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Googleドライブなどのクラウドストレージで電子帳票保存法(電帳法)対応出来ないか国税庁に聞いてみた結果

困ったことが発覚しました

私は個人事業主なのですが、請求書や領収書、各種契約書などをGoogleドライブに保管して運用しています。
まだExcelで取引を管理できるため、会計ソフトは使わずに確定申告まで行えています。

しかし、調べれば調べるほど、個人事業主にはハードルが高いのではないかという疑問が生まれ、対応しないと青色申告特別控除が取り消されるなどのペナルティが発生するため非常に頭を悩ませていました。

電子帳票保存法とは何かについては以下にも記事を書いたので、良かったらご覧ください。

なぜ困ってしまったか?

今の私の運用では、各種帳票は「Googleドライブ」に入れており、取引実績も「Googleスプレッドシート」で管理しています。
そこで、電子帳票保存法(電帳法)に対応するためにはどうすれば良いのかを考えました。

国税庁の「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)」を確認したところ、どうやら以下が実現出来ることが必要なようです。

・取引実績と電子帳票との繋がりが分かる検索可能な一覧表(索引簿)
・改ざんが出来ない、改ざんがあっても履歴が分かるように保存する

しかし、過去の記事にもまとめましたが、「タイムスタンプ」なるものが必要と言うことが分かったり、今の自分の運用方法では良いのか悪いのかさえも分からずという状態でした。

現在の運用イメージ

その「タイムスタンプ」というものは、「一般財団法人日本データ通信協会の認定事業者」が提供している電子的なタイムスタンプを押すサービスを利用する必要があるとのことで、以下の認定事業者が提供しています。

それぞれの認定事業者のサービスを確認したところ、金額もそれなり(数十万円)もしますし、
これを見て「これは個人事業主で手が出なくない??」と思いました。

分からなかったので国税庁に聞いてみた

まずは現在の運用イメージを国税庁の方に聞いてみました。

【クラウドストレージの利用について質問】
私:
現在、Googleドライブを使って電子帳票を保管していますが、タイムスタンプを押す必要があるのでしょうか?
アマノさん、セイコーさんのサービスを使うのは必須ですか?

国税庁の方:
いいえ、そんなことはありません。
前提としましてはNTPサーバーで時刻管理をしっかり行っていることが必要であるため、Googleドライブなど一般的に使われているクラウドストレージであれば、保存された時刻も正確に記録されますので、タイムスタンプはこちらに代替することが出来ます。
第三者機関のサービスで自分都合で改ざん出来ないということが重要です。

【タイムスタンプの利用シーンについて質問】
私:
それではタイムスタンプはどんな時に必要なのですか?

国税庁の方:
改ざんされていないと保証できない場合に利用してもらうことになります。
例えば、オンプレ環境にあるストレージやローカルストレージなどです。
この場合、改ざんされていないという保証が取れないので、第三者機関であるタイムスタンプの認定事業者サービス(アマノさん、セイコーさんなど)のサービスを利用していただく事になります。

結果、私の運用ではそこまで影響がなかった

国税庁の方、親切に教えて頂きありがとうございました。

一番懸念していた「タイムスタンプ」ですが、Googleドライブなど一般的に使われているクラウドストレージを利用するのであれば、保存要件は解決できると分かり、ほっとしました。

一部、運用方法を変更する必要がありました
①ファイル名を検索しやすいようにリネームする
(例)「受領日_取引先名_金額」→「20221031_(株)国税商事_110000」
※「電子帳簿保存法一問一答 問11など」
②取引実績表にファイル名を記入して、どのファイルか分かるようにする
※「電子帳簿保存法一問一答 問12など」

新しい運用イメージ

運用の結果、一番大変なのは事務作業の増加・・・

<2023年1月12追記>

この記事を書いてからしばらく運用をしてみました。
対応は慣れてきましたが、感想としては「とにかく時間が掛かる!」ということです。

分かってはいたものの、月末に数十件を作業するのに大体半日以上は費やしているのではないかなと思います。

また、先方からの請求書差し替えなどがあると、元の請求書を確認して修正することも必要なので「あれ?これどうするんだっけ?」が頻発しました。

私はそこまで件数が多くないので、これくらいで済んでますが、書類枚数が多い企業は大変なんじゃないかと思います。

実はかなり書類種類が多いことが判明

国税庁が出している「電子帳簿保存法一問一答 スキャナ保存関係」に対象となる書類の一例が記載されていました。

あくまでスキャナ保存時に保存が必要となる国税関係書類の一例ですが、かなりの種類があることが分かります。

眺めてみると一般的な「クラウド会計ソフト」や「経費精算ソフト」だけでは網羅できない書類もあることも分かります。

また、これだけ保存していれば良いのではなく「税務調査時に求められるであろう書類全般」が対象であるため、企業により対象書類が異なることに注意が必要であるようです。

出典元:(国税庁)国税関係帳簿書類のスキャナ保存の区分

オンプレ運用の企業は大変かも

私の運用環境ではそこまで影響がなかったのですが、サーバーインストールをするオンプレ型のストレージや会計ソフトを利用していると大変かもしれません。

改ざんされていない保証をする必要があるため、オンプレ型の企業は以下の対応が求められてくるのかなと思います。

・全てクラウド会計に移行する
・ストレージをクラウドに移行する
・タイムスタンプ認定事業者のサービスを利用してタイムスタンプを押す

また、クラウド会計に移行しない選択をした場合に、取引実績と電子ファイルの紐づけをする表(索引簿)も必要となるので注意が必要です。

Googleドライブを使った実際の運用を説明したページも見つけましたので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

クラウド会計ソフトについても比較検討した記事も書いていますので、良かったら読んでみてください。

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