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落合陽一特任教授監修「メディアアート」受講生に聞く! #37.5℃展

「この作品にはどんな意図が込められているんだろう」と思いを馳せる多感な人、「なんかすごい!」と直感的に展示を見る人。どちらの人も楽しめる作品を制作しよう。(落合陽一)

この言葉を胸に「37.5℃展」へ向けた制作を続けてきた、朝日浩志(あさひ こうし)さん、ヤン・ダウンさん。朝日さんはデジタルハリウッド大学の3年生。ヤンさんは1年生で、韓国からの留学生です。

2021年の夏、ふたりが受講したのは落合陽一特任教授による集中講義「メディアアート」。この授業を受けるためにデジタルハリウッド大学(DHU)へ入学する学生もいるほどの人気講義です。

2021年で5年目の開講となる「メディアアート」。例年、最初の1週間で講義とメディアアートの企画・制作を行い、次の1〜2週間で展示会を開催するという超ハードスケジュール。今年はCOVID-19感染拡大の影響もあり、集中講義終了後から約2ヶ月のインターバルを経て、成果発表展示会「37.5℃展」(2021年10月18日〜24日)として開催されました。

今回のnoteでは、授業から成果発表展示会に至るまでの様子や、ふたりが落合先生からどんなことを吸収したのかを聞いていきます。

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2年間申し込めずにいた「メディアアート」

——まずは、おふたりがDHUに入学したきっかけを教えてください。

朝日:DHUへ入学したいと思った理由はふたつあって、ひとつはプログラミングを勉強するため。いつか起業をしたいと思っていて、そのためには何かしら自分の武器を身に着けたいと思い、プログラミングを学ぶためにDHUに来ました。

もうひとつの理由としては、落合先生の授業があるから。それがDHUへの進学の決め手になったといっても過言ではありません。

ヤン:私は、デジタルテクノロジーを活用したメディアアートに興味があったからです。韓国ではWebデザイナーとして仕事をしていましたが、デジタルからリアルなものを表現することに興味が湧いてきました。

メディアアートを学ぶためにDHUに入学したので、この講義の履修登録に迷うことはありませんでした。

——おふたりとも以前から落合先生の授業に関心があったんですね。これまでにメディアアートを学んだ経験は?

朝日:今回メディアアートを学ぶのは初めてで、最初は緊張していました。落合先生の授業を受けるためにDHUに来たものの、自分のスキルを考えると、本やテレビでしか知らない落合先生の授業を履修するのは不安で、3年生になるまで申し込めずにいたんです。

そんな中、「メディアアート」の履修申請の締切前に大学事務局の方と話をする機会があって、受講するのが不安だと相談してみたんです。

そこで、「メディアアートに興味があるならみんな通る道だし、頑張って受けてみるのはどうかな?」と背中を押してもらったんです。このまま卒業したら後悔する!と思って、申し込むことにしました。

「デジタル×アナログ」「人工物×植物」

——「メディアアート」の授業は、どのような流れだったのでしょう。

ヤン:おおまかには、講義、構想、制作、品評会、展示会という流れで、初回の講義から作品を形にするまでわずか9日間というスケジュールでした。

朝日:あっという間でしたね。どんな作品を制作するのか決まったら、すぐに次のステップに移らないと間に合わないんです。思い立ったら即行動。僕も含め参加した人はフットワークが軽くなったんじゃないかな。

——とてもタイトなスケジュールだったんですね。実際にどのような作品を制作しましたか?

ヤン:私は『デジタルとアナログ、コンピュータと人間のコミュニケーションについて』という作品を作りました。人間の生活にコンピューターが溶け込んでいるように、デジタルとアナログは切っても切れない関係性。そのことを表現しました。


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▲『デジタルとアナログ、コンピュータと人間のコミュニケーションについて』とヤンさん

人間とコンピューターがコミュニケーションを取っている様子を視覚的に表現するために、デジタルの部分は「0と1」という象徴的な数字を使い、アナログの部分はビンのふたを素材として選びました。

——なぜビンのふたを?

