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平和を実現させるキーワードは「許す心」と「夢見る力」、コロンビア在住12年の日本女性が語ったこと

ganasが主催する「グローバルライター講座」のアクティビティのひとつである「模擬記者会見」を先週、オンラインで開きました。スピーカーを務めたのは、国内避難民を世界で最も多く出している南米コロンビアで12年にわたって平和教育を続ける羽田野香里さん(本業は地元の大学の日本語教師)。日本の昔話や神話をベースに作るオリジナルの演劇がどんなふうに「平和教育」につながるのかを中心に語ってもらいました。

羽田野さんが発した言葉で特に印象に残ったのは「許す心」と「夢見る力」の2つです。

まず、許す心について。

コロンビアでは、政府軍、左派ゲリラ、右派ゲリラ、麻薬組織などが入り交じり、50年以上も内戦が続きました。家族や親せき、友だちなど「愛する人」をだれかに殺された経験をもつコロンビア人は少なくありません。ストレートにいうと、心の奥底に残る憎悪がなかなか消えない。それがコロンビア社会なのです。

被害者の家族は加害者を許せるのでしょうか。口で言うのは簡単ですが、決して容易なことではありません。しかも、殺した相手がだいたいだれなのか見当がつくケースすらあるのです。

「でも許す心がないと、本当の意味で内戦は終わらない」。羽田野さんにこう語ったのは、国内避難民が多く暮らすエリアで平和教育の活動をするコロンビア女性。この女性自身も、内戦中に夫を殺され、国内避難民となった人です。

この女性は羽田野さんにこうお願いしたそうです。「演劇のテーマに『許す心』をとりいれてほしい。それを国内避難民の子どもたちに向けて公演してくれないか」

この意味するところは、愛する人を殺したであろう加害者を見るといまだに動悸が激しくなるけれども、お互いに許すしか、平和に向かう道はない。さもないと殺し合いの連鎖が止まらなくなる。平和は来ない。

次は、夢見る力。

半径数キロといった狭い世界で生きている国内避難民の子どもたち。友だちとの定番の遊びは“戦争ごっこ”。夢を聞いたら「殺された友だちの復讐をしたい」と語る9歳の少年すらいました。

こんな子どもたちはどんな大人になっていくのでしょうか。

外の世界を知らない子どもに「(平和な)夢をもちなさい」と言ったところで、夢の想像すらできないのが現実です。ロールモデルが周りにまったくいないわけですから。

そこで羽田野さんらが取り組んだのは、夢見る力をキーメッセージとする演劇の上演と、折り紙や日本の歌といった異文化を彼らに体験してもらうこと。外の世界に少しでも目を向けてほしい。それが夢見る力(前を見る力)を生む源泉になるし、ひいては平和につながるという考えです。

こうした活動を異国の地で地道に、しかも愛情をもって続ける羽田野さん。羽田野さんは正直、今どきの若者と違って、SNSを使いこなしているわけではありません。発信力も低め。ですが、一見すると地味な活動のなかには間違いなく、深い考えと経験があると感じました。なにより12年にわたってボランティアで“平和演劇”をやり続けていることに感服します。

読者の皆さま、羽田野さんの活動(サンタプロジェクトと呼びます)に関心をもっていただけると嬉しいです。

▽詳細はこちら。
https://www.ganas.or.jp/20200212ryoma/ 

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