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Makuakeに商品を出してみた(デザインする行動経済学カードツール)

クラウドファンディングのMakuakeに、行動経済学のカードツールの商品テストを、本日(9/12 12時頃予定)プロジェクト公開します。

今回のプロジェクトの経緯を文章にまとめました。「個人でも、自分のデザインを世の中に出せるよ」ということを知ってもらいたいと思い、公開までの過程をnoteにご紹介します。

1.自分で販売する方法を考えてみる

2021年の9月に本を出しましたが、これはnoteさんと出版社の翔泳社さんの多大なるご協力があってこその結果。自分がお金を出すことはなく、ビジネスマッチング・編集・印刷・営業・書店販売・拡散までやっていただきました。改めて考えてみると、これってすごいことです。

ですが、今回はモノを売りたいので、製造や仕入れから販売まで、基本は自分の資本で行うことになります。販売方法は3つの案を考えました。

  1. ゲームマーケット(東京ビッグサイト)など展示会での出店

  2. Shopifyなど個人でできるEC でのネット販売

  3. Makuakeなどクラウドファンディングを通じた販売

1はゲームが主な場なので、今回のモノだと通りすがりで興味を持つ人はほぼいないと考えて断念。ただ、いつか別の企画でカードゲームをつくって出店してみたいと思います。2は商売的にはよいけど、大量生産をではなく便利でお買い得な商品でもないので、これも合わなさそう。というわけで3でいくことにしました。

今回出すカードツールのサンプル

2. 問い合わせする

自分の企画は規模が小さいので、この企画を取り扱ってもらえるか分かりませんでした。なのでまず、こちらのサイトを読んで、申し込みフォームから問い合わせしました。

担当者の方からメールがあり、オンラインでお話ししました。はじめてでも親切に教えてくれます。掲載するためには書類の提出が必要です。

  • 住民票

  • 印鑑登録証

  • 申込書と同意書(Makuakeの書式)

日頃使うサービスで住民票の提出はレアですが、今回の活動は事業主にあたるので、身が引き締まる思いです。頑張るぞ、という気になります。

アカウントをつくり、プロフィール情報記入や書類提出を行い、プロジェクトページを立ち上げると、ここからスタートになります。

3.リターンするものを具体的にする

クラウドファンディングにはいくつかのタイプがありますが、僕の場合は応援購入という形式です。企画に対して先に応援者からお金を集めて、目標金額を達成したら、製造を行い応援者にリターンに相当する商品を送付します。応援形式はAll or NothingとAll inの2つがあります。

リターンは必ずしも商品とは限りません。有名な事例では、アニメ映画の「この世界の片隅に」です。応援により製作委員会メンバー会員となり、進行情報の共有やクレジットでの掲載などがリターンに相当します。

4. 商品の用意をはじめる

僕の場合はモノなので、製造販売者として、納期に間に合わせてちゃんと品質が損なわない商品を用意しなければいけません。これを証明するための書類や情報も提出します。(家電や食品だと詳細な証明が必要になります)

  • サンプル:構想だけでなく具体性を詰められているか

  • 見積書:量産の目処が立っているか

この段階で、今年のはじめに試作品を一度つくりましたが、ここから量産に適した仕様や使い方を検討します。

家庭用プリンターでつくった試作品

5.デザインして量産する

友達のつながりから、カードゲームの企画・製造を行なっているホッパーエンターテイメントさんをご紹介いただきました。丁寧に量産印刷の仕様やお見積もりをご相談させていただきました。大変感謝です。

このカードの仕様の問題は、イラストが細かいので一般的なトランプサイズだと絵や文字が見にくいことと、計81種類もあるため、変形サイズをたくさんつくることになり、どうしても単価が高くなってしまいます。

サイズ・種類・色数・部数でコストは大きく変わる

そこで、なんとか収まるギリギリのサイズに変更して、印刷色も思い切って1色に割り切りました。色がなくてもチープに見えないか、カードの種類の見分けがつきにくくならないかは、デザイナーの腕の見せどころ。

