「泊食分離」から
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三点に注目したい。
1.グローバル標準
2.地域一体の開発・運用
3.「地」への影響力
関連代表記事 日本経済新聞 2018/10/4
https://id.nikkei.com/lounge/auth/password/proxy/post_response.seam?cid=2008318
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A 泊食分離。観光庁も推し進めようとしているが、珍しい話題ではなく、グローバル観光にとっては常識的な話である。特に、インバウンドの長期的獲得に向けて、泊食分離式を増加させることが必用になってくる。
B 日本人の旅行感がそのまま生き残ってきたのが、現在の宿泊業周辺なのかと思う。短期泊。欧州のように長期泊が当たり前という感覚がないため、宿で食事がそのまま提供されても何ら問題はない。しかし、長期泊で同一宿に何日も滞在した場合に、同じような料理が毎日でてくるようでは、泊まる側はやっていられない。
A The旅館であれば、どこもかしこも似たような食事を出すから、宿を変えても、宿泊・食事のセット状態と実体はさして変わらない。これは、グローバルな観光旅行客の視点に立てば、魅力減であるといえる。
B 泊食分離は重要であるが、単に、「素泊まり」のようなプランを増加させても、それで済むわけではない。1つは、宿側の経営問題。食事に係る収益が減るために、稼働率を増やしたり、サービス面での単価増を狙う必要があるが、そう易々と行動に移せる宿泊業者は少ない。もう一つが、宿の周辺。
A 宿の周辺に、粋な料理屋が揃っている必用がある。日本人は夜に街に繰り出す習慣が少ないが、「夜の世界」というのは、グローバル観光には重要なポイントになってくる。
B 重要なことは、地域としてのバリュー。良質な宿が複数あり、その周辺には、一級品の料理屋が並んでおり、ハシゴができる状況。スペインはバスクのサン・セバスチャンのように。
A 地域全体としての構想が欠如していると同時に、これを進めようとすると、総論賛成・各論反対でのブレーキがかかることになる。日本の観光地開発は細切れ開発であるが、スキー場にしても何かしらのリゾート的地区にしても、その地域を俯瞰的に捉えて開発できることが重要になってくる。
B 温泉街に、「温泉通行手形」のようなものがある場合がある。一定料金支払っておけば、その温泉街にある複数の温泉に入浴ができるというもの。このような取り組みが重要になってくる。温泉街でなくとも、ある地域でもよい。電車沿線の宿であったり温泉施設、或いは飲食店で利用できる手形を発行するといった形式。
A 戻るが、細切れに開発をした日本は、資産ごとに管理の異なる監督者が存在していたりする。既得権益を守るがために、各論反対で、何も進まないことは想像に容易い。地域一帯を株式会社的に扱うとか、異常といわれるくらいのリーダーシップが必要になってくる。
B このようなドライブするという観点に立つと、地に強い企業はまだまだ活躍フィールドが大きい。例えば、苦しんでいる地銀であっても、嘗ての日本興業銀行のようなデベロップメント能で武装することで、地場企業としての信頼性を利用しながら、大きな構想をドライブしやすくなる。
A 単に泊食分離するだけでは、その効果は大きくなく継続性もうまれにくい。その地域の観光デザインがやはり必要であり、そのための、重要な1つの要素が泊食分離ということ。