働かざる者食うべからずで大丈夫なのか?
この文は、怠け者を擁護しようというのとはビミョーに違うのだが
いわゆる怠け者というのが、どういう定義なのか、はっきりしない。
一般就労をしてない人や、自前で所得がない(年金など以外)人なのだろうか?
それはともかく、所得的な世界は、相場の世界だ。
たとえば、ちょっと古いかもしれないけど
タモリやSMAPといったタレントの所得は、その辺の庶民よりはすごいだろう。
90年代に聞いたはなしでは、タモリの「笑っていいとも」の出演ギャラは
1回あたり200万円くらいだというはなしだ
税金は引かれるだろうが
週5回放送があるから
その番組のギャラだけで週1000万円だ。
タモリやSMAPが客観的にそれだけの価値があるというより
それらの人の所得は、単に世間相場から導きだされてる。
どういうことかというと
たとえば、所得に関して次のように表すのに大半の人が同意してくれるだろう。
工場でヘトヘトになる人の所得 < エクセルの達人の所得 < エンジニア・プログラマーの所得
そうりゃあそうだ、というかもしれない
右にいくほど大変で、社会的に価値があるのだから、とほとんどの人が言うだろう。
しかし、それは、当座の相場でしかない
たとえばだが、10年後に、めちゃくちゃAIテクノロジーが発達して
エクセルというテクノロジーの半分くらいは不要にもしなれば
エクセルの達人ということで、月収30万円以上ボーナスつきだった人のかなりは失業するかもしれない
そうしたときに、むかし
「働かざる者食うべからず」と発言していた自分を後悔するのではないだろうか?
エクセルのデスクワークをやって、そこそこいい暮らしをしてた人が
50過ぎに失職して
8時間ヘトヘトになっても、日給換算1万円にもならない工場の労働に、レギュラーで従事できる人がどのくらいいるのだろう。
首相が、国会答弁で、年金が足りなくても能力のある人は働いている
と述べたそうだ
最近では、マクドナルドで90歳をすぎて働いてるご婦人が話題になってる。
しかし、いわゆる団塊の世代と、それより上の世代のバイタリティーをそれより下の世代が持てると考えるのは甘い見通しではないか?
これを書いてる僕は、70年代生まれの、世間的には、就職氷河期と呼ばれる世代の人間だが
僕がこどものころの、老齢の小学校の女性担任教諭は
「小学校に、まいにち2時間以上歩いて通った」としょっ中語っていた。
小学校に通うのに2時間歩いたのだ(片道か往復か今日となってはハッキリしないが)
筋がね入りである。
いまはどうだろう
駅前ロータリーに塾通いと思しきJKを夜車でパパが迎えに来てくれている
パパにこんな手厚い庇護を受けてるJKが将来、90歳でマクドナルドで働けるわけはない(絶対ではないけど)
職業には、ある程度向き不向きがある
たとえば、マクドナルド(特に駅前とかの大型店)のような、見知らぬ人(客)がランダムに頻繁に出入りする職場は、もうそれだけで発狂しそうになるという人もいるはずだ。
AIの発達や、相場の変化(たとえば飲食店が大量に潰れる)とかで失職したとき、70すぎても、何でもやれますよ、というはなしは、団塊の世代か、それより上の世代ならまだしも、どうなんだろう。
所得の世界は、「能力のある」云々というより
単に相場の世界で
どこにいくらの金が、というのは、どちらかというと、相場に決定権がある
タモリのところに、週当たり1000万円の金が流れれば
他の人のところに流れるカネは、国の経済が余程の好況にない限り、フツーは減るのだ。
だから、生活保護やベーシックインカムだ!というはなしはここではしない
正直、現時点では、個人的によくわからず、どうとも言えない
個人的には、国が経済をしきっていて、さらに、それが国際経済とつながってる現行の仕組みでは、どうしても、工場労働者とタモリのところに流れる金額は天文学的開きができてしまうのではないか?と思う。
現行政府は、タモリと工場労働者の格差の是正より
むしろ、工場労働者のような所得層から、さらにむしり取ることを考えてるように見えることもある。
こうしたときに、70をすぎても、工場でもマクドナルドでもなんでもやりますよ、という超タフガイを除けば
働かざる者食うべからずというあれはどうなんだろうと思うこともなくはない。
いや、働かないことのすすめというわけでは特になく
ただ、現行相場の絶望的アンバランスと、これから相場やテクノロジーの変化で、まだまだ職業淘汰と貧困化がすすむとなれば
団塊やさらに上の世代のような頑張りが、下の世代にも可能というのは
甘い見通しではないかと思うこともなくはないというはなしだ。
(あとがき)
この文章は昨日、社保の強制加入の枠が拡大するというはなしと
首相の国会答弁のはなしをYouTubeでたまたま見てしまったため
それに対して思ったことを述べました。
工場労働者と盛んに書きましたが、これを書いてる今日現在
僕自身が工場労働者であり
最近、体力的な事情その他で、8時間枠から手を引いて、4時間枠に変更したのですが
4時間くらいだと、むしろ、運動不足の解消になることもありますが
向き不向きはもちろんありますし
その時間枠だと、収支は赤字続きですね。
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