訪問歯科衛生士の仕事道具について

皆さんこんにちは。今回は訪問歯科診療で使う道具について紹介したいと思います。

まず、訪問歯科とは何か?ですが、体が不自由なために歯科医院へ通いたいけど通えない方のもとへ歯科医師、歯科衛生士が伺い、ご自宅や入院先で診療することを訪問歯科(診療)と言います。

対象となる方が全身疾患をお持ちだったりすることが多いので、診療に携行する機材も外来診療とは少し違ったものがあったりします。

動画で紹介しているマイポーチの中身について動画では紹介しきれなかった内容含め紹介します。

私が普段診療に携行しているポーチの中には、筆記用具、メモ帳、付箋、訂正印、修正テープ、油性ペンといった筆記用具以外に、メジャー、体温計、パルスオキシメーター、聴診器、といったものが含まれています。

メジャーについて:主に患者さんの下腿周囲長、身長を測定するのに用います。あとは年齢と体重さえ分かれば大まかな基礎代謝量の計算や必要なカロリー摂取量の計算ができます。要は、患者さんの栄養状態の評価と食事指導のために必要な道具です。

体温計:非接触式のものを使っています。訪問診療の患者さんには両手が開かない方もいて、腋窩式の体温計が使えないことがありますので額や耳で測れるタイプのものが適しています。診療前の体調確認にパルスオキシメーター、聴診器とともに用います。

パルスオキシメーター:経皮的動脈血酸素飽和度測定器:ざっくりいうと動脈の血液の中にしっかりと酸素が溶け込んでいるか?どれくらい溶け込んでいるか?を計測するためのものです。心疾患、呼吸器疾患、のある方においてはこの装置を用いてその日の調子が分かりますし、急な体調変化の前兆が分かる事もあります。数値は%表記で一般的には95〜99%が正常とされていますが、心疾患や呼吸器疾患のある方では90%前半が通常の数値という方もいます。パルスオキシメーターは脈拍数、機器によりますが脈の波形を表示してくれるのでこれらの情報も体調の把握には有益な情報となります。弱点として、循環の悪い場合(指先が冷たい場合)に測定ができない事、手も足も硬く握り込まれてしまって、指と指が離れない場合には装置を取り付けられないために使用できないことが挙げられます

聴診器:嚥下音、呼吸音、心音の確認に使用します。嚥下音とは飲食物を飲み込む際の音をいい、嚥下状態の大まかな把握(スクリーニング、アセスメント)において聞き取ることがあります。呼吸音はその名の通り呼吸の音で、イメージとしては内科の先生が聴診器を胸に当てるのと同じことをします。心音についても同様です。訪問歯科診療では特に嚥下音の聴取(と私の場合は呼吸音に)聴診器を使うことが多いかなと思います。個人的には安い聴診器は小さな音を拾わないので、呼吸音の聴診をすることがある場合は最低でも1万円くらいのものを用意することをお勧めしますし、逆に嚥下音だけしか聞かない場合でしたら割り切ってやすいものでもいいと思います。その代わり接触する部分(膜)の大きさが小さい「小児用」または「新生児用」がお勧めです。理由として、円背(腰の曲がった)の方の首元にはわずかな隙間しかなく、一般的な聴診器だとその狭い隙間に聴診器が入らないからです

今回はこんなところで。

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