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文化と文明の違い

文化と文明は何が違うの?などという質問は、恐らく、日本の小学生しかしないのではないだろうか?
CultureとTechnologyは根本的に意味が違う。カルチャーについてはどっちが語源として古いかは知らないが、明らかにCult(カルト)と同源であろうし、Technologyもこちらは更に明らかにTechnic(テクニック)と同義だ。
ものの本に依ると、文化は精神的なもので文明は物質的なもの、などと書いてあるが、どちらも精神的側面と物質的側面を備えている。

それにしても、日本語だと何故両者共に「文」という文字が付くのか?
「文」という文字の起源について考えてみた。

ぶん【文】〘名〙 
❶ 思ったことや感じたことを文字で書き表わしたもの。文章。
「━を書く」 「紀行━・抗議━」 「━才・━書」 「作━・詩━・序━・名━」
❷ 文法で、思想・感情などをことばで表現する際の、一区切りのまとまった内容をもつ最小の単位。一語または複数の語から構成される。センテンス。文字で表すときは、ふつう句点でその終わりを示す。
「━節」 「単━・複━」 ◇日常語では文章ともいう。
❸ 学問。学芸。
「━を修める」 「━武両道」 「━官・━教・━人」

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あや
【文・綾】
1.物の表面に現れたいろいろの形・色彩。模様。特に、線が斜めに交わった模様。
2.めもあやに.
ふみ
【文・書】
1.書き記した物。
2.文事。学問。
ぶん
〖文〗 ブン・モン・ふみ あや
1.もじ。書体。
2.書いた言葉。文章。文芸作品。

Oxford Languagesの定義
「汉字密码」(P852、唐漢著,学林出版社)

字統の解釈
「文」は象形文字です。甲骨文の学の字は文身(入墨)の形。 卜文・金文の字形は 人の正面形の胸部に文様を加えた形 聖化のために朱などで加える文身をいう。
 《説文》に 錯われる画なり。 交文に象る。 その全体を交錯する線と解するが 字の全体は、人の正面型であり大にくらべて胸郭の部分を広くしている。 金文の字形はそこにX印や心字形の文様を加える。
金文の文に文様として心字形が加えられているため後の伝承者が誤ってその「文」を「寧」と解釈し、ついに語義不明の「全寧人」「寧王」となったもので、元の「文」の字である。
文は祭事に文祖・文考・文母のようなように先人に冠していう語で、文は 死者のいわば聖記号である。 死葬の時朱を以て胸にその絵身を加えて死体を聖化し祭る時は文を冠してよんだ。
唐漢氏の解釈
漢字「文」は会意文字とする。氏の解釈は、「文」は母畜の発情期を表す漢字で、これを知ることが古代では、家畜の繁殖を促進するうえで、非常に重要なことであったと主張する。
その重要性は認めるが、氏の見解は少し荒唐無稽に思えて仕方がない。興味のある方は、原典を参照されたい。
結び
我々にとって、今やDNAにもなっているのではないかと感じさせる、「文」と「字」の由来と成り立ちを見たが、全く思わぬ由来を持っていたことに驚かされる。これだから「漢字の由来と成り立ち」を探求する旅は止められない。

漢字の起源と成り立ち 「甲骨文字の秘密」https://asia-allinone.blogspot.com/

どうやら、これら「文」という漢字は、文明よりも文化の方に傾倒しているように思う。
ふと、我々日本には、「文明開化」という特殊な歴史的イノベーションが存在していた事に気づいた。
「文明開化」は、西洋の言葉を取り入れたという意味で、ある種のルネッサンスだったのだ。

ぶんめい‐かいか【文明開化】‥クワ
人知が開け、世の中が進歩すること。特に明治初年の近代化や欧化主義の風潮を言った。新聞雑誌2(明治4年)「じゃんぎり頭をたたいてみれば―の音がする」
⇒ぶん‐めい【文明】

広辞苑 ページ 17606 での【文明開化】

「精神文化」という言葉や「物質文明」という言葉はあるが、「精神文明」とか「物質文化」という言葉はない。
しかしながら、我々はスマートフォンやタブレットという文明の利器を駆使しながらも、同時に文化を支えているのである。そしてこのガジェットを手にする事で、生命活動をし、暮らしと社会を構築しているのである。これこそ正に「精神文明」であり「物質文化」なのである。

これが日本における、「文化」と「文明」の差異が不明瞭な理由だ。


2023.4.8

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