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テーマはジョハリの窓

イラスト:ムツナナツ

僕が実施した自己理解講座のある日の風景を紹介してみたいと思います。

「こんにちは。 台風が来てますね。 でもいまは晴れてますねー」
「夕方からまた降り始めるみたいですよ」
「あ、そうなんですね」
そんな会話から講座は始まった。

参加者は8人。女性6人、男性2人。 ファシリテーターである僕に初めて会う人も何人かいたので、簡単な自己紹介をした。
そして、隣同士での対話の時間。 テーマは最近あったちょっと嬉しかったこと。
そして、本題。
テーマはジョハリの窓。

まず、僕が用意した8コマ漫画を紹介した。 すごく単純化した漫画でジョハリの窓の全体像を伝えた。 そして、ジョハリの窓の構造を説明していった。 その後みなさんに取り組んでもらったワークは2つ。

1.グループの仲間の長所を書く。
2.秘密にしていることを書く。

まず、盲点の窓を狭くするために、自分がまわりの人たちからどう見られているかを知るためのワークです。 そのために、全員の名前を表に書き込んでもらい、それぞれの人の良いところを書いてもらいました。 とは言っても、いきなり書いてもらうと心理的ハードルが高いかなとも思ったので、どうにか下げられないかと考えて実施したのが、僕つよぽん自身がみなさんからどう見えているかを質問することにした。

「みなさん、僕の良いところはどんなところだと思いますか?」
僕の講座に数年会参加しているスタッフさんに口火を切ってもらいました。 その後4人が僕のいいところを教えてくれました。 僕はそのどれもが嬉しい言葉だったので素直に喜びました。

この喜んでいる姿を見ることで、自分も人からのほめ言葉のシャワーを浴びたいと思ってもらえたらなと思いながら。 そして、自分がほめ言葉のシャワーを浴びるためにも、他者へのほめ言葉のシャワーを浴びせたいと思ってくれるのではないかと思いました。

この僕の「長所出し」をアイスブレイク的に行った後、みなさんにも書いてもらいました。 その際、なかなか他人の長所を書くのは難しいので、補助ツールとして、長所を表す言葉を50個ほど書いた紙を配布しました。
そこにはたとえば、ユーモアがある、向上心がある、約束を守るなどの言葉を載せました。 それらを見ながらみなさんには7分ほど取り組んでもらいました。
最初の2分は参考の長所の紙は見ずに。
そして、次の5分は長所の一覧表を見ながら。
書き終わったところで、それを発表してもらおうかとも思いましたが、のちのち時間が足りなくなるのも嫌だし、流れ的にワークに集中して取り組んでもらったほうが吉かなと思い、続けて次のワークに取り組んでもらいました。
自分の秘密にしていることを書いてもらいました。 人に話していない自分を自己開示していくための前段階です。

ここで気をつけたいのが、書きたくない秘密は書かなくていい、というアナウンスです。 ここは大事なので何回か強調しました。 なぜなら、コンプレックスやトラウマ体験を書いて、その場のノリや勢いに乗ってみんなの前で話してしまい、あとであんなこと話さなければ良かった、と落ち込むことは意外とよくあります。 それほどまでにワークショップの場というのは非日常的な空間なので、熱にうなされることがあるからです。 僕自身、過去にそういう失敗体験をしているので口を酸っぱくして言うようにしています。

そして、みなさんには3分ほどの時間で表に書き込んでもらいました。 そして、発表できる人から発表してもらいました。 センシティブな内容も含まれるので、慎重に進めました。 3人くらいに発表してもらったところで終わりました。

お酒を飲みすぎて失敗した経験を話してくれました。 こういった失敗談を話すことで周りの人との会話のきっかけが生まれます。 人は長所で尊敬され、短所で愛されるとも言われますので、自分の隠したい短所も勇気を出して開示してみると、まわりから親近感を持たれることがあります。 もちろん必ずとは言えませんが。

そして、最後に右下の窓(未知の窓)の説明をしました。
未知の窓を狭くするためには、新しいことにチャレンジすることが効果的だと話しました。 たとえば、コンビニで新しいスイーツを買ってみることで、紅芋のクリームが好きな新しい自分に気づいたりする。

そこで、具体的に僕が最近4コマ漫画を書き始めたことを伝え、それを通して自分の好きが増え、世界が広がったことを伝えました。 そこまで説明したところで、さっきの他者の長所を書いたワークの内容に戻しました。 そこで、どんな風にそれらの長所を相手に渡すかをみなさんに相談しました。

僕はたいがい進行の仕方をかっちりとは決めずに参加者さんたちと相談しながら進めます。そのほうがライブ感があり、みなさんもやらされてる感が減るかなと思っているからです。

ダメ元で相談してみたら、一人の女性から提案がありました。 彼女からの提案があった瞬間に心の中で小さくガッツポーズをしていました。 こういう提案にはほんとうに感謝しかありません。 

彼女「あのー、たとえば、この書いた紙を自分の椅子の上に置いて、みんながそれぞれに自由に歩き回ってそれらの紙を見て回るというのはどうですか?」

おー!それ、めっちゃいいじゃん! 僕は感動しました。 すごいメソッドは現場の実践のなかで生まれてくるのだなと思いました。

さっそくそのやり方を試してみました。 時間にして5分ほどみんなで歩きながら見合いました。 メモをしてもいいですよ、と説明をしました。 みなさん、他人が書いた自分の長所をメモしていました。 そのメモをする姿には美しいものがありました。 そして、そのあと、席に戻って、みなさんが、他者から見た長所を見てどう感じたかを全員に順番に語ってもらいました。

たとえば、自分のことをネガティブだと自己認識していた方が他の人から見た長所に「明るい」とか「前向き」と書かれているのを見て、そんな風に他者は自分のことを見てくれているんだ、意外だなと思うけど嬉しかったです、などといった感想を漏らす人がいました。

最後に、さっき各自が紙に書いたものをハサミで切ってお互いにプレゼントしますか?とみなさんに相談したところ、「配らなくてこのまま終わっていいのではないか」という意見が出たので、そのようにしました。

参加者さんたちに相談する、という手法は僕が長年のワークショップのファシリテーション経験のなかで学んだ大切なやりかただなと思います。 どんか展開になるかわからないのは恐怖だったりするので、ある程度自信がついたからこそ出来るやり方なのかもしれません。

(2022年9月19日に書いた記事です)
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いつものように、レイアウト・タイトル・画像を決めてからこれ以降は投稿日にひろっちが追記していきます 😊

イラスト:ムツナナツ

今回の記事は、ファシリテータの心の内が垣間見れる実録だね。その立場にならなければ、見えない世界。おなじ分野の人であってもファシリテータをする経験は、できる機会が少ないはず。もちろん参加者やテーマの違いで、ワークショップは毎回新しくなるので、再現性という点でばらつきが大きくなるかもしれない。それでも参考になると思う。
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いつもこの場を訪れていただき、ありがとうございます。参加者としての立場で、もし自分がその場にいたら。という観点で想像してみてほしいです。ぜひ、自分ならどんな風に書くだろうか。と。。。
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