大学生が本屋大賞の個人的なランキングを語っておススメするだけの話。
どうもこんにちは、つい最近大学の成績が開示されて、なんとか事なきを得たでらです。
今回は先日発表された本屋大賞2022ノミネート作品をすべて読了した私が、
①ランキング付け
②面白かったところ
③どんな人におススメか
の三つを紹介していこうと思います。ランキングは昇順、上から1位~10位の順番で紹介していくので、上から見ていただいてもいいし、気になった本だけでも見ていただけるとありがたいです。なお、このランキングはあくまで個人的なものであるので、あしからず。
1位『正欲』朝井リョウ
これは正直、圧巻の一言でした。おそらく前回も何かの記事で書いたのですが、昨今よく耳にする「多様性」というものをテーマに、偽善や正当性に深く切り込んでいく作品です。
なんでも受け入れるのが多様性なのか。女児を愛する男も、社会に何も貢献できずに生きていく人も、他人を罵り暴力をふるう亭主関白も、すべて受け入れるのが多様性なのだろうか。
今作がノミネート作品に選ばれてからもう一度読み直しました。読み終えてから改めて、本屋大賞2022はこの作品が1位かなあという気がしますね。明確な根拠はないけれど、この作品から伝わってくるものがとても強く、他の追随を許さない感じがします。
こんな人におススメ!!
・自分、または他人に対する考え方、視野を広げたい人
・「多様性」への理解を深めたい人
2位 『星を掬う』 町田その子
本屋大賞2021では『52ヘルツのクジラたち』で見事1位を獲得した町田さんが今年もノミネートされました。個人的に1位と2位はほとんど同率だと思っていて、この作品もとても素晴らしいものとなっています。
「家族愛」がテーマではあるのですが、全体的に重い雰囲気をまとっているため、かなり読むのには根気がいる作品です。しかし、これを読み終わったときにあなたの中には少なからずなにかが生まれているはずです。その「なにか」を大切にしてほしい作品です。
こんな人におススメ!!
・初めの一歩が踏み出せない人
・感動を味わいたい人
3位 『国牢城』 米澤穂信
上二つとは大きく変わって時は戦国時代。信長を裏切った荒木村重という武将と、彼に幽閉される黒田官兵衛の二人を元に描かれる、戦国ミステリーです。私自身が戦国ものを読んでこなかったのもあってか、この本を知ったのはこの本屋大賞でした。
400ページ超の大作ですが、そこは安心の米澤さん。濃密なミステリーと繊細な描写で、気付いたら物語の世界観に没頭していました。戦国ものはちょっとな…と敬遠されている方も、これを機に読んでみてはいかがでしょうか。
ちなみに余談ですが、私は武将の名前がとても頭では覚えられなかったので、メモしながら読んでいました(笑)
これから読むという方は、是非メモの準備を。
こんな人におススメ!!
・戦国×ミステリーに興味のある方
・重厚なストーリーを楽しみたい方
4位 『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂冬馬
選考委員が満点をつけ、第11回アガサ・クリスティー賞を受賞した渾身の一作。舞台は第二次世界大戦下の独ソ。自分の母親を殺され村を焼かれ、憎悪を抱くセラフィマという少女が訓練生を経て戦争の地へと向かう歴史小説です。
ほんの少し前までただの女の子だった彼女が戦争を通して豹変していく様は、これが同一人物なのかと疑うほどです。戦争のリアルな描写やプロパガンダの恐怖、戦争の意義。終戦から長い時が経ち、戦争の恐ろしさを伝えてくれる人がほとんどいなくなった現代の日本において、この作品は読んでおかなくてはならない作品だと思います。
こんな人におススメ!!
