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初心者にも「対話の場」の作り方がわかる。書籍「ワークショップ・デザイン-知をつむぐ対話の場づくり-」のご紹介

こんにちは、Synergy Marketingコーポレートクリエイティブチームの板野です。今回は、最近読んだ「ワークショップ・デザイン」のご紹介をいたします!

※この記事は本の要約ではなく、自己学習の記録です。本の内容のネタバレはしていません。


この本の内容について

ワークショップを企画・設計する総合的なスキルをインプットできる書籍です。内容は大きく3つあります。

  1. ワークショップを設計する基本的な手順とポイント

  2. ワークショップをつくるための部品(いわゆるネタ)の紹介

  3. 実践ですぐに役立つワークショップの具体的なプログラムの事例

上記の内容を体系的に知ることができました。

この本がおすすめの方

  • 仕事や趣味におけるあらゆる対話の場所を作る方

  • ファシリテーション(コミュニケーションの場づくりと進行)について知りたい方

この本を手に取った背景

最近、社内でワークショップを企画・実行する機会がありました。様々な部署間のメンバーでの交流活性化を促進し、同時に社内に隠れた課題を明らかにしようという意図のもとでした。

私は、企画・実行とサブファシリテーターを担当することになりました。
まず「どんな方法を使えばいいのだろう?ブレインストーミング?マインドマップ…?」と、最近『UX検定』を受けて得た知識を引っ張り出して考えました。
しかし、それはあくまでもワークショップの発散方法。方法よりも前に、企画のコンセプト自体を練る必要があることに気づきました。
ですが私はグラフィックやWEBを勉強してきたデザイナーで、一般的な「ワークショップ」をする上で、何を準備すればいいか解像度が低い状態。

どうすれば企画を作れるのか?良い進行ができるのか?
そもそも良いワークショップとは、良いファシリテーションとは何だろう?

そういったことを知るために、藁をも掴む思いで本書を手に取りました。

このように、読む前は全くの初心者状態でしたが、この書籍を読んだ後は「ワークショップの体験設計をする上で具体的に必要なこと」に対して解像度を深めることができました。

この本で印象的だったポイント

参加者の現状を把握することの重要性

参加者の現状を表す「人」と「状況」の要素についての解説が興味深かったです。
人:どんな人たちがワークショップに参加するのか?属性、問題認識、関係性、参加意識といった情報がプログラムにどんな影響を及ぼすか。
状況:このワークが必要とされた経緯とは?テーマを取り巻く環境や制約が影響することとは何か?
ワークショップとは、複数の人間が対話を発展させていく場であり、異なる属性の化学反応が起こるため、事前にこういった現状を把握することがいかに重要かを知ることができました。

テーマ(問い)の組み立て方

参加者に自らの体験を語ってもらうためのファシリテーションの原則を知ることができました。
具体的な問いから抽象的な問いへと進行し、一般論や正論から離れた、自分の言葉を話してもらうためのメソッドがとても勉強になりました。
ワークショップ以外の様々なコミュニケーションの場で実践できそうです。

基本要件の定め方

ワークショップを開催するための3つの基本要件(When,Who,Where)を固める上で考慮すべき点が書かれています。
印象的だったのは場所の要件、ワークショップを行う環境について配慮すべきことについて。
部屋の広さ、雰囲気、レイアウト(机の組み方)、会場の利便性などの要素が参加者の心理に及ぼす影響について、たくさんの知見を得ることができました。
この点は、普段あまり空間デザインを行うことのない私にとって新鮮な学びになりました。

実際のプログラムの事例20点

代表的なワークショップのプログラムを取り上げて、それがどういった意図で設計されているのかが紐解かれています。
プログラムシート(企画書)の形式で紹介されていて、セッションの区切りごとに意図が解説されているので、ワークショップデザイナーの頭の中を覗き見するような感覚で読み進めることができました。
プログラムシートに書かれた、プログラムの細部への配慮が素晴らしかったです。

プログラム作り込みの過程(ダメ出しとブラッシュアップ)が明らかに

書籍の後半では、ワークショップを実際にデザインし、それを改良していく過程を丹念に辿られた章があります。
この章は後輩が作った企画書に先輩がフィードバックしていくという形で進行していきます。辛辣だけど的を射ている先輩の指摘に納得の連続。
企画書に重ねられた悲喜こもごもを追っていくことで、ワークショップをデザインする上での難所をあらかじめ知ることができました。
「失敗の疑似体験」を読書でできることは大いなる学びです。

この本を読み、実践してみて

さて、この本を読んで実際にワークショップを行いました。
この本を参考にプログラムシートを作り、ワークショップの狙い(意図)は達成されましたが、自分のファシリテーターとしての振る舞いについてはまだまだだなと反省いたしました…。

ファシリテーターは中立であり、自分の考えを押し付けることは避けるべきです。しかし、私は普段から無意識に共感を得るためのコミュニケーションをとっていたため、ワークショップ中に参加者に「私はこう思うんですが、○○さんもそう思いませんか?」といった、主観的な意見を押し付けてしまったことがありました。この問いかけは、参加者の本意を引き出すことにつながらなかったな、と振り返りの際に反省しました。

ワークショップデザインとファシリテーションは奥深く、経験を積むことでしか得られない知識がたくさんあると思います。知見を深めるためにも、さらに様々なワークショップに参加してみたいと考えています。

今はまだスタートに立ったばかりですが、これからもっと追求していきたいなとこの本の学習と実践を通して考えています。

もし「ワークショップを始めたいけど何から始めればいいかわからない」「もっと面白いワークショップを実践したい」とお考えの方がいらっしゃいましたら、この本はとてもオススメです!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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