『きみの鳥はうたえる』は素晴らしい青春映画かつ恋愛映画です【映画感想・ネタバレなし】
まずは簡単に『きみの鳥はうたえる』のあらすじを。
函館の3人の若者の男女を巡る、一夏の物語。主人公の僕(柄本佑)と友達の静夫(染谷将太)は、ルームシェアをしている。僕は本屋でアルバイトをしていて、静夫は失業保険をもらいながら、毎日ぶらぶら暮らしている。そんなある日、1つのきっかけから僕は本屋のバイト先の女性(石橋静河)と親密な関係になり、3人で遊ぶようになるのだが……。 【2018年公開】
「読みが合わない」という言葉が、将棋用語にある。
将棋の対局では、自分の持ち時間だけでは考える時間が足りないので、相手が次の手を指す前からどんな手をさしてくるだろうか予想して、その次に自分が指す手を前もって考えておく。
しかし、相手が毎回自分の予想と違う手を指してくると大変だ。
相手との読みが合わないので、自分が先回りして考えていた手はおじゃんになり、また最初から考え直さないといけない。
『きみの鳥はうたえる』を観ながら、読みが合わないなあ、とずっと思っていた。
たぶんこういう展開になるんだろうなあ、と想像しながら観ていたが、ことごとく外れた。
例えば、物語の最初のほうで、3人でコンビニに買い出しに行くシーンがある。
コンビニのシーンなんて、普通の映画ならすぐに終わるだろう。
だが、この映画は違う。
どの商品を買うかと迷っているところや、コンビニの中をぐるぐる歩くシーンを長々と撮る。
僕は、ずっとどきどきしながら観ていた。
コンビニの中で、何かが起こってしまうんじゃないかと。
男たち2人のキャラがまだよく分からないから、何かをしでかすんじゃないか。
だけど、結局普通にレジに行って会計をする。
しかし、男2人はお金を払うそぶりもなく、女の子が1人で会計を払う。
そのシーンを観て僕は、「え?」と思う。
読みが合わない展開は、その後も続く。
こういう方向に進んでいくんだろうなあ、と思ったストーリーにはならない。
最後の最後まで、3人の行動にモヤモヤしてしまう。
3人でクラブに行ったりビリヤードに行ったりダーツに行ったり卓球に行ったり遅くまで飲んだり、ザ・青春、という遊び方は観ていて眩しかった。
青春は楽しいことばかりではないし、いつか過ぎ去っていってしまうものだけれど、やっぱり素晴らしいものだったんじゃないか。
この映画を観ながら、そんなことを思った。
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