xRと移動 「移動の価値仮説 セレンディピティ×アクセシビリティ」
※本投稿は株式会社デンソーデザイン部の自主研究活動であり、
弊社の開発案件や事業をご紹介するものではありません
こんにちは ちみやと申します。
私はxR(VR、AR、MRなどの総称)技術がもたらす未来の移動とコミュニケーションの価値変化について探索を行っております。
前回は、xR業界に起きてる価値変化の兆しの紹介と、xR時代の移動の価値仮説を紹介させていただきました。
今回は、xR時代の移動の価値仮説の深掘について、紹介いたします。
xR時代の移動の価値 仮説
セレンディピティ× アクセシビリティがない移動は、現実に移動する価値はなくなる、と前回ご紹介しました。こちらについて詳細をご説明します。
セレンディピティ
セレンディピティとはWikipediaには下記のようにあります。
素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。
(Wikipedia 2020.9.9時点)
身近な例ですと、本屋に行った際に、探し回っていた時にお目当ての本以外の物を見つけるような体験がセレディピティです。
Amazonなどのショッピングサイトでもおすすめの機能はありますが、課題があると考えています。目に入る情報量が少ないことです。これは下の画像をご覧いただければわかるかと思います。
(Amazon おすすめ商品ページより)
一方で下の画像は書店のものです。
目に入る情報量、商品数が現実の書店の方がかなり多く、また少し歩くだけでその情報は次々と更新されていき、制限なくその世界は広がっています。
自分に合いそうなものに偶然出会うには、PCやスマホの画面で見るWebサイトやアプリ、ワールドの大きさに制限のあるVRより現実の移動の方が優れているのではないでしょうか。
アクセシビリティ
アクセシビリティとはここでは、セレンディピティで出会ったものをすぐ試せることと定義します。気になった本をすぐ手にとり試すような体験です。
本や音楽であればWeb上でも試せますし、視覚、聴覚的な情報はVRでも試せます。しかし、それ以外の五感に働くようなもの、例えば味、匂い、服の手触りといったような感覚はまだ現実でないと試すことは難しいです。
セレンディピティ × アクセシビリティのある移動
つまりセレンディピティとアクセシビリティがある移動とは、何か自分に合うものを追い求めて探し回りそれをすぐ試してみる、探索的な移動、ウィンドーショッピングのような体験だと考えています。
セレンディピティ × アクセシビリティのない移動
一方でセレンディピティとアクセシビリティがない移動とは何でしょうか。
それは何か特定のものを買ったり場所を訪れたりするための移動だと考えています。
例えばある本だけが欲しいのであれば書店に訪れる必要はなく、ネットショッピングで買うことができます。また、ある名所にだけ訪れたいのであれば、VRコンテンツでも体感することができます。
物でも場所でも、自分の嗜好にぴったり合うことが分かっているものを体感する際には、現実に移動することは必要不可欠ではないと考えます。
VRと移動
一方でVRの世界では本来、移動というものは必要ありません。
ワールドからワールドへ移動するのも、ワールドの中で移動するにもワープが可能で移動せずに行きたいところに行くことができます。
しかし、VR SNSの一部のユーザの方達は、ワールドからワールドへ移動する際にただワープするのではなく、一旦移動のワールドを挟むようなことをしています。
ワールドA → 移動のワールド(電車内を模したワールドで移動を体感) → ワールドBといった具合です。
私自身もVRChatのワールドを巡り一番楽しいと思ったのは、ワールドの中を歩き回り、気の向くまま見たい物に移動し見ている時です。
(バーチャルマーケット3 ネオ渋谷の路地裏より)
移動の価値 検証プロジェクト
私は、移動が本来必要ないVRの世界でもなお残る移動の面白さに触れ、ここで移動の検証を行うことは、未来の移動の価値を考えるにあたり有効なのではないかと感じました。
今回、私の仮説をご紹介しましたが「それは違うんじゃないか」「私の思う移動の楽しさは〇〇だと思う」と行った感想を持たれた方も多いと思います。
今回、そうした移動の楽しさの仮説を、議論・体感できるようなVR Chatのワールドを今回、THINK AND SENSEさんのご協力の元、企画・制作しました。
是非、感想を持たれたみなさんに訪れてもらって、お話しできると嬉しいです。
※VR ChatはVR SNSのサービスです。VR Chatではアバターを着て、様々なワールドを訪れ、様々な人とコミュニケーションを取ることができます。
次回はこのワールドの詳細についてご紹介いたします。
今回の記事は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。