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「脚本を読み込む」とは?誰も教えてくれなかった4種類の読み込みかた!

演出家が俳優によく言いますよね。「脚本をよく読み込んできてください」とか「脚本の読み込みが足りない!」とか。・・・でもその「脚本を読み込む」方法って??? 誰にもちゃんと教わったこと無くないですか?
 
なので俳優はとりあえず脚本を何度も読んで、「どのようにこのセリフを言うか」を準備してしまうのですが・・・このセリフの言い回しを決めてしまう準備はハッキリ言ってやるべきではないし、そもそも言い回しは「脚本の読み込み」とは全く関係がありません。「脚本を読み込む」とはそれとは全く別のことなのです。
 
今回はこの誰も教えてくれなかった「脚本の読み込みかた」の でびノート式の具体的な方法について詳しく説明しましょう。 今回、後半が有料記事になりますが、まあ前半だけでもお気軽に読んでいただけると嬉しいです。

役の人物の「動機」を読み込む。

ではまず、脚本のいったい「何を」読み込むのでしょうか。
ストーリー? もちろんストーリーを深く理解することは大切です。
世界設定? 設定を深く理解することも絶対必要ですね。
でも俳優にとって一番深く読み込む必要があるのは・・・人物です。
 
脚本上に書かれているその役の人物の「セリフ」と「行動」。
その役の人物が「なぜこんなことを言い、なぜこんなことをするのか」について徹底的に考えてみましょう。彼ら彼女らのセリフや行動の「動機」や「衝動」を理解することで格段に演じやすくなります。
 
具体的なテクニックを補足すると、「そのセリフや行動がなぜ1分後ではなく1分前でもなく、この瞬間のこのタイミングで行われたのか?」についてよく考えてみると、より明確に「動機」や「衝動」が理解できるかと思います。
 
「役の人物の動機・衝動を理解する」・・・これが俳優にとって必要な「脚本の読み込み」のすべての基本になります。

脚本の読み込み方は4種類ある。

さて次にお待ちかねの「脚本を読み込む具体的なテクニック」についてですが、「どのように人物を把握するかの作法」これがじつは・・・4種類もあるんですよ。
これは時代によって観客のニーズも変わり、それに合わせて映画・ドラマが詳細に描くべきものも変わり、それに合わせて脚本の書き方も進化してきたからなのですが、それらを昔からある技法から21世紀に入ってからできた最新の技法まで、時代順に並べてみると以下のようになります。

1:「感情」で脚本を読み解く。
2:「キャラ」で脚本を読み解く。
3:「目的」で脚本を読み解く。

4つ目の最新の技法は後ほど詳しく紹介することにして(ごめんねw)、まずは最初の3つの技法をひとつづつ紹介してゆきましょう。

技法1:「感情」で脚本を読み解く。

役の人物の感情の流れを追いながら脚本を読み進めてゆく方法です。
このやり方はみなさん一度はやられたことがあるんじゃないでしょうか。
 
よく脚本上にガガガってペンで線を引いて「ここまでが悲しみ、ここからが怒り」みたいに感情の流れを喜怒哀楽で切り分けたりしませんでしたか?あれですw。僕も芝居を始めた頃、先輩がやってるのを真似してやりました。折れ線グラフで感情の変化を書いたりする人もいましたね。
とにかく「その人物の感情がどのように変化している」のかを気にして脚本を読み進めましょう。小さな変化も見逃さないように。
 
この技法では、役の人物のセリフや行動の理由をすべて「感情」からくるものだと解釈します。
 
脚本に書かれたセリフや行動をなぜ言うのか?なぜやるのか?を「悲しいから」「怒ってるから」「嬉しいから」「好きだから」など感情的側面で理解して脚本を読み込んで、役の人物ををどのように演じるべきかを把握するわけです。
 
この「感情で読み込む」という技法を使って演じられた芝居の特徴は、役の人物の感情が全て観客に対して開示されている点です。
感情を演じているので、感情を隠すことができないんです。隠したら演技が無になってしまうので。なので「ウソをつく」とか「平気なふりをする」という芝居をするときに、つい「じつはウソをついてますよー」「平気なふりをしてますがじつは動揺してますよー」みたいな演技でその内幕を明かしてしまいます。見たことありますよね。
20世紀の、多くの作品で使われています。

技法2:「キャラ」で脚本を読み解く。

「この人物はどういうキャラなのか?」という点に着目して、その情報を拾いながら、また想像しながら脚本を読み進めてゆく方法です。
 
脚本に書かれたセリフや行動をなぜ言うのか?なぜやるのか?を「引っ込み思案なキャラだから」とか「ガキ大将タイプのキャラだから」とか「秀才タイプのキャラだから」みたいに、役の人物のセリフや行動の理由をすべて「キャラ(性格)」からくるものだと解釈して、感情の動きすらも「キャラ」で説明して、その役の人物をどう演じるべきかを把握します。

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