ヤン:すでに役割を果たした、いちばんいらないもので作りたかったんです。新たに商品を買って作品の素材にするのではなく、これから捨ててしまうものに意味を見出したくてビンのふたにしました。

——いらないもので意味をつくる、というのがメディアアートならではですね。朝日さんはいかがですか?

朝日:僕の作品は『サイボーグ化する植物』です。義手や義足が動物にしかつけられていないことに疑問を持って、動物以外に装着してみたらどうなるんだろう、と思い制作した作品ですね。

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▲『サイボーグ化する植物』と朝日さん

ちょうど東京パラリンピックが開催する時期だったので、ハンディキャップのある人について考える機会があり、コンセプトを決めました。

LEDライトを盆栽に巻きつけているのは、光合成、つまり光と植物の密接な関係を表しています。義肢装具が動物の機能面を補う役割があるように、光も植物の働きを補っている。そのことを表現しました。

制作以外の部分で学んだこと

——制作段階でトラブルや困ったことなどはありませんでしたか。

ヤン:「人間」の頭の部分を作るのに想定よりも時間がかかってしまって、日にちを跨いで作業しなければならないこともありました。

感染拡大の影響もあって自宅で制作を進めていたので、先生に見てもらうために大学に運ぼうとする途中で壊れてしまって…。

——それは大変でしたね.....。

朝日:運搬も作品を展示するまでに大切な要素だよ」と落合先生がおっしゃっていたのが印象的です。実際、制作以外の部分でも苦労しているメンバーも多くて。ただ作るだけではなく、制作に付随する部分も含めていろいろ経験できたのはよかったです。

——落合先生からは他にどんなアドバイスがありましたか?

朝日:作品の構想を描いたアイデアシートを先生に提出したときに「金継ぎ」というキーワードをいただきました。「欠けてしまった部分を補う」という金継ぎの特徴が義肢装具と似ているので、それも作品に反映しています。

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▲盆栽にくくりつけられたLEDのテープライト

また、金継ぎは漆を使う日本古来の伝統的な技法です。そこから着想を得て、「和」というつながりから植物部分に盆栽を選びました。

——東京パラリンピックや盆栽など、「日本」にインスピレーションを得た要素が作品に盛り込まれたわけですね。ヤンさんはどうですか?

ヤン:作品の展示位置についてアドバイスをいただきました。最初は「人間」の頭を床に置いていたのですが、「画面との距離を知覚して、ひと目で全体が見えるようにした方がいい」とのコメントを参考に、台の上に配置してみました。

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▲マスクをつけている「人間の頭」は、床に直置きではなく台上に置かれている。

「個」として向き合える

——展示会を終えて、振り返ってみるといかがでしたか。

朝日:終始、自分の中の理想と差し迫る現実のせめぎ合いだったと思います。「実はこんな素材を使いたかったけど、購入してから届くまでの時間を考慮すると間に合わず断念した」といったこともありました。

それでも落合先生やTA(ティーチングアシスタント。過去のメディアアート受講者が務めることが多い)のみなさんにも手伝っていただきながらブラッシュアップし、納得のいく作品が完成しました。参加してよかったと感じています。

「メディアアート」は人気講義なので、大勢の学生の中で揉まれるようなイメージがあるかもしれませんが、落合先生から直接アドバイスをいただける機会も多くて。いち個人として先生と向き合える授業でした。

ヤン:展示会を通じていろいろな方からコメントをいただいたり、先輩たちの展示を見たりして、たくさんの刺激をもらいました。今はインスピレーションを受ける側かもしれませんが、いずれは他の人の創作意欲をかき立てられるような人になりたいと思っています。

1年生のうちからこうした実践的な授業に参加できたこと、展示自体の企画や運営に携われたことは、貴重な体験になりました。

——ありがとうございました!

デジタルハリウッド大学では、あらゆるデジタル領域を融合したカリキュラムと、現役プロの教員陣による授業があなたを待っています。

「カリキュラムについて詳しく知りたい」「どんな授業があるのか気になる」という方は、ぜひオープンキャンパスや大学説明会へご参加ください。

▼OPEN CAMPUS GUIDE 2021
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