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今のコミュニケーションはひどいぞ、トヨタ自動車社長。現状を拒み、既存の権威を打ち壊し、新しい時代に革命 の声をあげるリーダーのための書評2020/3/20「道を照らせ」

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コロナ感染拡大、世界中が困難な今だからこそ、リーダーであるあなたはビジョンを語り、チームに力を貸してくれるよう仲間を巻き込むことが重要です。その方法がコミュニケーション、ストーリーテリング、プレゼンです。著者のナンシー・デュアルテ氏は、アル・ゴアの「地球温暖化」プレゼンに携わったプレゼンの達人であり、コミュニケーションのプロフェッショナルとして多くの企業のコミュニケーション支援しています。

 本書の副題が「変革を導くリーダーが持つべきストーリーテリング法」です。つまり、今回のような危機に際し、リーダーがストーリーを語り、組織を新しい「約束の地」へ導くにはどうすればいいか、をステップごとに示してくれている良書です。 

 さて、ここのところ、自分はトヨタ自動車の「トヨタイムズ」のファンです。優れた経営者である豊田章男社長の言動に注目してYouTubeをみています。しかし、ここ数回何かしらもやもやとする違和感を感じていました。今日はその理由がわかりました。ハッキリ言って、豊田章男社長はこの本を読み、マスターすべきと感じました。なぜなら、彼はリーダーとして、暗闇の中、トーチ(灯火)を掲げ、社員を「成功を約束した地(Promised Land)へと長い旅をして連れて行く立場。
 なのに、2020年年頭挨拶 において、「せっかくWoven Cityの発表して盛り上げたと思ったのに」社員や組合員を「心が通じない」「距離を感じたことはない」と他責的な発言をし、社員へ寄り添うのではなく、社員を巻き込むのでもなく、社員から自分を理解せよ、と社会的立場を利用して迫る、という非常に残念なコミュニケーションを展開しているのです。年頭の挨拶(元は2019年第1回組合との交渉?)これはとても残念な発言です。豊田社長らしくない。

https://www.youtube.com/watch?v=ZSSd45x_oZU&feature=share
 これでは、社員は社長を信頼してフォローすることはできないのも当然ではないでしょうか。

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 トラベラーである従業員たちの立場にもう少し寄り添って考えてみてほしいと感じました。彼らは変革を強いるリーダーに対して、チャンスだ、報酬がある、とプラスで考える一方、犠牲となるもの、失うものがあることを知っています。自分自身が大きな変革を経験したときのことを振り返ってみると、そんな気持ちを思い起こすことができるかもしれません。

 新しいビジョンを掲げ、いざ進もう、という時に限って、リーマンショック、東日本大震災、そして、今回はコロナ感染、とトラブルに見舞われ、社長が悔しい思いを何度も口にされておられる姿を誰もがみています。確かに偶然でしょう。たまたまでしょう。ですが、同じく「またかよ」と感じる従業員も少なくないと思います。


 大きな変革を推進し、成功に導きたいと願うリーダーは、トラベラーの話に耳を傾け、彼らに当事者意識を持たせ、共感に満ちたコミュニケーションを交わし、共に進むよう支援する必要があります。


 社員に寄り添う「オヤジさん」という役割を河合副社長・工場長に負わせる一方で、自分は変革に邁進するスタイルで、という配役自体は間違ってはいないと思います。しかし、日本という民主国家にあるトヨタ自動車で働く本社社員は、皆優秀な人財ばかり。たとえ株主ならびに経営陣はファミリーといえども、もはや中共や朝鮮を思わせる全体主義的なニオイはスマートな社員たちから面従腹背を招いてはいないでしょうか。

確かにWoven Cityは素晴らしいコンセプトですし、このスケール感は、わが国ではトヨタ自動車でしか取り組めない事業規模と推察いたします。ワクワクする反面、自分の仕事を失う不安を感じている職員は少なくないでしょう。なぜなら、自動車製造に使命感を感じて入社し成長してきたからで、トヨタ自身がmobile companyへと姿を変えることにより、ビジョンに同意できず離れる職員がいるのも当然です。

 わが国ではもともとメンバーシップ型の雇用ですが、国内事業が縮小しているわけですから、本社に残るも、転籍するのも・・・という状況。すぐさまジョブ型に、というわけにもいかないでしょう。米国社会も経験されて、ジョブ型の雇用の利点も弊害もわかっているからこそ、その辺りが大きな悩みになられていることも理解できます。そうした困難な変革であるからこそ、リーダーのコミュニケーションが問われるとおもいます。

 優れたリーダーは、コミュニケーターとして、この劇的な変革期において、人々の共感を誘い、他人の目を通して成功への旅を視覚化しています。現在地を正確に把握し、共感に満ちたコミュニケーションを交わし、人々をうまく巻き込んでビジョンに到達しています。


 コロナ感染、パンデミックという想定外の出来事の真っ只中という今こそ、灯火を掲げる者(トーチベアラー)である社長は、心に描いたビジョンに旅の道連れ(トラベラー)である従業員たちを共に到達すべく、先の見えない旅を導いていくことが必要です。道を照らす者こそが、世界を変える。リーダーであるあなたが、どういう未来にしたいか、そのビジョンがないことには、自分も従業員も進むことができない。


 だから、新しくビジョンを描こうではないか。そして、ビジョンを描くだけではなく、その実現に力を貸してくれるよう、周りの人々を巻き込むことが重要です。


 この本には偉大なリーダーたちも導入した説得力あるコミュニケーションツールとアップル、マーケットバスケット、IBM、スターバックスなど豊富な事例が紹介されている。この本から学び、あなたのビジョン実現への旅路に光を照らしステークホルダーから強い支持を受け、スタートできるリーダーへと誰もが歩めれば、より素晴らしい世界が到来すると信じています。

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