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有識者は円安についてなぜ本当のことを言わないのか?

円安が進んでいます。それもすごい勢いで。

YouTubeやテレビで,有識者あるいはコメンテーターと呼ばれる人たちに解説が求められます。彼らはだいたい,以下のような説明をします。

中央銀行が利上げをすると,そこからお金を借りて業務を行ってる普通の銀行も利率を上げます。そうすると,現金を手元に持っているより,定期預金などで銀行に預けておいた方が利息がついて得なので,多くの人が現金を銀行に預金します。その結果,市中の現金が減ると,現金の価値が上がるので,その国の通貨の価値が上がります。

逆に,中央銀行を利下げをすると,そこからお金を借りて業務を行ってる普通の銀行も利率を下げます。そうすると,現金を銀行に預けておいても大した利息がつかないので,手元に置いておくか,価値が上がる可能性が高い不動産や金などを購入します。不動産や金を買った代金は,現金として市中にあるか,銀行にあったとしても利息目的の定期預金などではないため,現金として持っているのと同じことです。こうして,市中の現金が増えると,現金の価値が下がるので,その国の通貨の価値が下がります。

日本の場合,中央銀行である日銀は量的緩和を継続し,政策金利を低いままに抑えてるから,日本円の現金の価値は低くなる。一方,アメリカの場合,FRB(中央銀行に相当)は,政策金利を大胆に上げたから,アメリカドルの価値が上がる。この結果,円安ドル高になる。

確かに,正しい説明です。私も,本業が経済という訳ではありませんので,この説明をきくと,理解するのに脳みそフル回転。最後まで理解できた場合には,やったー!って気持ちになって,何となく納得している。

でも実は,ここから先が重要なのですが,有識者は決して言わない。

重要なのは,なぜ,日銀は政策金利を低く,アメリカのFRBは高く設定するのかというポイントです。もし,設定だけが問題なのであれば,日銀もさっさと政策金利を高くして円安の進行を止めればよい。でも,それができないことこそが問題なのです。

20年以上継続する景気の低迷で,日銀は,なんとか既存の会社にもお金を借りてもらって事業拡大や新規事業をやってほしい,スタートアップにもお金を借りてもらって新規事業をやってほしい。そして,事業拡大や新規事業で景気が改善すれば,政策金利を上げることが可能になりますが,景気低迷が続く限り,政策金利を上げることができない。

じゃ,誰が悪いのか。簡単に言うと日本で働く人たち全体が悪い。新規事業をやろうというマインドもないし,OECD加盟38カ国中28位の一人当たりの労働生産性(先進国中最下位)
https://www.jpc-net.jp/research/detail/005625.html
なので,作業効率が悪く,事業拡大しても勝ち目はない。これは,私の偏った見方かも知れませんが,自分たちがうまくいかないと,うまくやる人たちに腹がたって出る杭を打ってしまう。つまりスタートアップも育たない。

要は,私たちが悪いのです(もちろん,例外はたくさんいらっしゃいますが)。毎日,通勤電車に揺られて,決められた時間会社にいれば給料がもらえるのではなく,どんな新規事業ができるが四六時中考えをめぐらせ,DXをはじめとした新しい技術を積極的に取り入れて効率化を図る。そして,自分たちがうまくいかなくても,いずれ私たちも後に続くよと,成功した人たちを賞賛する。これができれば,景気が上向き,日銀も利上げが可能になります。

でも,YouTubeやテレビの番組に出て,国民たち,あなたたちが悪い! とは言えない。この本当のことを言ってしまったら,もう番組には呼んでもらえないだろうから。この国がよくなることを願って,本当のことを言ってみました。

続編もどうぞ。

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