・戦争物語が好きな人
・長編作品を楽しみたい方
5位 『六人の嘘つきな大学生』 浅倉秋成
私は最初にこのポップを見た時、なんて攻めた宣伝文句なんだろう!!と思いました。
物語は就活についてなのですが、その際に6人の人間性がどんどん明らかになっていきます。朝井リョウさんの著書に『何者』という就活生を題材にした小説があるのですが、それに似た雰囲気を感じました。彼の作品が好きな方にもおススメ出来る作品です。
加えて、かなり読みやすい作品だなと個人的には感じたので、長すぎる文章はちょっとな…とか、あまり本に触れたことがない方にも読みやすい本なのではないでしょうか。
こんな人におススメ!!
・大学生、10代~20代の人
・普段あまり読書をしない人
6位 『赤と青とエスキース』 青山美智子
私の敬愛する青山先生が今年もノミネートされたということで、大変喜んでいます。エスキースというのは下書きのようなもので、彼女の作品では初の「アート」が題材となっている作品です。
1つのエスキースを元に、境遇も時間も異なる様々な人たちの人生が、青山先生の柔らかな文章で紡がれていきます。
読んだ後には必ず心が温かくなる作品だと思うので、気になった方は是非読んでみてほしいです。
こんな人におススメ!!
・優しく、温かい物語が好きな人
・色が好きな人
7位 『硝子の塔の殺人』 知念実希人
続く個人的7位はこの作品。「ミステリーを愛するすべての人に」のキャッチコピーの名の通り、ミステリーへの造詣が深い知念さんならではのミステリー作品となっています。
今年はミステリー作品が多めに感じますが、その中でも圧倒的王道ミステリーの今作。ミステリーが好きな方もそうでない方も、この謎を解いてみてはいかがでしょうか。
こんな人におススメ!!
・本格派ミステリーを楽しみたい人
・医療×ミステリーを読んでみたい人
8位 『夜が明ける』 西加奈子
飢餓、貧困、経済問題、国際関係、いじめ。現代における社会問題というのは数えたらキリがないですが、これらをやれ問題だ!と言っている方々はある程度豊かであることが前提なのかもしれません。と私はこの作品を読んで感じました。
本当に助けを求めている人って中々言い出せないのが今の日本の状況なのではないでしょうか。この物語をよんで私は声を出すことの大事さ、その声に気づいてあげられる余裕を持つことの重要性について考えさせられたと思っています。
こんな人におススメ!!
・社会問題のリアルを知りたい人
・声を上げることの大事さを知りたい人
9位 『残月記』 小田雅久仁
幻想的だけど、どこか奇妙さも感じる物語です。表題含め3編から成る物語なのですが、どれも不思議と心惹かれるシーンがあって、飽きずに楽しめます。
こればかりは本当に読んでからのお楽しみ!としかいうことが出来ないのですが、個人的には一つ目の「そして月がふりかえる」というお話が好きです。この作品を読んだ後に考えたことは、夏目漱石が詠んだと言われる、「月が綺麗ですね」という言葉でした。
こんな人におススメ!!
・不思議な物語が好きな人
・複数の話から成る本が読みたい人
10位 『スモールワールズ』 一穂ミチ
最後はこの作品。家族が主なテーマで展開されていく話で、個人的にとても好きだったのが「魔王の帰還」というお話です。タイトルの付け方やストーリーが私の好みにピッタリでした(笑)
10作品の中では最も家族というテーマに対して真摯に向き合っている作品だと思うので、そちらに興味のある方は楽しんで読めるのではないでしょうか。
ちなみに10位に選んだ理由なのですが、個人的に家族間での関係を描いた話が思っていたより心に響かなかったというのが大きいのだと思います。数年後にもう一度読んだ時が楽しみな作品でもありますね。
こんな人におススメ!!
・家族の話が好きな人
・すっきりとした読了感を味わいたい人
終わりに
というわけで個人的ランキングの紹介でした。
『正欲』、『星を掬う』、『赤と青とエスキース』は書店に並んだその日に購入していた記憶があって、自分が選んだわけでもないのに嬉しくなっています。(笑)
皆さんの印象に残った作品はなんでしたか?
もしよければコメントで教えていただけるとありがたいです。
それでは、今回はこの辺で。よければスキやフォロー等、よろしくお願いします。最後までお読みいただきありがとうございました。