩方が近くを通るたびに「怒られる⁉」とハラハラして物を横に寄せたり無駄な努力をしています。

MM5(マジで メイクしたくなる 5秒前)

 本書では、吉川先生が自分のメイクを学び直すことをコンセプトにしています。5年以上同じメイクだったり、いつも何となくでメイクをしている人の「それが知りたかった!」という的確な質問を、読者の代わりに代弁してくれる存在です。まさに、メイク初心者やメイクが得意ではない人にとっての強い味方なんです。

 その中で、22歳になった私にとっては「メイクを始める前に読みたかった」本だと痛感しました。これだ、これさえ読んでおけば黒歴史なんて製造せずに済んだのでは⁉

 真紅のリップを塗れば友人に「人でも食べたんか?」と言われ、まつ毛パーマに目覚めれば「まつ毛より眉毛を整える方が大切でしょ」と言われる始末……。「メイクは自分のしたいようにするのがいい」と言うわりには、人の顔に点数をつけたりダメ出ししたがったりするこの世は本当に不可解で世知辛いです。

 しかし「時間もコストもかかる……」とは思っても、メイクをしないという選択を取れる女性は少ないのではないでしょうか。

人とは違う何者かになりたい。でも批判はされたくない。
みんなとコスメの話で盛り上がりたい。でも興味を持てない。
メイクをしていない素の外見をジャッジされたくない。でも可愛くありたい。

 これが、いつも私が鏡の前で持つ二面性であり、時には相反するジレンマとなって現れます。……きっと、こんな風に、多くの女性が抱えるであろう葛藤さえ超越してしまう魔物のような力が、メイクにはあると私は思います。

 メイクを通じ、自分の「綺麗」や「かわいい」を引き出したいという欲望がある一方で、社会の期待や他者の目を気にしてしまう。メイクとは単に外見を飾る手段ではなく、自己の内面と外見の調和を模索するプロセスなのかもしれません。そう考えれば、天国と地獄がコンビニよりも近いような、その二面性にも納得できる気がします。

 こうやって、メイクをする前からうだうだ悩んでいた高校時代の私のようなメイク1年生にまでも優しいノウハウが、本書にはぎゅっと凝縮しているんです。

著者が読者で読者が著者

 躍起になった私が、高校と大学の7年をかけやっと導いたメイクの真理「一番大事なのは眉毛」「スキンケアはクレンジングで決まる」「アイシャドウとチークの色は合わせる」も、この本を読めば30分で解決します。だって、驚くくらい“すべて”が載っている……!

読んだ本に付箋をつける癖があります。付箋が手元にないときは、LINEのkeepにメモっています。

「アイシャドウを塗るときは『いつも心にガイコツを!』」
「落ちない『アイライナー』より、落ちない『目のコンディション』」
「チークとリップの色をそろえる。これで大失敗はしません」
「スキンケアはクレンジングが9割」

(『メイクがなんとなく変なので…』p.54、74、146、168より)

「メイクを『薄く』する勇気を持とう」
「三次元の推し活メイクは『相手目線』、二次元の推し活メイクは『自分目線』」

(『続メイクがなんとなく変なので…』p.76、182より)

 BAパンダさんの教えはまさに目からウロコ! メイクが何となく分かってきた今の自分が読んでも感心させられることばかりです。

 そして何と言ってもやはり、この教えを引き出してくれる吉川先生の存在が私には大きかった……! 吉川先生は分からないことを余すことなく言語化してくれるんです!

「目尻の終点ってどこにあるの?」
「つける途中でもつくし、つけても夕方には下まぶたにつくからマスカラはやってない」
「最近よく見るから、赤リップを塗りたくってみた」などなど。

 ネット上でメイクに関する情報を読んでいると、メイクに慣れるほど「何が分からないのかも分からない」という状態を忘れてしまうものだなと実感します。

 宇宙? それに似ている気がします。吉川先生の言葉は、138億年前から今もずっと膨張し続け、全てが存在する宇宙空間みたいなんです。私は吉川先生のことを何も知らないのに、先生は私のすべてを知っているように思う。こんなにも自分の悩みを誰かに見透かされているかのような心地になる体験は、この本でしか手に入らないはずです。だからこそ、私はメイクを始めたての人たちにも読んでほしい……!

こういう写真ってインフルエンサーにでもなった気分を味わえて興奮してしまいますね。

 これが最近の私が愛用しているコスメのスタメンです。メイクを始めたばかりのころはリップと日焼け止めしか持っていなかったはずなのに、ここまで成長しました。我ながらすごい。

 続編では、BAパンダさんが「メイクは場数。センスや才能が足りなくても上達します」(p.204より)と言っています。

 その言葉通り、私のように努力や練習や頑張ることが苦手な人間でも、7年経ってなんとかここまでこれました。ちゃんと学ぼうとすれば、本当はそんなに時間もかからなかったかもしれない。本のページをめくるだけで人生が変わる、そんな出会いもあるはずなんです。

 当時は、宮崎県の田舎に住む高校生にメイクをする権利なんてないと勝手に思い込んでいました。だってやり方も分からないし、失敗したくないし、人に何かを言われるのが怖いから。でも、今となってはメイクをした自分がスーパーカーを運転していたら、自分の姿は見られなくともそれが最強なんじゃないかと、私は思っています。

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