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Delight Ventures "Column"

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DeNA1社LPの、独立系ベンチャーキャピタルのデライト・ベンチャーズ。 私たちが具体的に何をしているのか?投資領域は?シリーズは?など、内部のメンバーが随時情報を更新していきま…
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#スタートアップを取り巻く環境

【実録レポート】欧州の2大スタートアップカンファレンスWeb SummitとSlushに見る、投資状況とエコシステムの発展とは?

【実録レポート】欧州の2大スタートアップカンファレンスWeb SummitとSlushに見る、投資状況とエコシステムの発展とは?

10年ほど前は、欧州のスタートアップエコシステムは、米国に比べ約10年の遅れをとっていると言われていました。その後米国のエコシステムが進化・拡大したと同時に、シリコンバレー型のスタートアップエコシステムが世界各地に再現され、VCマネーによるイノベーションがもはやシリコンバレーまたは米国の専売特許ではなくなってきました。今回欧州のテックイベント2つに参加し、欧州のスタートアップエコシステムの拡大と発

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デライト・ベンチャーズ独自の契約条項ー株式買取条項に関する一考察

デライト・ベンチャーズ独自の契約条項ー株式買取条項に関する一考察

こんにちは、デライト・ベンチャーズ辻口です。シード・アーリーステージのベンチャー企業を主に対象した投資を行なっているデライト・ベンチャーズですが、ベンチャー企業への投資の際に結ぶ契約書を(特段の支障がない限り)独自に策定したものを使用しています。これは、私たち自身が「スタートアップの成功確率を最大化する」ことが今後のスタートアップエコシステムにとって重要だと考え、起業家が投資を受けやすい、そして事

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ストックオプション日米比較

ストックオプション日米比較

スタートアップエコシステムが半世紀かけて進化してきた米国で、当たり前のように用いられている「ストックオプション」は、日本のスタートアップでも一般化しています。

ストックオプションは、スタートアップの従業員が「将来決まった値段で株を買える権利」で、報酬制度としてのコールオプションです。先行きが不確実なスタートアップに参画してもらう代わりに、うまく行ったときのアップサイドを提供する仕組みで、会社とし

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成長戦略会議:日本の投資マネーの流れ③

成長戦略会議:日本の投資マネーの流れ③

2021年6月に公表された「成長戦略実行計画案」について、特に「私募取引の活性化に向けた環境整備」についてこれまで2回に分けて読み解いてきました。今回は最後の3回目としてデライト・ベンチャーズが重要と考える「少人数私募制度の大幅な緩和」に焦点を当てて議論したいと思います。

1.私募取引改めて、日本企業が資金調達をする際の一般論として。株式や社債などの流通性の高い証券を用いて資金調達をする場合は、

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成長戦略会議:日本の投資マネーの流れ②

成長戦略会議:日本の投資マネーの流れ②

前回に引き続き、成長戦略会議が2021/6に公表した「成長戦略実行計画案」の③について考察していきます。まだお読みで無い方は、以下リンクです。

③ 私募取引の活性化に向けた環境整備
「我が国の資本市場は、未上場の企業への投資について、個人投資家による投資手段が限定され、ベンチャーキャピタル以外の投資家の裾野が狭い。未上場のスタートアップへのリスクマネーの流れを太くする観点から、特定投資家の範囲の

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成長戦略会議:日本の投資マネーの流れ①

成長戦略会議:日本の投資マネーの流れ①

デライト・ベンチャーズのプリンシパル/CFOの辻口です。デライト・ベンチャーズは、これから4〜5年の間にベンチャー企業の数・時価総額・調達金額を今の10倍にするべく、スタートアップを取り巻く環境をより良くする働きかけを行っています。その中でも私は特に、より多くのベンチャー企業がフェアにVCから資金調達ができるよう、マネージング・パートナーである南場を通して官公庁の担当窓口と法規制の改正や新規立法も

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SPACと日本のスタートアップエコシステム

SPACと日本のスタートアップエコシステム

日本のスタートアップエコシステムが健全に拡大するには・・・という前回のnoteの続編として、SPACについて触れたいと思います。

今月閣議決定された成長戦略の目玉として日本版SPACの解禁が検討されているようです。SPACの基本的な仕組みや効能については、すでに多くの報道記事やブログが存在するので、そちらに任せます。ここでは日本版SPACについて議論する上で、例えば米国でSPACの利用が盛んにな

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「上場時期」は誰が決める?

「上場時期」は誰が決める?

日本のスタートアップのエコシステムが健全に拡大するためには、何が必要でしょうか。今後数本のブログで、私なりに課題を分解したうえで、日本から世界規模のスタートアップを生む道筋について、思うところを書いていきたいと思います。

米国含む他の先進国との比較を念頭におくと、日本のスタートアップエコシステムには以下の3つのことが言えると思います。

1.人口や経済規模に比してスタートアップ(起業家)の数が少

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起業家・新規事業創出のためのVenture Builder①

起業家・新規事業創出のためのVenture Builder①

デライト・ベンチャーズの坂東 龍です。私はデライト・ベンチャーズの中で、Venture Builder/ベンチャー・ビルダー事業(以下VB)という、日本のベンチャー・キャピタルにおいてはあまり例を見ない、起業家輩出・新規事業創出を目的とした仕組みを担当しております。

今回は、このVBという仕組みはどのようなものか?国内外での展開は?そして、なぜデライト・ベンチャーズにおいて通常の投資と共にVB事

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日本の成長の鍵はスタートアップ

日本の成長の鍵はスタートアップ

米国ベンチャー投資、倍増の勢い
米国の2021年第1四半期のベンチャー投資総額は記録更新の$69B、約7兆円に達しました。2020年第1四半期に比べると、なんと9割増の大活況。ベンチャー投資が、機関投資家の投資対象として不可欠な地位を得たと同時に、米国の経済・生活・文化の面でスタートアップのプロダクトやサービスは欠かせないものになっています。昨年のパンデミックの中でも、米国のベンチャー投資は成長を

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Delight VenturesはCVCか?

Delight VenturesはCVCか?

はじめまして。デライト・ベンチャーズのマネージング・パートナー 渡辺大です。デライト・ベンチャーズをより多くの方に知っていただければと思い、チームのメンバーでnoteをはじめることになりました。初回は、DeNAが唯一のLP(リミテッドパートナー)であるデライト・ベンチャーズは、どうCVCと違うのか?ということを簡単に説明したいと思います。

1. そもそもCVCとは?
ベンチャー投資に少しでも関わ

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