美容院経営での売上の上げ方

業種ごとに異なる競争環境があります。

不動産、飲食、小売り、観光業、スマホアプリなどなど、それぞれ異なる売上の上げ方が存在します。
美容業界(主にヘアサロン)での売上の上げ方について解説致します。


【美容業界での売上を上げる方法】

美容業界での売上を一言にするなら「求人×集客×生産性」です。
当たり前ですが、これにすべてが紐づきます。

完結に記載しますと
求人では
・スタッフを増やして入客枠を増やす
・離職を減らす

集客では
・新規集客を増やす
・リピートや固定客につなげる
・来店周期を早める

生産性では
・施術時間を短縮or掛け持ちする
・単価を上げる
となります。
以下では、それぞれをもう少し深堀します。

1.求人について


美容業界の求人は他業種と比べてハードルが高いです。集客よりも困難です。極端に言いますと、人材が自由に取れる環境であれば、今の美容業界なら勝ち当然と言えます。

求人が困難な理由
1)美容の国家資格保有者が年々減少している

美容学校入学者は2000年の約4万人をピークに年々減少、2017年は1万7866人となっている。
更に、美容業からの離職を含めると更に美容人口は減少している可能性が高いです。ここはリソースが不十分でしたので割愛致します。

2)他業種から美容師への転職はほぼない
美容師を辞めてOL、アパレル、一般職などはありますが、国家資格必須のため、その逆はほとんどありません。社会人になって「やっぱり美容師になりたい」と美容学校に通う人は極少数。

3)競合サロン数の増加
美容師の数とは逆に、美容院の数はここ30年増加し続けている。
1店舗当たりの採用可能数が年々減り、更に採用コストは増加し続けている。

なぜ美容師の独立開業が多いのか?
スタイリストとして、指名売上を伸ばした先に独立を考える人が多くいます。スタイリストの腕と経営能力は別物なので危険な考えなのですが、事実としては売上を伸ばす⇒独立と考える人が多い。


上記3つの理由により、求人は美容院経営では最も難易度が高いです。

1-2.求人を増やすには?


新卒採用と中途と採用で異なります。
新卒採用取るならば、学校への営業、雇用条件、福利厚生、労働・教育環境、SNSマーケティング
また、大学就活でも同様かと思いますが、有名店に一極集中します。有名店では採用倍率は何十倍にも百倍にもなります。
かたや小規模サロンなどは何年も1人も採用できない。ということも多いです。

中途採用は、求人媒体対策、集客サイト対策、SNSマーケティング、雇用条件、福利厚生、労働環境の整備
中途で集客サイト対策をあげたのは、ホットペッパーのページを参考にする美容師が多いからです。転職するなら入客できる美容院に行きたい。集客が強そうな美容院を探すとなればホットペッパーを見るのが一番確実だからです。

新卒・中途共に、エリアも大きく影響します。
首都圏では、表参道、青山、渋谷、銀座、自由が丘などに求人応募が集中します。有名店でなくてもこの恩恵は強く受けられます。
ただし、だからと言ってこのエリアの出店が良いわけではありません。家賃は高く、且つ集客競争が過酷になりがちです。特に再来率。近隣の競合店が200~400店舗と非常に多く「良いサロンは他にも無数にある」という失客要因のデメリットがあります。


2.集客について

客数の構成は新規客、リピート客、固定客と3つに分類します。
1)新規客:リピート、固定化になる最初のステップ
初回来店⇒再来店率は業界平均で30~40%と言われています。
これは、地域、競合数、単価、顧客ニーズによって大きく変動します

ターミナル駅近くの低単価サロンだと再来率が10%代も存在します。
地域密着型で、且つ解決課題が明確なサロンだと再来率が70%もありえます。

2)リピート客:2回目~4回目以降の固定見込み客
2回目⇒3回目⇒4回目と来店回数が多くなるに連れて、次回の再来率は高くなります。
事例としては

初回来店⇒2回目:30%
2回目⇒3回目:50%
3回目⇒4回目:70%
4回目⇒5回目:90%

とざっくりですが、上記のように基本的には来店回数が増えるごとに次回来店率は上がります。上の計算の場合、100名の新規客の内5回目まで来店される方は9.45名です。

初回来店⇒2回目:40%
2回目⇒3回目:60%
3回目⇒4回目:80%
4回目⇒5回目:95%

もし、同じ新規100名の場合、上記の再来率では18.24名が5回目まで来店されます。

3)固定客(ファンともいう)
固定客になると、次回来店率は90~95%前後になります。これは3ヶ月に1度の来店とすると平均5年でリピートしなくなるという計算になります。この場合、引越し、結婚、転勤、入院など致し方ない理由が多いので再来率を95%以上にするのはほぼ不可能でしょう。ただし、急激な単価アップは固定客の失客にも繋がります。

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