2種類の表裏で計4パターンを濃淡で区別

プロジェクトを掲載するときは、写真も載せる必要があります。できあがるまではこんな感じで撮影イメージを仮に置いていました。

写真を撮るときにも迷わずにできるのでオススメ

今回は予算を詰めたため、サンプルをつくる過程を省略して先に100セットを発注です。経理的にはここで印刷費と在庫が計上されることになり、事業者の投資責任を体験できます。

6.プロジェクトに掲載する

Makuakeで掲載するには、次のような項目を書く必要があります。

1.商品イメージ画像や説明動画
2.目標金額
3.掲載期間(最初の数日間が勝負なので長くても良いわけではない)
4.ストーリー(要点を3つにまとめた文章)
5.プロジェクト概要と詳細
6.使い方や仕様(ちゃんと商品であることを伝えないとダメ)
7.スケジュール(目標達成したあとのながれ)
8.リターン内容(モノ・それ以外の特典など)
9.プロフィールや経歴など

Makuake 申し込みページより一部を抜粋

記入項目は多いですが、時間をかけて考えるのは4-6です。僕の場合は、まず1週間で書く+見直しで一次提出しました。その後で担当者さんに見ていただき、不明点や直した方がよいところを、メールとオンラインミーティングで教えていただき、2週間ほど時間をとって修正しました。

担当者さんのアドバイスで、内容がぐっとよくなりました。「今回のカードは収益が目的ではないから、本を書いた背景や、企画や制作の意図を知ってもらうことで、本を読んでいない人にも興味をもってもらうことが効果的ではないか。なので、プロジェクト概要はnoteのような読み物のように書いてみましょう。」というアドバイスです。

「本→カード」のストーリーでプロジェクト経緯を説明

テーマによって文章表現は変わります。はじめは商品の説明的なやや堅い文体でしたが、ブログのような内容に変えたことで、「応援」の目的に近づいたプロジェクトなってきたと思います。

7.商品を検品する

文章を直している間にモノが届いたので、チェックします。印刷ミスがないか、自分のデータに間違いがないか、売り物なので自分で確認します。

プロジェクトページの写真も差し替えします。

箱も一色印刷でスッキリと
商品なのでミスがないか入念にチェック
CGだと表現が難しい利用シーンの写真で「現物」を伝える

8. 公開する

最後に審査を経て、無事に公開できました。バンザイ。

問い合わせをしてから公開まで、僕の場合は1人でやって3ヶ月くらいかかりました。間にカードのデザイン制作と量産発注をしながら、書類提出やプロジェクト掲載文を進めたカタチです。

all or nothing形式なので、目標金額に届かなければ在庫をかかえたまま終了ですが、逆に目標を大きく超える応援があった場合は追加生産をする必要があります。結果どうなることやらですが、楽しみです。

9.やってみて思ったこと

「自分でつくってみる」が今年のテーマですが、つくるだけでなく売ってみるまでをやることで、新しい経験を習得できました。

最近、会社のデザイナー仲間から「デザイナーって責任とらないよね」という話が出ました。確かに会社でデザインの仕事をしていると、売れなくても責任は営業側になるし、品質に問題がでると責任は設計開発側になりがちです。(もちろん、他部門からデザイン部門にクレームがくることは多々ですが、直接ではない)

今回、小さい規模であっても、量産のための支出と在庫を抱え、価格設定や興味をもってもらうためのプロモーション、お客さまに対するリターンや品質保証などを、自分で行いました。この経験を通して、自分の企画やデザインに対する責任意識をこれまでよりも強く自覚できた気がします。

小さなプロジェクトにも関わらず、丁寧にご対応=応援いただいたMakuakeさんに感謝です。このnoteを読んで興味をもってくれる人が増えることが、僕からのリターンになれればと思います。


デザインとビジネスをつなぐストラテジーをお絵描きしながら楽しく勉強していきたいと思っています。興味もっていただいてとても嬉しく思っています。