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がん と 生きること

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2020年5月の記事一覧

#ずいずい随筆⑨:ニセ医療との闘いのおわり

#ずいずい随筆⑨:ニセ医療との闘いのおわり

 がんの領域においては、ニセ医療との闘いはもうすぐ終わるのではないか。
 僕は『がんを抱えて自分らしく生きたい』の中で、ニセ医療の宗教性と、それが故の終焉の未来について書いた。その終焉の姿が、見えてきているのだ。

 僕らがいま現場で頭を悩ませているのは、「抗がん剤か、緩和ケアか、代替医療か」のようなことではない。もうそんな対比はすっかり古びてしまっている。
 いま、僕らが悩んでいるのは「抗がん剤

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アフター『急に具合が悪くなる』の世界へ②

アフター『急に具合が悪くなる』の世界へ②

磯野さんから第二便 医療者の意図入り未来予想図確率の言葉から逃げるのはとても難しい今の社会。「いつ死んでも悔いがないように」という言葉に欺瞞を感じるという宮野さんの言葉に、磯野さんは引っかかる。医師が「急に具合が悪くなる可能性」を3週間先かもしれないと示す時、それは「かもしれない」確率ではなく、「避けられない」運命のの話になる。そして、科学的根拠や事例に基づいた「患者の未来予想図」という地図を見せ

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病歴⑰:抗がん剤治療終了から一か月

病歴⑰:抗がん剤治療終了から一か月

髪が生えてきたし、伸びてきた。

これは書いておかねば。

まつ毛や眉毛はほとんどなくなり、マスク着用の日々のなかでも、今までにしたことがないほど丁寧に眉毛を描いて、アイラインを引くようになった。
化粧を落とした自分の顔は、エリザベス1世の肖像であるとか、ルネサンス以前の中世の肖像画のよう。
眉がない。

抗がん剤治療が終わって2週間ぐらいの頃は、自分の頭がつるつるとして見えたものだ。
抗がん剤投

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アフター『急に具合が悪くなる』の世界へ(序)

アフター『急に具合が悪くなる』の世界へ(序)

はじめにこの本を買ったのは2019年10月。Twitterで病理医ヤンデル(@Dr_yandel
)さんが激賞し激奨していたから。ヤンデル先生はいろんな本を激賞し激奨されるのでなかなか付いていけないけれども、すばらしい本に出合わせてくれている。『急に具合が悪くなる』のそのうちの一つだったけれど、哲学者と人類学者による往復書簡で、病(がん)について…と知っただけで「読まねば!」となった。

著者の宮

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病歴⑮:第5クールから第6クール

病歴⑮:第5クールから第6クール

最近、ようやく鼻血を出さずに鼻が噛めるようになってきた。
花粉の飛散はひと段落ついたようだが、PМ2.5のほうがつらい時期が続く。
少しは鼻血が出たりでするけど、それでも、たらたらと流れて困るようなことはなくなった。
味覚もほぼ戻ってきたような気がする。口の中の薬品くささは特に感じなくなった。
眉毛とまつ毛は今になってほとんどない状態になった。残り少ないまつ毛が目に入るのが気持ち悪くて困る。のっぺ

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