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「面白き事もなき世を面白く」の正解。

あまりにも有名な、高杉晋作の辞世の句である。

おもしろき こともなき世をおもしろく 住みなすものは 心なりけり

高杉晋作

意味としては、「面白いと思えることのない世の中を面白くするのは自分の心もち次第だ」と言ったところか。

しかし、高杉晋作自身もこの句は上の「面白き事もなき世を面白く」の部分しか詠んでおらず、下句の続きはあとから足されたものなので、真意は謎のままである。

どちらにしろ、この句から僕たちが学べるのは「いずれこの世は面白くなくなる」ということだろう。

人間が一番おもしろみを感じるのは「知識欲」と言われているように、僕たちは新しい発見をするたびに「面白い!」という経験をする。しかし、成長するにしたがって様々な経験をし、知識を広げて深めていくたびに、「ですよね」 という冷めた見解しか出てこなくなる。
そして、この世の理を悟っていくたびに新しい発見に出会わなくなり、「面白い」という熱は冷めていく。

きっと、子供と大人の境界線と言われる部分はここで、新しい発見がだんだんとなくなるにつれて人は落ち着いていく、というところにあるのだろう。
大人になればなるほど、人生はおもしろくなくなっていく。

それは周りの人を見ていても感じるし、歴史をさかのぼってもわかることなのだが、高杉晋作の遺した句の真髄はまさにここにあるのではないか。人生は、面白くなくなってからが勝負なのだ。

自分の心持ちももちろん大事なのだが、高杉晋作が遺した「面白き事もなき世を面白く」の続きは、僕たち自身で探すために、あえて下の句を読まなかったのかもしれない。

人生のあらゆることは、必ず飽きて、熱が冷める。歳を重ねるたびにこの世は面白くなくなっていく。
さあ、君は、この面白くなくなった世界をどう面白くする?

高杉晋作にこう問われた時、下の句でどう答えるかで、人の人生は再び熱を取り戻すのかもしれない。

おもしろき こともなき世をおもしろく 白ブリーフで 子供にかえる

僕たちの、飽くなき探求は終わらない。

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