「ビジネスデザインのための行動経済学ノート」をカードにしてみた
2022年は「つくるデザイン」をテーマにしてみようと思います。
この数年はむさぼるように本を読んで、「面白い」と思ったものをnoteに紹介して、昨年はうれしいことに本を出すこともできました。ですが、最近はなぜか読書に身が入らなくなってしまい、今年はここに書くこともどうしたものかと悩んでいました。
そこで、インプットに刺激がないなら、アウトプットに意識を向けてみようかと思いました。デザイナーなので何かつくろう、と。(今回は少し長めですが画像が中心なので、サッと流し読みできます)
本であることの壁
昨年に出版した本ですが、若干の心残りというか、自分の中で出し切れていないことがありました。
それはバイアスの仕組みや活用方法は紹介していますが、それらとナッジとのつながりが本の構成上、対にして示すことができていないことです。
本を出した後に早見表のような内容で、対応リストをnoteの記事にしましたが、それでも文章で書く以上はわかりにくくなっていることは否めません。
そこで、本やブログなどの文章のプラットフォームではなく、コンテンツ単位で切り出せる「カード」にしようと思いました。
カードの構成を考える
この本でカード化できる素材は、バイアス・ナッジ・デザイン展開の3点です。そのうちナッジの理論はデザインでの展開を考えるうえでの基盤となる知識なので、そこは本を読んでもらうことでカバーできると考え、次の2つに絞ってみました。
バイアス(39種× 活用方法が平均3つ) = 120個くらい
デザイン展開(7カテゴリ × デザインの方法が平均6つ) = 42個
この結果、とてもシンプルな方程式ができました。
そして次に、バイアスとナッジの対応付けを整理します。バイアスから見たときの対応付けは、例えばこのようになります。
反対にナッジ(デザイン)から見るとこうなります。
こんな感じでそれぞれがリンクしています。本の中ではすべて番号をふっていたので、数字を3桁で表示すれば、各コンテンツがすべてユニークナンバーに対応付けできました。
次にカードのデザインに取り組んでみます。
カードをデザインする
幸いなことに素材の著作権は自分にあるので、イラストを活用して構成できます。トランプのサイズをもとに考えてみます。(多くのカードゲームはこの規格を守ってつくられています)
一般的なカードゲームと比べると、情報量が多いのでなるべくシンプルに削って、白と黒の対比で違いが分かるようにしてみました。
が、出力してみるとイラストの文字が思ったよりも小さく読めないので、片手でなんとか持てて、A4サイズで節約して印刷できる幅71mmにまで拡げてみることに変更します。
カードゲームのように使われることも考えていたので、手にもったときの視認性も大事にしました。はじめはビジュアルの納まりを意識して、対応付けの番号は下に配置していましたが、これだと視点が分散して分かりにくい印象を受けたので変更しました。
カードを出力する
試しながらつくったので、今回はすべて家庭用プリンタでやってます。厚紙で両面出力すれば、カードとして使えます。
そして知る人ぞ知る「角丸パンチ」を使えば、一気にそれっぽくなります。
並べると、がんばった感が出ます。
裏面は共通で、上下イラストをひっくり返しています。
せっかくだから箱もつくる
出力したはいいけど保管する入れ物がないので、箱もつくりました。本を見ながら使ってもらいたいので、本と同じサイズにしました。
これも今回は手づくりです。正月だったこともあって、あまり外に出たくなかったので家にある段ボールや型紙などでつくってみました。
ちゃんとするなら、表紙をつくったり、開いた面に使い方の説明書などを記載すべきですが、今回はそこまでの気力はなく、真っ白のままで一度完了。
で、どうやって使うの?
つくったことで満足しそうになったけど、大事なことはこれをどう使うかです。ところがびっくり、そこまでは考えていませんでした。できてから使い方が見つかればよいかというくらいの軽い動機でした。
プロトタイプをつくっている途中で、ゲームの方法などをいくつかは考えていました。でも試した結果、ゲームにするには少し真面目すぎるコンテンツなので、遊びの要素は今回なしでよしと決めました。
どちらかというとデザインの実務で使う方が有効かと思うので、同僚に協力してもらって、仕事のときなどに使い方をテストしていきながら、有効な方法を見出していくつもりです。例えばこんな用途。
アイデア発想のためのヒント
物事を観察するときの思考トレーニング
課題に対する解決策の検討
今回は手づくりなので1セットだけしかありませんが、欲しい・試してみたいという需要がそこそこあれば、少数生産してみる(自費の範囲で)かもしれないので、希望する人いましたら、メッセージください。
あと今回はカードにしてみたけど、もしかしたらスマホアプリなどのデジタルツールにした方が便利かもしれません。一人でできるスキルはまだないのですが、気持ちの余裕があればチャレンジしてみるかも知れません。
最後に
今年はこんな感じで、つくることを意識してみます。読書よりは更新頻度が落ちるので、月に1回くらい何かアップできるくらいのつもりで、続けてみようかなと思います。
このマガジンはdesign strategy study roomという名前なので、文字通りデザインの勉強の場であり+実験室の場にできればと思います。
本が気になった方はこちらからどうぞ。
デザインとビジネスをつなぐストラテジーをお絵描きしながら楽しく勉強していきたいと思っています。興味もっていただいてとても嬉しく思っています。